2006年12月11日 (月)

読んでいただけるかたへ

  
  『歌集 いま風になって』を、お贈りします。
 インターネットのブログ「短歌の花だより」で、時々の思いを短歌に乗せています。その中から二〇〇五年一月から二〇〇七年四月までの作品を選びました。

 この間、二〇〇五年五月二十二日に息子が結婚しました。
 東京都府中市での妻との二人の暮らをしていましたが、同年夏、僕が高知市に単身赴任しました。
 東京で、高知で、こんな短歌と一緒に暮らしてきましたという記録です。

 テーマは一番多いのが、なんと「妻と家族。仕事仲間や友だち」。そして、「仕事」、「花」、「オートバイ」、「憲法弟九条」、「教育基本法」、「高レベル放射性廃棄物最終処理場」……です。
 二〇〇六年、歴史が動いたいくつかの場面にいあわせました。
 僕がタッチしたことの中から三つあげます。
 ① 山口県岩国市の新たな米軍部隊くるなの住民投票の成功。
 夜中の「ばんざい」の中にいて感激しました。
 ここで、一か月、泊り込んで取材しました。
 すてきな友だちもできました。
 ② 高知県津野町の町議全員(日本共産党議員がいません)が高レベル放射性廃棄物最終処分施設を誘致しようとしました。
 無党派の人々、保守の人々をふくめた住民の圧倒的多数の反対で町議たちは誘致を断念。この運動、日本共産党支部も、がんばりました。
 ③ 自民党、公明党は教育基本法を改悪しました。
 しかし、それに反対する偉大な運動は歴史の記録に残るべきものでした。
 高知県では、県市町の十三人の教育長、教育委員長が、議会での答弁で改悪に異議を申し立てました。
 一九五〇年後半から六〇年前半の勤務評定反対の運動では、高知県教育委員会は、校長、教師を弾圧する役割を果たしましたが、今回は、教師、県民と手を携えました。
 すごいですね。
 二〇〇七年四月には、高知県東洋町の高レベル放射性廃棄物最終処理施設誘致の問題も白紙撤回になりました。
 こうしたことも短歌に詠んでいます。

 二〇〇六年、二〇〇七年と相次いで同級や後輩の友が亡くなりました。
 その友たちへの思いも詠みました。
 僕自身も「いつ死んでもいいように、毎日毎日をせいいっぱい生きぬきたい」という思いを強めている昨今です。

 ところで、二〇〇六年になってから高知歌人、民主主義文学同盟高知支部に加えていただきました。
 そして、十月三十一日、高知県南国市の南国市商工会から封書をいただきました。
 「第十一回菊人形、菊花展 土佐日記つらゆき時代まつり」の「貫之短歌大会」(十一月十二日)の作品集が同封されていました。やっほー。僕の作品が「貫之賞」に選ばれていました。

 「土佐日記」僕もブログにつづってる単身赴任一年目夏

 僕の作品が「第三者」に認められた初めての出来事です。
 多くの人の心に届く短歌を詠み続けたいと思う日々です。

 
              二〇〇七年五月

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2007年5月 9日 (水)

【二〇〇五年前半】

 【二〇〇五年前半】

   二〇〇五年から二〇〇六年へ

 南国の 可憐な花も
 この土地で 冬越す構え
 黄のアブチロン

 実をつけた クチナシの木を 植え込んで
 門松として
 新年を待つ

 うれしいな ボタン雪だよ 大みそか
 傘もささずに
 午後の出勤

 連帯を 呼びかけてるね
 「ジュピター」は
 綾香の歌で この年暮れる

 仕事場で 除夜の鐘聞く いい気分
 働き終えて
 働き始める

   いいことありそな新しい年

 吹き鳴らす カズーの音色 心地よく
 いいことありそな
 新しい年

 カンギクの 輝く黄色の 暖かさ
 正月二日の
 庭園初め

   ペンギンの翼のワッカの重さ   

 ペンギンの 翼のワッカ 悲しいね
 水中ジャンプは
 野生のようだが

 わが翼
 はばたききれずに 悩んでる
 妻のせいでは ちっともないが

   ブログが吹っ飛んじゃった日

 半年間 書き続けてきた わがブログ
 吹っ飛んじゃったよ
 すべてが消えた日

 長い髪 バッサリ刈って 五分刈りに
 ブログが消えて
 再出発の日

 くじけずに
 ブログ再生 はかってる
 発信したい 五十七歳

 あれこれと パソコンいじって
 数時間
 僕のブログが 復活した夜(よる)

 新生の 僕のブログに 向かってる
 君への便り 
 いま打ってるよ

   娘の四歳とゼロ歳の娘たちのこと

 顔も目も 一筆がきの まん丸で
 ほっぺは真っ赤
 四歳の孫娘(こ)よ

 紅葉手に 指あてがえば 握り締め
 丸い目で見る
 ゼロ歳の孫娘(こ)は

   ポンポンと荒い言葉を投げつけて

 口開けて 天向いて寝る 妻の顔
 こやつ、必ず
 百歳越える

 早朝に ラジオをつけて 出る準備
 妻よ、やめてよ
 僕は夜型

 ポンポンと 荒い言葉を 投げつけて
 僕の世話する
 妻のありよう

 なあんにも 益がないのに
 だめ夫(おっと) 一応立ててる
 大いなる妻

 四歳の 孫の電話を 受けていて
 妻のしゃべりが
 でれっとなってる

   妻が雪の長野県に出張した日

 雪の地へ 明日いくという
 わが妻は
 電話番号 手帳に残す

 「つまんねー!」
 「物足りないよ」 なんだかね
 妻、出張で 独りのわが家(や)

   一万歩にしてベッドに向かう

 「うわーっ、ノッポ」
 自分の影追い ウオーキング
 やせねばならない 男の努力

 あと五分
 足踏みなどして つぎ足して
 一万歩にして ベッドに向かう

   弟と二人のフィリピン旅行

 青空を 背景にして 咲き誇る
 ブーゲンビリアの
 透けるよな赤

 コンビニに
 銃構えてる 警備員
 マニラの街は 戒厳令下か
 サンチャゴの 要塞の地下
 日帝の 残虐のさま
 恐れつつ見る

 「海ゆかば」 暗唱している
 ガイドいて
 コレヒドールの 旅の悲しさ

 軍票の セットの一つ 買っている
 大元帥の
 支配のしるし

   太陽色のブンタンが届いたよ

 ふるさとの 光いっぱい たくわえた
 太陽色の
 ブンタンが着く

 土佐からの でかいブンタン 一つ切り
 甘い香りを
 さくさく食べる

   今年も梅の花の季節になりました

 梅の花 一束どれも 三百円
 園芸農家に
 春くるを知る

 梅咲けば 桜まだかな 気もそぞろ
 花詠み人(びと)の
 欲深いさま

   春先の街を歩いて出合った花

 街中(まちなか)の
 喧騒(けんそう)なんぞ ものとせず
 花屋の店先 アネモネ、静か

 突然に 「私、ここよ!」と 声上げて
 ハクモクレンは
 姿現す
 すいーっと ひきよせられて
 あおぎみる
 コブシの花たち 青空に舞う

 みずからの 白い花びら 敷き詰めて
 四月のコブシ
 微笑んで咲く

 地に座り レンズくっつけ 撮っている
 二つ角(つの)持つ
 オオイヌノフグリ花

 繊維状 ミツマタばかり 見慣れてて
 花は初めて
 五十八春

 ハナニラの 香りの中に 一人いて
 地上の星々
 写し撮ってる

 娘さん 「めっちゃきれい」と 叫んでる
 シャガさん、あなたを
 ほめてくれてる

 天向いた 赤花を敷き 咲き誇る
 胸刺すシーン
 ツバキの気迫

 ご近所の 群れ咲くナノハナ
 目に焼いて
 「よっし、出発」 出勤の道

 青空に ナノハナ入れて 撮っている
 マクロレンズで
 表現できたよ

   ロックかけ出勤準備しています

 ロックかけ 出勤準備 しています
 「さぁ、泊まりだよ」
 気張っていこう

 「えい、おう」と 心の中
 ほっぺたを たたいて向かう
 仕事の山に

 朱(あか)入れる
 ペン、あれこれと 迷ってる
 書き手の思い これで生きるか

 「夕食を 買ってこようか?」
 ケータイに
 握り飯など 頼んでいるよ

 仕事終え
 背中のズキズキ 思い出す
 痛み抑えた 集中の妙

   太書きのペン心地よくメモ走る

 時間ぬい やはり現場に 向かってる
 見て、聞いて
 においもかいで

 あの人に 会ってみたいな
 あれこれと その人のこと
 読んでいる夜(よる)

 「会いたい」に 「話していいよ」
 相和して
 わくわくしてる 会見の朝

 太書きの ペン心地よく メモ走る
 生き方を聞く
 心のリズム
 

 ジシバリの 花に託して 「生」を問う
 伊藤千代子の
 手紙読む朝

   新しいオートバイがやってきた日

 新しい 二五〇は いい音で
 遠乗りの日を
 風を夢見る

 ぴかぴかの 青のバイクを
 公園に 飾って、ながめ
 写真撮ってる

   花吹雪、心につけて微笑んで

 ぽかぽかの 翌日、一転 花冷えで
 何着ていくか
 探してる朝

 手を広げ 桜吹雪を 走りぬく
 ピンクの花は
 幸せを呼ぶ

 花吹雪 心につけて
 微笑んで
 泊まり勤務の わが席につく

 また、きっと 来春、会おうね 桜たち
 あいさつしながら
 散る花を見る

 降る花を 両手を広げ 受けている
 遅咲き桜は
 ありがたきかな

   僕と初夏の花たちのこと

 飛んでいる シランのさまを
 撮り終えて
 「よくやったぞ」と 自分をほめてる

 昨日の 輝きしっかり たたみこみ
 盛りの一花(ひとはな)
 ムサシノキスゲ

 「この花は つぼみのほうが 奇麗よね」
 満開キンラン
 つむじ曲げてる

 やすやすと
 撮らせてなんか あげないわ
 ニセアカシアは いま風の中

 「私ほど 美女はいないわ」
 それぞれに
 ボタンの花は 胸張って咲く

 高木に 「薄雪」いただき
 薫風に 揺れに揺れてる
 ヒトツバタゴは

 クロユリを
 見ればたちまち 口をつく
 小学時代の 熱愛の歌

 「ポットン」と 
 キリの一花 落ちる音
 聞いてしまった 大木の下

 雨を得て ハイビスカスが 輝いて
 「元気になって」と
 歌っているよ

 学名は 「水の容器」の 意味という
 梅雨(つゆ)を貯めてる
 アジサイを撮る

 よじ登り 空(そら)つかもうと 花咲かす
 ノウゼンカズラか
 友らほがらか

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【二〇〇五年後半】

 【二〇〇五年後半】

   東京から高知への単身赴任

 わが友の バイクも二台 荷に乗せて
 引越しトラック
 高知へ向かう

 新しい 任地に向かう 雨のなか
 白いムクゲが
 きりっと咲いてた

   高知市の新しい住まいで

 まっさらの 畳の香りに 包まれて
 独り寝初日
 「うん。これもいい」 

 「あれもない。これも忘れた」
 悔いている
 足りないだらけの 引越し二日目

   単身の宿ととのえて妻は去る

 ミンミンの 叫びの中で 目覚めてる
 高知の街の
 ど真ん中の家

 単身の 宿ととのえて 妻は去る
 ありがたいこと
 かけがえはなし

   やるべきことを書き出して

 明日(あした)やる
 いくつかのこと 書き出して
 きょう、この夜中 仕事を終える

 履歴見て
 「何の御用?」と いってくる
 単身赴任の 夫のもとへ

   トウモロコシをカリカリと食う

 晩飯に
 わが弟が 手をかけた
 トウモロコシを カリカリと食う

 単身の 野菜不足に 恐怖して
 ニンジンたっぷり
 朝の雑炊

 クジラ肉 ぐつぐつ煮ながら
 亡き母の
 ふしくれだった 手を思い出す

 次々と 焼いてる、食べてる 十八個
 ギョーザは、うまい
 やせるわけない

 「個食(こしょく)」って やな言葉だね
 「すき焼きで 一杯飲むか」
 弟、誘う

   息子のつれあいはベネズエラ

 息子殿 「いま、長崎さ」
 つれあいは 「ベネズエラだよ」
 僕は、高知さ

 ベネズエラ
 変化の中に あるという
 義娘(むすめ)、いまごろ 胸ときめいて

   百笑(どうめき)を聞きたくて

 熱風が 吹きつけてくる
 この感じ 高知の夏だ
 きょうも青空

 百笑(どうめき)聞く
 その日のために 走ってる
 昨日も今日も そして、明日(あした)も

   はやる心を静める手だて

 青空の 雲、ヒューヒューと 飛んでいく
 台風明けの
 高松の朝

 カン、カンと カンカン石を たたいてる
 静まれ、静まれ
 はやる心よ

   くろしお鉄道から見たもの

 車窓から 校舎の表示に
 「その通り!」
 「みんな輝く 楽しい学校」

 田の脇の 赤マンジュシャゲ
 めでながら
 くろしお鉄道 田野(たの)へと向かう

   四国、九州 オーバイの旅

 定着を 恐れているのか この男
 勢い込んで 
 旅に出る朝

 青空を 流れに抱いて ゆったりと
 四万十川は
 農の中いく

 手を広げ
 体いっぱい 太陽(ひ)を受けて
 ぎらぎら光る 宇和海、左

 身を溶かせ
 国家の悪政 いさめたか
 臼杵(うすき)石仏 下半身欠く

 ヤシ並木 マンジュシャゲ赤
 マッチして
 220号 ゆるやかカーブ

 青年に 遺書書かしめて 死なしめた
 統帥(とうすい)思う
 特攻基地跡

 子を抱く 観音像の 背を見れば
 十字の印
 「隠れ」の信仰

 このとりで 落とせず死んだ
 四郎らの 無念を思う
 富岡城跡

 放牧の 牛の背中に
 三ケタの 数字を記す
 所有の悲しさ

 「いつでもね。噴火する気は、あるんだよ」
 阿蘇の火口の
 硫黄の煙

 寝転んで 波の思いを 聞いている
 まどろみの中
 フェリー、宿毛(すくも)に

    南国市の国分寺のキキョウ

 巡礼を 迎え入れるか
 紫の キキョウ鮮やか
 ここ、土佐国分寺

 巡礼の 道との表示
 あぜのよな でこぼこ道を
 バイクでたどる

   キンモクセイに誘われてきた

 おお、かくも 「私ここよ」と 主張する
 キンモクセイに
 誘われてきた

 わが庭に 花の一つも ほしいもの
 テッポウユリを
 植え込んでいる

   高速バスでいききする日々

 カバン抱き 「さぁ、寝る時間」
 いい感じ
 高速バスで いききする日々

 「おつかれ」と 鏡の自分に いってやる
 ここ松山の
 ビジネスホテル
 

   花のかおりの中に寝てる夢

 ふりそそぐ 花のかおりの 中に寝て
 本読む時を
 夢見ているよ

 二つもの 携帯電話の アラームを
 「オフ」にしている
 休日前夜

   高知県の平和を求める群像

 戦争の おろかさ伝える
 掩体壕(えんたいごう)
 機銃の跡に 悲鳴聞いてる

 掩体壕 文化財に 指定して
 住民運動
 実りそうだよ

 アメリカの イラク撤兵 求めてる
 イベント続く
 帯屋町筋

 あの日から ピースライブは 十四回
 高知の人の
 確かな足取り

 九条を 守れの署名
 各戸ごと 訴える群れ
 清水も十和も

 靴脱いで ステージを跳ぶ 十九歳
 ロックの心は
 愛と平和と

 土佐弁で 平和の憲法 読み上げる
 二十二歳の
 穏やかな顔

 青年の 突進のさま 見ているよ
 心は仲間だ
 「すごいぞ、君ら」

   東京で独り暮らしの妻のこと

 夫をば 放し飼いかよ 離れ妻
 電話も、とんと
 こないこのごろ

 「何日も 電話なかった」
 妻がいう
 自分も何も いってこないで

 「久しぶり あなたの夢見た 大丈夫?」
 電話の妻の
 優しい口調

 かたわれが いない暮らしの
 ちぐはぐさ
 単身赴任で 気づいた一つ

 「会いたいよ。今月二回、やってきな」
 独居老人
 妻への電話

 温かい 灯ともる わび住まい
 月一回の
 妻がきてる日

 よれよれに アイロンかけてる
 妻がいる
 単身夫(たんしんおっと) 世話になってる

 そういえば 単身赴任も 半年か
 月一回の
 織姫テキパキ

   愛媛県四国中央市の友のこと

 君のこと
 僕はチング(長く親しい友)と 思ってる
 生き抜いてくれ 一杯やろうな

 病から 抜け出せそうな 友のこと
 ゆったりいこうか
 還暦世代
 

   東京の友、アメリカの友

 友からの
 酒温めて 飲んでいる
 師走の夜の 寂しい一夜(ひとや)

 アメリカの 友のファクス 着いた朝
 いよいよ世界も
 狭くなったか

   高知県梼原の紙すきの里を求めて   

 紙すきの 里を求めて
 山道を 向かうバイクに
 雪、降りしきる

 この仕事 一つなしとげ 死なんとも
 悔いはないかも
 アクセル吹かす

 「ここまでを バイクできたか」
 それぞれに
 あきれる人と 危ぶむ人と

 紙をすく オランダ人と 会っている
 梼原町の
 山間の家

 紙すいて 芸術にして 店に出す
 すごいね、紙は
 ここまでできる

    日照りにも、雪にもめげて…

 日照りにも 雪にもめげて
 たっすいが
 四国の仕事 楽しんでいる

  二カ月で 五十九歳か いい歳だ
 金髪頭を
 鏡に映す

 やることを 書き連ねている 前の夜
 三十三ある
 ま。一つからやる。

 いっぱいに
 食べ散らかすよに 手を広げ
 自分をせめてく 日々のありかた

 ぐちぐちと しゃべってみたい 時もある
 独りで切ない
 ある夜のこと

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【二〇〇六年前半】

 【二〇〇六年前半】

   二〇〇六年の新年を迎えて

 元日は 二十四時間 一秒で
 なんだかめでたい
 二〇〇六年

 結婚の 写真刷り込む
 年賀くる
 「おお、とびきりの 幸せ笑顔」

 こころざし 四十四年 貫いて
 いま次の道
 先輩の顔

 「わが家(や)にも おいでください」
 年賀あり
 優しい言葉が しみる、このごろ

 絵馬を見て
 用字用語を チェックする
 妻、ベテランの 国語の教師
 

   下り列車は雪乗せて着く    

 山あいは 雪の最中か
 数センチ 雪乗せて着く
 下りの列車

 ぽかぽかの 列車の中から
 山々の 雪景色見る
 ぜいたくな時

   ハングルを相手に四苦八苦

 週一で 約一時間
 ハングルの 小教室に
 向かってる朝

 まず一つ
 「よ」という文字を 覚えたよ
 ハングル習う 初めの一歩 

 先輩は ハングル書けて すごいよね
 努力の量が
 かなり上だね

 いつまでも
 ハングル書き取り できなくて
 からっぽ頭 うらんでいるよ

 寝る前の ハングル、自習 一時間
 ノートを閉じて
 大の字になる

 ハングルの 表音文字に
 四苦八苦
 たぶん、この音 古代は同じ

 数十回 「オギヨディオラ」
 聞き入って
 一緒に舟を ゆったりとこぐ

 パソコンで
 韓国の歌 聞いている
 ビジネスホテルの 静かなひととき

   「恋しい」と口に出したら

 「恋しい」と 口に出したら
 それなりに 恋しくもなる
 かの地の妻が

 結婚し 三十五年
 離れ住む 妻と会いたい
 今夜は変かな

 十時過ぎ 携帯電話も お留守番
 妻、自転車で
 暴走中かな

 「請求書 二つきてるわ。どうするの?」
 今夜の妻は
 やけにてきぱき
 

 「アッハッハ」
 陽気な声だ 元気だな
 妻との電話は 安どの時間 

 「サランへヨ(「愛しています」)」 
 電話で妻に いい寄れば
 「なに、それ、意味がわかんない」

 こんなにも 会いたがってる
 僕がいる
 妻の電話が 切れた、その後

 いやなこと うれしいことが あるたびに
 「話したいよー」
 離れ住む妻

   五十九歳の誕生日のメール

 朝一(あさいち)で
 ハッピー・バースデーの メールくる
 ブロバイザーの 心づくしの

 娘、孫 一緒につくった
 お祝いの ファクスが着いたよ
 わが誕生日

 三つもの 仕事の成果 載っている
 五十九歳
 初日の朝は

 「生きている」 その喜びを 刻みつつ
 生きているんだ
 五十九歳も

 あれこれと やりたいことを 数えてる
 残り時間も
 計算をして

   岩国市の住民投票

 ゴーゴーと
 「アメリカ雷」 鳴る街で
 新たな部隊 くるなのうねり

 「この選挙 ぶち面白い」と
 教師らも
 プラスター持ち 街頭に立つ

 足元に イヌフグリ花 三ついて
 「春がきている」
 よっし、よし、よし

 できたての 「投票音頭」は
 踊れそう
 「爆音いらない 錦帯橋(きんたいきょう)」

 バンジョーや ギターも繰り出し
 駅頭で
 「投票音頭」が デビューを果たす

 駅頭の 「投票音頭」に 和している
 カメラでねらう
 僕の口元

 零歳児 主人公だよ 漫画ビラ
 増し刷りされてく
 岩国の街

 零歳の 息子(こ)をかき抱き マイク持つ
 「投票いこう」の
 声が広がる

 「拳法で 肋骨折ったの」
 若い母
 ハンドマイクの すずやかな声

 「売れゆきが とってもいいわ」
 笑んでいる
 青年ビラの 作者の一人

 コンビニの レジにはられた
 「投票を」
 カラーのビラが ささやいている

 世の中の 変わる瞬間
 見ているよ
 ここ岩国の 住民投票

 「有権者、過半数が 移駐ノー」
 「投票音頭」の
 輪の中にいる

 どの顔も 輝いていて いい感じ
 「日本を変える」
 なしとげた人

   堀川の桜並木もそろそろで

 三の丸 桜の花が 咲いたそう
 朝から雪降る
 高知の話

 堀川の 桜並木も そろそろで
 浮き立っている
 われら庶民は

    カタクリ花は、しなやかに咲く

   強風を 六弁折って かわしてる
 カタクリ花は
 しなやかに咲く

 カタクリの
 群れ咲く里を 見つけたい
 もう何年も 夢みているが

   春の高知県四万十市を歩く

 天と地に 青空たたえ
 後川(うしろがわ)
 ナノハナの黄が 光輝く

 青い空 清い流れと 沈下橋
 ナノハナざかりの
 四万十の佐田

 ポンカンが
 十二個入りで 二百円
 佐田、道脇の 無人の店先

 田植え待つ 水輝いて 桜咲く
 幡多路(はたじ)の春は
 ぽっかぽかして

 雨の中
 ケロゴ、ケロゴの 大合唱
 トラクターたち 田植えの準備

 レンゲ咲く 湿地の遊園
 めぐりいて
 一時間ほど 自然児となる

 緑色 四万十川を 右に見て
 くねくね走る
 車の助手席

 このまちに 五つの議席 花咲かそ
 マイク持つ人
 ビラ配る人

   早朝のJR予土線(宇和島いき

 新聞の 束の席あり 予土(よど)線の
 始発列車は
 山間をぬう

 「カタン、コト カカカカカカカッ」
 四万十と 桜を見せて
 予土線(よどせん)はいく

   妻、娘、娘の娘たちが帰った日

 気がつけば ネコなぜ声で 話してる
 あすくるという
 娘(こ)との電話で

 いっせいに 妻、娘、孫 やってきて
 はなやいでいる
 独りの住まい

 孫たちと 目を低くして 話してる
 すごいね、この子ら
 日々伸びている

 娘(こ)らといて 弾ける笑顔 わが妻は
 夫(おっと)などには
 見せない顔だね
 

 孫たちの パンダの人形 残ってて
 さびしくなった
 独り住む部屋

   「将来不安」で寝つけない夜

 身のまわり 本、新聞を 積み上げて
 パソコンといる
 わが部屋のさま

 定年後 高知で住むと 決めている
 仲間づくりも
 急いでいるよ

 住む所 稼ぐ方など あれこれと
 一年あとは
 六十になる

 いろいろと 夢は描いて みるけれど
 「費用がない」で
 すべてが消える

 千万の 中古住宅 ないかいな
 あちこちに 声かけてるが
 やはり、だめだね

   あすの仕事のモードにしてる

 デジカメの 充電OK
 地図も見て
 あすの仕事の モードにしてる

 「よっしゃーっ」と
 出張バッグ 引き寄せる
 一眼デジカメ パソコン二台

   土砂降りの雨の中でも胸はって

 土砂降りの 雨の中でも 胸はって
 輝いて咲く
 ツツジたち赤

 青空に
 白い鈴たち 群れている
 「満天星」の ツツジというらし

 「遅くまで ご苦労さんね」
 ありがとう
 白の相貌(そうぼう) ナニワイバラは

 「おつかれ」と
 白い花たち お出迎え
 テッポウユリが 咲いた夜(よ)のこと

 やったのは 植え込んだだけ
 白い花 咲かせてくれた
 ユリの命よ

   徳島、高知の平和の風景

 イノシシに 注意の表示 左に見
 ゆっくりとばす
 徳島高速

 ログに住み 「九条パン」を つくってる
 夫婦に会って
 急坂下る

 霧の中 道を求めて 下ってる
 バイクのメーター
 二十キロだよ

 出張の 帰りの道脇
 「平和像」 しっかり建ってて
 バイクを停める

 青空に 両手合わせて
 「平和を」と 叫んでいるよな
 女性像、見る

   高知市の八時間の平和のライブ

 平和だよ
 ブレイクダンスの 青年も
 思いを込めて 跳ぶよ、飛んでる

 青年に
 中年たちも 手助けし
 八時間もの 平和のライブ

   落ちる太陽(ひ)が爆発する時

 いままさに
 ビルの間に 落ちる太陽(ひ)が
 爆発するよに 一瞬光る

 生まれきて
 やるべきことは これだけか
 五十九歳は 迷いの最中

   あの人も、おおあの人も…

 あの人も おおあの人も
 名を連ね
 九条守れの 新聞広告

 胴体に
 九条守れを 大書した
 路面電車が ゆきかう高知

 空襲で 母と妹 失った
 語る男の
 涙を見たか

 新しい 花を供えられ 生きている
 槇村浩(まきむら・こう)の
 反戦の遺志

 今と過去 いきつもどりつ 考える
 輝かしくあれ
 孫らの未来

   弟とチンダルレとタラムジの旅

 テーブルに どどっと料理 積まれてる
 プサン(釜山)の町の
 安食堂で

 カササギが 
 「ギュン、ギュン」歓迎 さえずるよ
 息切っていく ポモサ(梵魚寺)への道

 山道を
 クムジョンソン(金井城)に 向かってる
 タラムジ(リス)たちが 目の前走る

 そりたった 山道たどり
 たどり着く
 敵にそなえた 長い城壁

 
 キョンジュ(慶州)への 急行ムグンファ
 日本語の 放送もあり
 ほっと息つく

 咲き誇る チンダルレ(ツツジ)と
 調和して
 ソックラム(石窟庵)は どっかりとある

 街中の 古墳のそばの エゴノキが
 白い花まく
 五月の古都よ

 弟と 焼酎などを 楽しんで
 プサンのホテルの
 夜は更けていく

   「結婚し よかったかしら」

 「結婚し よかったかしら」
 改めて 考えてると
 妻の舌ぽう

 ビシ、パシの 妻が帰って
 独り居の 宿の静けさ
 沈んでる夜(よる)

 辞書引かず すぐに電話で
 「教えてよ」
 妻、らつ腕の 国語の教師

 「地震、どう。ね、大丈夫なの」
 そんな電話が
 ほしかった日よ

 快活な 妻のおしゃべり 聞いている
 電話の向こうも
 独り身なのに

   「戦死せる教え児よ」の詩

 公園に 戦争するなの 碑が並ぶ
 高知の街の
 民衆の意気

 僕たちを 育ててくれた 教師らの
 「繰り返さぬぞ‥」の
 詩碑読みふける

 詩の作者 どんな人かと 尋ねてる
 父の世代の
 反戦の意志 

 志位(しい)さんも
 「逝(ゆ)いて還らぬ教え児よ」
 詩を読み上げて 教育守れ!

 教育の 憲法守れの その声の
 津々浦々(つつうらうらに)に
 起こる日を乞う

   僕が、ほっとするひととき

 寄り付かぬ 息子と数秒 交信し
 陽気になってる
 僕も親ゆえ

 ヤマモモの 実る公園 独りいて
 土佐を味わう
 午後のひととき

 愛のある 暮らしのブログ 読んでいて
 微笑んでいる
 独りの部屋で

 近況を 知らせてくれる メールくる
 優しくって
 涙が出てくる

 
 こんなこと 一緒にしないか
 提案し 「私も、したい」
 同志を見つけた

   二人してけんかしている定年後

 このところ 妻との音信
 とぎれがち
 爆走してる それぞれの地で

 二人して けんかしている 定年後
 楽しみだよな
 離れ住む日々

 後十年 住む家のこと
 らちあかず
 さりとて金を 貯めるでもなし

 ふろに入り
 高層ホテル 見上げてる
 「庶民見下げて うれしいのかよー」

 六十に 後八カ月
 しわしわの 手の甲を見て
 思いふける夜(よ)

   山好きの友しのんでる

 バスの中 山好きの友 しのんでる
 「岳」という名の
 漫画を読んで

 この街の ホテルの窓を 拭く仕事
 山登るため
 やったという友

   早朝、何回も夢をみました

 波静か 海に咲いてる ピンクユリ
 「すごい、きれいだ」
 夢からさめた

 県知事が 教育基本法 異論ない
 うつしみの
 答弁を聞く 幸せの時

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【二〇〇六年後半】

 【二〇〇六年後半】

   ビルの壁の「輝け憲法!!」

 自社の壁 「輝け憲法!!」 大書する
 社長のいるまち
 わが高知市は

 
 平和への 思い託した
 折り鶴が 七十万舞う
 アーケードにいる

 息切らし
 朝倉城址 上りきて
 侵略鼓舞の 石柱に合う

 ああ、ここに
 防空壕(ぼうくうごう)が あったんだ
 「すべり山」わき 通る真夏日

 一豊の 銅像なども 奪い取り
 武器にしたとか
 あの戦争は

 「をじさんが、今日は無言で 帰られた…」
 あのころ歌う
 少年、白髪

 炎から
 「御真影(ごしんえい)」をば 守り抜く
 校長のこと 読んでる夏

 アメリカに 家を焼かれた 十七歳
 そこから始まる
 義母の戦後史

   妻はNHKテレビが好き

 NHK 講座の本を 積んでいる
 向上もとめる
 妻のありよう

 英語など
 しゃべるつもりは ないくせに
 「しゃべらナイト」を 見続ける妻

 千代ドラマ
 やってる時間 やり過ごし
 テレビの妻に 電話している

 いま、ちょうど
 彼女が窮地に なっているの
 「チャングム」好きの 妻、電話切る

 このごろは 秀吉なんか
 見ているか
 妻、ころところ 音さたがない

   短歌詠めば新たなる風わきおこる

 言の葉の
 一つひとつを つむぐ日々
 短歌(うた)詠む時に 心は開く

 短歌(うた)詠めば
 新たなる風 わきおこる
 日々の暮らしに 世界の明日に

 喜びを うたってみたい 夜のこと
 カシャ、カシャ、カシャも
 軽やかである

 パソコンの 画面に刻む 文字群が
 五、七、五…の
 リズム生む時

 離れ住む 妻への不満 短歌(うた)にして
 一つ、二つと
 たくわえている

 きょうも、また 短歌(うた)一つ、三つ
 生まれくる
 熱ある心 いとしと思う 

 この夜に 生まれ出でたる
 短歌(うた)一つ
 電話で妻に 読み上げている

 僕の短歌 読んでる青年
 声たて 笑っているよ
 成功したか

   単身赴任一年目の高知での夏

   
 「土佐日記」
 僕もブログにつづってる
 単身赴任一年目夏

 いにしえの 紀貫之(きのつらゆき)の
 名をつけた
 短歌の賞を いまいただいた

   次々と数十枚を削除して…

 「現場には 真実がある」
 そう信じ
 歩いてきたよ 靴はヘタヘタ

 前向きに 変わる一瞬
 その「ゆげ」を とらえてみたいな
 なしえてないが

 締め切りに 助けてもらい 仕事する
 ゴールに向かって
 きょうも スタート

 次々と 数十枚を 削除して
 五枚残った
 デジカメデータ

 「なんだかねー 違うんだよねー」
 そうだろな
 わかっているが 表現できない

 一日に 「やれること」など 少なくて
 零時を過ぎて
 パソコンをおく

 そんなこと 進行してたか
 後で知り
 ボロアンテナを 直しにかかる

 二日間 調べ調べて わかった夜(よ)
 「こうだったんだ」と
 友に告げてる

 わが仕事
 「いいね。すごいよ」 声あれば
 天まで昇って あすも疾走

 「あの記事は よかったねえ」の
 声に会い
 うん、よし、やるぞ 充電してる

 「魂の こもった叫び」と
 父、評す
 息子(こ)は、少しだけ おとなになってる

   僕は、やっぱり晴れの日が好き

 真夜中の 月確かめて
 干している
 いつもながらの 夜の洗濯

 傘きらい
 びっしょり濡れて 街をいく
 食堂なんかにゃ これじゃ無理だね

 ミンミンの 合唱の中 目を覚ます
 しつこい梅雨(つゆ)は
 もう終わったか

 「おっ、晴れだ」
 テレビの予報に 声上げる
 なんだか、パーッと 心が開く

 「青空だ」
 きょうも一日 楽しそう
 自転車駆って 仕事に向かう

   「生活の常識がない」の批判

 「生活の 常識がない」 批判あり
 許せ、僕にも
 いいとこはある

 ラーメンの 袋、歯で切る われを見て
 あきれる人ら
 「なぜ?」と問う、僕

 「ワイシャツの えり、巻いてるわ」
 きょうも、また 指摘されてる
 まぁ、そのうちに

 「やることが 少年のよう」
 五十九が いわれています
 あきれ顔から 
 

 割ばしで ビン開けている 若者に
 目を丸くする
 これは芸かな

   僕は風呂大好き人間です

 夜、朝と
 風呂に二回は 入るくせ
 三十数年 続けているかな

 自転車で 走って帰り
 水風呂に 飛び込むたびに
 湯気が立つよう

 朝一に 風呂わかしてる
 洗濯が すんだらたちまち
 ずぼっと入る

 朝風呂に ざぶっとつかり いい気分
 シンキになって
 さぁ、出勤だ

 ザブ、ザブと 頭の上から 水かけて
 目覚めています
 「きょうも、走るぞ」

   「風」が扇子(せんす)に舞っていて

 紅真(こうしん)の
 「風」が扇子(せんす)に 舞っていて
 涼しい風を 吹かせているよ

 戦争いや
 筆と墨とで 伝えたい
 紅真、着物で 涼しげにいく

   このごろの僕自身の発見

 超弱い パソコンオセロに 勝ちまくり
 悦にいってる
 昨夜も今夜も

 この市が やっているから
 木曜日
 ふと気づいてる 出勤の道

 燃えきらぬ 仕事をしている
 日々なのか
 続きを見ている 毎朝の夢

 百七の 心の声と 向かい合い
 同化している
 きょうの歌会 

 群れたいの 思いを、ぐっと 抑えつつ
 住みかに向かう
 秋の夜のこと

   遅い夏休みの前の、わくわく

 明日からは
 少し遅れた 夏休み
 短歌(うた)詠む旅に わくわくしてる

 おそろいの 赤ヘルメット
 買いにいこ 百十七歳
 タンデムの旅

   一泊の検診を終えた妻の快活

 「今回も オールAなの」
 一泊の 検診終えた
 妻の快活

 「回天の 映画の小説 読んだわよ」
 僕も買ったよ
 「まだ、半分だ」

   まずは、バイクの一人旅に出発

 チェーンにも 油をやって
 準備する
 明日は青空 バイクの旅だ

 
 鼻歌も ♪潮の香りの中…
 晴天の 黒潮ライン
 バイクと僕と
 源(みなもと)の その一滴も ここにくる
 仁淀河口に
 海鳥の舞う

 フェリーには バイクは一台
 誇らしく またがっている
 さぁ、大分だ

 荒城を 汗たらたらで まわってる
 ひと威圧する
 石垣のさま

   熊本空港発、妻とのタンデムの旅

 熊本で 待っているから きてちょうだい
 高知の夫
 バイクで出迎え

 
 タンデムの
 肩を書見(しょけん)に 地図を見て
 「そこ右、そこそこ」 指図する妻

 タンデムで
 ゆったり山道 走ってる
 「お先に、どうぞ」 道あけてやる

 タンデムに
 冷やかしホーンが 鳴っている
 メットの二人 還暦まぢか

 三日日間 後ろに乗って
 「体中 ブルブルしてる」
 湯の後の妻

   大分県の石の仏たちのこと

 こけむして 頭もかけた 石仏が
 手を合わせてる
 人の世のため
 
 
 「よそ見した 羅漢(らかん)もいるね」
 妻は笑む
 「五百人いて 朝礼のよう」

   吉井勇さんの寂しければに寄せて

 寂しければ
 優しい言葉に 涙する
 いい人ばかりに かこまれていて

 寂しければ
 親しい人の ブログ見る
 この人いつも 輝いている
 寂しければ
 思い聞いてと ブログ打つ
 悲しい人も うれしい人も

 寂しければ
 息子(こ)の電話聞き 歓喜する
 あす、つれあいと 北京にいくとか

 寂しければ
 独居の妻に 夜(よ)の電話
 「仕事、まだある。あとにしてよ。ね」 
 寂しければ
 DVDで 映画見る
 喜怒哀楽を ともにしている

 寂しければ
 晶子の変節 たどってる
 なぜなんだろう 侵略美化は

 寂しければ
 小説なども 読んでみて
 「うん、そうなのか」 ひとりごちする

 寂しければ
 野獣のごとく 仕事追う
 も二つ体が ほしいと思う

 寂しければ
 短歌(うた)次々と 生まれくる
 うれしい気持ち 詠みたいのだが

 寂しければ
 独居弟(おとうと)に 夜(よ)の電話
 やっと通じて 「生きちょったかよ」

   「百行分」の成果を乗せて

 ビシビシと 肌打ちすえる 雨の中
 高速道を
 西へと向かう

 雨の中 十二時間を 走りくる
 「百行分」の
 成果を乗せて

   いま、四万十川源流点の町で

 「受け入れの 意思示したら 二億円」
 原発ゴミの
 捨て場をあさる

 六ヶ所の 核処理施設
 見にきてね
 七千円です 二泊三日で
 「行革」の 言葉の魔力に
 とらえられ
 核ゴミ誘致に 走る町議ら

 源流の 茶やグロリオサ 守りぬけ
 核ゴミ入れるな
 農家も立った

 僕も、また
 グロリオサのごと 燃えたって
 野にいたいもの 走りたいもの

 町民の
 核ゴミいらぬの 切望が
 町議の心 とらえ始めた

 全議員 「誘致する」派の この議会
 全員「やめた」
 世論がおした

 正副の 議長辞任で 責めを負い
 核ゴミ誘致が
 ジ・エンドとなる

   ニーグリップをして緑に向かう

 明日も晴れ
 天気予報に 「わおーっ!!」の声
 雨具をおいて バイクは走る

 空は青 道、山あいに 続いてて
 ニーグリップし
 緑に向かう

 あやつれば 思いのままに 動いてる
 バイクってやつ
 風切っていく

 カメムシの 集中攻撃 受けながら
 夜のバイクは
 室戸をぬける

 事故もなく 家に着いたよ
 きょうも、また
 バイクのタンク なぜてやりたい

   別れる間際にいがみ合う日

 三日日間 訪れくれし わが妻と
 別れる間際に
 いがみ合う日よ

 離れ住む 妻に電話を しない日々
 きょう一日目
 あすは、どうかな

 道わきの 夫婦岩(みょうといわ)にも
 腹が立つ
 妻との喧嘩 トゲが抜けない

 がちがちと 妻への怒り
 かみしめて
 たかぶる心 静めてる夜

 怒りなど 忘れたように 電話する
 相手の妻も
 何もないさま

   高知県安芸市の「寅さん地蔵」

 「おお、ここか。元気でいたかよ」
 「寅さん地蔵」に
 声かけている

 マンジュシャゲ
 「寅さん地蔵」を 飾ってて
 「うん、いいシーン」 シャッターを切る

 徳島県の一ノ森、剣山(つるぎさん)

 百メートル 上って、休み 目指してる
 剣山頂
 まだまだのよう

 
 雲生まれ 雲流れゆく 瞬間を
 ほうけて見てる
 一の森、朝

   高知県立短期大学を守れ

 短大を 守れ、守れと
 吉良県議
 知事との論戦 火花散ってる

 定年後 僕もいくんだ 短大に
 残してほしいよ
 高知の宝

   秋の花たちとの語らい  

 レンズ向け きれいな花と 対話する
 より美しく
 君を撮りたい

 花びらに 燃えるタイマツ 一つ持つ
 ホテイアオイが
 群れ集まった

 そうなんだ
 この濃い赤が 見たかった
 コスモス畑で 出合った一花

 道沿いに キンモクセイが 咲いていて
 吸い込まれてる
 自転車もろとも

 「おお君か」
 燃える思いの グロリオサ
 木曜市で 語りかけてる

 今年も また出合えたね
 透き通る 黄の肌をした
 アブチロンたち

 妻の実家(や)の 庭のサザンカ 咲き誇る
 わが亡き母が
 植えたものとか

 雨に濡れ 白く咲いてる 花に合う
 冬の街角
 君は何て名

   このごろの僕の、不満と不安

 わが心 ゆすってやまぬ 歌よ出よ
 秋の夜中の
 不満の一つ

 もし僕に 「のだめ」の才能 あるならば
 音にしびれて
 宙に浮いてる

 忙しい? それとも病気?
 二カ月半 変わらぬブログ
 主、案じてる

 朝、夜と 働いている
 せいなのか
 携帯電話の つながらぬ人

 なんだかね 涙が出ちゃう
 夜のこと
 人恋しいが 独りを楽しむ

   遠くの「君」への、この思い

 青空に 白の絵の具で かいたのは
 きっと君だね
 元気でいるか

 馬路産 木製バッグ 買っている
 都会の妻の
 眼鏡にかなうか

 つらいよね。
 風邪をひいても、独りかね。
 彼の地の妻も 独りの暮らし

 ごめんねと いってる口で ケリ入れる
 この女性(ひと)と妻
 同じ性格

 電話口 「偕老同穴(かいろうどうけつ)」
 ささやけば
 「怖い」と返す 妻の心根

 離れ住む 柔らか笑顔 思いやる
 五十九歳も
 妻に恋する 

 いま、まさに 自転車引いて 帰宅した
 携帯の妻
 「ワハハ」の声聞く

 快活な 妻の語りを
 少し聞き
 「さぁ、寝るべえか」 二階に上がる 

   世の中の変化の一瞬

 空き店舗 ライブ舞台に なっている
 ここ菜園場(さえんば)は
 どっこい、生きてる

 最後尾 肩車され 見入る子ら
 生協まつりの
 一万の人
 

   土佐弁で僕の思い歌う

「いかんぜよ 働らかんとね」
 みずからに カツを入れてる
 昨日も、きょうも

 オキウルメ
 干してるとこで 「こうてきて」
 昼のおかずか これぞ、ぜいたく

 土佐弁の 「はらんぐみ」など 議論する
 酒飲みいさめる
 いい言葉だね
 

 「ばぶれたい」
 突き上げてくる 思いけり
 住みかに向かう 秋の夜のこと

 要するに
 日本共産党(とう)の議席が 増えないと
 「てこにあわん」よ この日本は

   楽しんで食べることの意味

 ごちそうは いつでも、どこでも
 刺身です
 昼のおかずに 買い求めてる

 売店で タタキ弁当 買い込んで
 列車で食べてる
 出張の朝

 アブラゲが 丸々一つ 入ってて
 きつねうどんに
 ほくそえんでる
 

 マツタケの 三つの皿が 万近く
 僕は、やっぱり
 エリンギを食う

 モーニング 独りで食べる 老女あり
 そのさびしさが
 身にしみる秋

   がんばれ僕らの教育基本法

 このままじゃ…
 教育基本法 がんばれと
 「ぞーもんでいる」 きのうも、きょうも

 アタックの 大事さなどを 痛感し
 今夜も見てる
 世界女子

 自、公めが 悪法採択
 ニュース聞き
 ラーメンの汁 ぐいとのみほす

 悪法が 衆院通過
 その夜にも
 教育守れの ビラ配りいく妻

 「教育基本法改悪(きょうきほう) 
 まだ、これから」と 快活に
 息子(こ)は、語りいる 夜中の電話

   秋から冬への季節の中で

 子らの手は きょうはポケット
 夏並みが ぐんと冷え込む
 立冬の朝

 人気けない 家の二階の ツタ燃えて
 秋から冬へ
 季節うつろう

   初めてカラー年賀状をつくったよ 

 初めての カラーの賀状 刷っている
 シュッシュ、シュッシュと
 いい音立てて

 「おーい、君。元気でいるか」
 呼びかけて
 年賀状書く 昨日も今日も

   紅葉の京都を妻と二人で歩く

 別々の 深夜のバスで 向かってる
 合流先は
 紅葉の京都

 デジカメの
 撮影モード 「紅葉(もみじ)」にし
 赤の世界に 溶け込んでいる

 川風に
 紅葉(もみじ)舞ってる 中にいて
 「う、わーっ」とだけ 表現してる

 里荒らす 猿がいるとか
 合いたいな
 人気を避けて 高雄を歩く

 仁和寺(にんなじ)の 堂の向こうの
 赤紅葉(あかもみじ)
 黄、黒、白が カメラを向ける

   一泊二日の「親孝行」旅行

 連れ添って 五十数年 妻の父母
 われら二人と
 温泉旅行

 内心は 孝行旅行の つもりだが
 運転、財布も
 義父(ちち)にお任せ

 海に浮く 食堂があり
 貝食べる
 まわりの海で ボラが飛んでる

 「ひろちゃん」と 呼ばれて妻は
 「はい」という
 五十八でも 娘は娘

 「おい、お前 それでいいのか」
 人間を 吟味している
 ヘテの目と牙

   高知県伊野町の勤評闘争

 わが町の 勤評闘争 調べてる
 反対した人
 賛成した人

 勤評の 同盟休校 写真見る
 弟、どこかで
 笑っているはず

 今度こそ 戦争への道 拒みたい
 勤評出さない
 われらが校長

 勤評の 大闘争が 生きていて
 教育長ら
 教育基本法(きほんほう)守れ

 日を追って 仲間が増える たたかいで
 追い詰めている
 教育守れと

   キム・ヨンファンという青年

 次々と 友だちつくる 才を持つ
 キム・ヨンファンは
 笑顔がいいね

 好青年
 キム・ヨンファンが 去るという
 高知の街は さびしくなりそう

  教育基本法が改悪された日のこと

 参院委 悪法通した 夜のこと
 テレビの字幕
 「攻防続く」

  プラスター 改悪ノーと 呼びかける
 はりまや橋の
 会期末、朝

 悪法が 通ったニュース あっさりで
 テレビら、今夜も
 楽しい日本

 権力の 教育介入 こばみぬく
 国民パワー
 明日から築く

 「♪戦争が 起きないように」
 綾香、聞く
 改悪法が 通った翌朝 

   二〇〇七年に僕がやりたいこと

 写真入れ 短歌を添えた はがき刷る
 うん、これもいい
 本にしたいな

 三分で 読める小説 書いてみる
 三篇できて
 ほくそえんでる

 ああ、これも
 恋人が死ぬ 映画です
 ハッピーエンドを えがいてみたい

 戦争を 聞き取る仕事
 来年も やりたいものだ
 仲間募って

 戦争は やってはいかん 六十年
 九条守れの
 声満ちる年

   冬の高知県四万十市を歩く

 一日を 生きたしるしを 身に刻み
 一年生きて 消えるとか
 いとおしいアユ

 十川(とうかわ)で 生徒ら降りて
 僕一人
 夕の予土線 下っているよ

 真っ白な 朝もやの中
 四万十(しまんと)は
 晴れ上がる時 じっと待ってる

 朝もやが すっかり飛んで
 とうとうの 四万十川と
 空の青さと

 狛犬に
 「出征記念」の 文字残す
 ここ西土佐の 戦争の時

 
   両手で渡すもの、つぐもの

 「名刺はね 両手で持って 渡すのよ」
 大後輩の
 説教を聞く

 「お酒はね 両手でつぐもの」
 「おお、そうか」
 説教されてる 五十九歳が

    友たちと会いたい夜のこと

 亡き友の
 今年の年賀 読んでいる
 意気揚々で 文字躍ってる

 亡き友の 長男殿から
 メールくる
 「わが父のこと 知っていますか」

 後輩が 五十七歳 亡くなった
 喪中はがきは
 その妻の名で

 旧友の 電話不通で
 「もしかして」
 眠れない夜を 過ごしているよ

 演説も 「カラオケマイク」で やっている
 候補者、君に
 エールを送る

 岩国の 友のブログに ワッハッハ
 幸せそうな
 家庭が見える

 うれしいね 三十九歳 年下の
 「飲もうよ」メール
 いい年の瀬だ

 五十九と 二十歳をつなぐ 歌の群れ
 ザ・ブルーハーツは
 うん、いい感じ

   海があり、川、山があり、安全で

 海があり 川、山があり 安全で
 ついの住家を
 師走に探す

 八軒を たずねて歩いて まだ、迷う
 ついの住家は
 まだ決まらない

   正月のもちなどを買うおおみそか

 二夫婦で 恩師の墓に まいってる
 おおみそか朝
 お世話になった 

 同い年 一年ぶりの 二夫婦が
 病気のことで
 盛り上がってる

 来年は 病気のいくつか 治ってて
 会いたいものね
 いい人だ、妻

 おおみそか 午後三時前 メール年賀
 打ってくる息子(こ)よ
 せっかちすぎるよ

 正月の もちなどを買う おおみそか
 来年こそは
 来年こそは

 二億円 当たるつもりの
 宝くじ
 九百円を ゲットしている

 やっぱりね
 締め切り過ぎて 年賀書き
 僕、妻、弟の おおみそか、夜

 紅白は 面白くない
 いいつつ見てる おおみそか
 妻、弟と だんらん時間

   一冊だけの『いま風になって』

 ブログ開け
 みずからの短歌(うた) コピーする
 二年で千首 詠んでいそうだ

 出版の 費用ないこと 承知して
 二年の歌集
 編んでいる午後

 日の目見ぬ 歌集の名前 考える
 『いま風になって』
 うん、いい感じ

 二つもの パソコン駆使し 編んでいる
 わが新歌集
 形なしてる

 さぁ、刷るか
 十二時間 作業の末に
 一冊できる

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【二〇〇七年前半】

 【二〇〇七年前半】

   元旦の「二〇〇七年第一声」

 候補らが 十六人も うちそろい
 日本共産党(とう)の一声
 元旦、高知市

 元旦の 街頭宣伝 着物でね
 香川県議の
 たすきのハート

 パソコンで
 三十一文字(みそひともじ)を 組み立てて
 「戦争いや」を ブログにはなつ

   繰り返し年賀状を読んで

 繰り返し 年賀読んでは
 友のこと 思い出してる
 元日の夜

 加齢ゆえ 今年で最後 年賀状
 ケアハウスにいる
 米寿の女性

 老兵は 戦争への道 拒むため
  余命捧げる
  年賀の思い

 三千余 九条守れの サイン得た
 「署名おじさん」
 ピースの笑顔

 「亥」の色紙 年賀にいただく
 お返しの 手作り歌集
 刷っている夜

 先輩は 大学五年 七十歳
 年賀を前に
 「すごい」の感嘆

 高原に 移住してから 八カ月
 退職先輩
 山頂で笑む

 「定年に 秒読みだわね」
 お互いね
 年賀の文字に 語りかけてる  

 「六十の 路は明るく 前向きに」
 高松の
 元同級の イノシシ年賀

 おお、君は いま福岡か
 記者はつらいね
 単身赴任か

 「人生は まだまだだわよ 半分ね」
 娘の年賀の
 孫たち笑顔

    大阪市の友は「千の風になって」

 眠られず うつらうつらの 朝のこと
 友の急死の
 電話を受ける

 十日前 元気な電話が かかってた
 友が亡くなる
 五時間前に

 世の中が 青から黒に 変化した
 友の急死の
 知らせを受けて

 意を決し 黒ネクタイを ぐっと締め
 最寄り駅から
 通夜へと向かう

 「千の風…」 流れる中を
 白花が 積まれていくよ
 涙でかすむ

 亡くなって 一カ月だね
 携帯に コールをすれば
 「使われてない」

   漫画『ピアノの森』を読んで

 カイ君の ショパンの音を 聞きながら
 『ピアノの森』の
 ページをめくる

 娘、むこ 僕とを結ぶ 共通項
 『ピアノの森』が
 好きということ

   高知県東洋町からの便り

 わが町の 「清ら」を守れ
 年賀くる
 東洋町の 良識を聞く

 住民の 六割強が 署名した
 「核ゴミ ノー」が
 奔流になる

 町議らの 半数、いまや
 核ゴミの 持ち込みノーの
 旗をかかげる

 六割の 反対知っていて
 核ゴミを もってくる気か
 この町長は

 核ゴミの 持ち込み禁止の
 条例つくれ
 猛スピードで 署名集まる

   菜奈ちゃんと、お母さん

 「きょう無事に 女の子をね 産みました」
 友の電話の
 晴れやかなこと

 「母さん」が ブログ再開
 よかったね
 母子ともどもに 元気の様子

   太陽生命の営業職員たち

 なぜなのよ 雇用保険が ないなんて
 女二人が
 立った日のこと

 組合に 入って二カ月
 おお、ついに
 雇用保険が やってきた日よ

   四万十川にも手を振って

 中学の 同学年も 駆けつけて
 友の選挙は
 攻め抜く構え

 「頼みます」
 四万十川にも手を振って
 政党カーは まちめぐりゆく

 片手上げ 手を振っていく
 オートバイ
 政党カーは 西向けてゆく

 声そろえ 「がんばって」コール 女子高生
 政党カーは
 おうとこたえる

 午後十時 「四人全員」 知らせあり
 四万十町の
 喜びを聞く

   独りの暮らしって楽しいよ   

 「疲れたわ。漢字ナンクロ、やりすぎて」
 夜中の妻の
 電話、切ってよ

 「たまにはね 君からだって いいんだよ」
 毎夜毎夜の
 妻への電話

 風邪にふす 妻の看護も できないで
 単身夫
 沈んでる夜

 居残りが 独りだなんて さびしいよ
 帰ってきたが
 ここも、ひっとり

 空気だけ 冷やしているよな 冷蔵庫
 せめてビールを
 どどっと入れる

 次々と
 わがプログラム 削除して
 快適パソコン 模索する夜

 エルビスは 大音量で 聞くべきだ
 イアホンで聞く
 長屋の僕は

 「咳をしても 一人」ぼっちの 真夜中に
 鼻汁ずるると
 すすっているよ

 「悪いけど 仕事の電話 待ってるの」
 午後十一時
 妻との通話

   DVDで韓国映画を見る夜

 「パーボ(馬鹿)」って
 愛告げている 映画見る
 「お馬鹿さんねえ。あなたが好きよ」

 聞き取れる ハングル単語を
 メモにして
 映画見ている 今宵の僕は

 「フン」なんて 鼻で声上げ
 見ているよ
 何回目かな いい映画だな

   六十歳の誕生日がやってくる

 早々と 誕生日祝う 手紙くる
 眼鏡屋さんの
 心づくしの

 還暦を 祝ってくれる 人らいて
 胸熱くして
 杯を重ねる

 「姉さんの 父への祝い 届いたわ」
 妻が息子に
 圧かけている

 朝刊に わが記事二本 載っている
 六十歳は
 まだまだいける

 とにかくも パソコンを開け 向かうこと
 迷いが解けて
 記事、姿なす

 白黒を 初めて見たね 十二歳
 六十迎え
 デジタル迎える

     僕が「うれしい」と実感する時

 四時間の 走行距離まで 出張で
 バイクにブルルと
 カツを入れてる

 目の前で 意外な事態 起こってて
 僕のカメラも
 パシャパシャ元気

 息つめて
 百五十行 書き切って
 「送信済み」の マーク笑んでる

 久しぶり 弟がきて アテつくり
 「あす」のことなど
 語り合う夜

 何ゆえか ブログのアクセス 多い日よ
 「うん、ありがとう」
 世界にお礼

 「ああ、君も 同じ思いで 生きている」
 心のメール
 読む晩のこと

 朝早く われらが新聞 開き見て
 わが記事二本
 繰り返し読む

 「がんばって。私もとるわ。よろしくね」
 購読するの
 メールがきた朝

 「よかったよ。この前の記事」
 「ありがとう」
 何だか顔が にやけてくるよ

 九時間も寝きって目覚め
 風呂に入る
 デジカメOK バイクに向かう

 風邪ひきの 妻のトゲトゲ 取れてきて
 「元気、元気」が
 復活したよ

 朝六時 室戸を西に 走行中
 僕のバイクが
 一万(キロ)超えた

 殺された 男も女も
 三味に乗り 笑顔で登場
 舞台あいさつ

   息つめて咲くハクモクレンは

 青空に 向かって咲いてる 白い花
 バイクを止めて
 撮りこんでいる

 純白の 花の盛りは 短くて
 息つめて咲く
 ハクモクレンは

   高知市大津はサギの飛ぶ里

 舟戸(ふなと)やら 北浦などと
 海だった 昔とどめる
 街走りゆく

 広々の 畑に群れる 白い鳥
 転居の先は
 「シラサギの里」

十人が 座れるテーブル 用意して
 「わが家(や)作戦」
 着々進む

 朝食に
 「庭産直」の ニンニク葉
 調理している 新居の片隅

 「いらっしゃい。エノキのねきの 古家(ふるや)です」
 転居案内 メールに打ってる

 桜咲き
 みずうみの中 苗乗せた 田植え機がいく
 大津の里は

 ゲコ、ゲコの 合唱聞いて 帰ってる
 農ある街の
 夜の楽しみ

   独り家の八人の卓

 妻、娘 孫に親類
 加わって
 独りの家の 八人の卓

 くるくると 野を踊りゆく 六つの孫娘(こ)
 生きるエナジー
 内よりわいて

 やっぱりね 娘の娘
 トランプで 負けてくやしい
 涙ためてる

 シャボン玉 「私のほうが大きいよ」
 三歳、六歳 張り合っていいる

 娘、孫 去ったわが家に 残された
 おもちゃ、おむつは
 「またくる」サイン

   日本共産党(とう)のビラを配る

 電車にも 「四月八日投票日」
 ぞうもむ思いで
 その日に走る

 坂上り 階段踏みしめ あご出して
 日本共産党(とう)ビラ配る
 明日は投票

 このビラの 思いよ届け
 一軒も 逃さぬように
 ビラくばりゆく 

 ビラまきを 迎えてくれる フジの花
 「お読みください」
 声をかけつつ

 この次は 八つのバラを 咲かせたい
 新しいビラ
 玄関に積む

 あした晴れ
 ビラまき日和と ほくそえむ
 午前零時だ ベッドに向かうか

 おお、やっと 三ラウンドで 完了だ
 五百枚もの
 ビラを配れた

 ビラをまく 夢みて起きて ビラをまく
 「あと二日後だ」
 自己をむち打つ

 川岸で シルバーカーに どんと座り
 わがビラを読む
 ばあ様のこと

 夕時の 「天使のはしご」 見上げつつ
 ビラまいている
 思いよ、届け

   核ゴミ施設を撃退した日

 核ゴミに反対してる女たち
 会場整理
 一糸乱れず

 貧乏は耐えてみせるが
 核のゴミ絶対いやと
 女らの声

 宍喰(ししくい)の宿の主人も
 核ゴミに絶対反対
 話が弾む

 世の中は変えられるぞと
 信じきて四十二年か
 明日の策ねる

 エネ庁が
 「安全だよ」とラッパ吹き
 核ゴミいやの世論固まる

 「交付金 原発麻薬」の
 日本共産党(とう)のビラ
 核ゴミ勢力あわてふためく

 「核ゴミに反対です」の看板の
 立ち並ぶ町
 わがバイクいく

 「核のゴミいやだ」の候補
 圧勝で
 サーフィンの町深夜までわく

 「核ゴミの応募やめます」
 電話するシーン撮ったよ
 シャッターいい音

 サーファーの
 核ゴミいやで始まった
 思いが実った春の日うらら

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【二〇〇七年後半】

   【二〇〇七年後半】

 七月からです。

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