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2006.12.05

四国、よいとこ 1029 三分間で読める小説。「高校の職員室の前の成績表」。

 二〇〇六年十二月四日。

 三分間で読める小説の第三弾です。

 小説 高校の職員室の前の成績表

 僕は、高知市の高知県立高知追手前高校を卒業しました。
 その高校のことを思うと、実力テストのことを思い出します。
 実力テストが終わってしばらくすると、職員室の前に学年ごとの上位百番まで氏名と点数が書かれた白い紙が壁面いっぱいにはられていました。

 あれは、いつから始まったのでしょう。
 少なくても僕が三年生になってからは、それが、そこに掲げられました。
 僕にとっては「気持ちのいもの」でした。
 いつも、少なくても一ケタ台に僕の名前があったかです。

 となりまちの町立中学校を卒業したときの成績は「オール5」でした。
 小学校では、成績は「中ごろ」でした。
 中学校に入って、体操部に入って、何か自信がつきました。「僕も、こんなことができるんだ。僕ってすごい」って感じでしょうか。
 急に勉強も好きになりました。

 ところが高校に入ったら「広い世界」になり、そうはいかなくなりました。
 かなり「普通」の成績になりました。
 一年生の一学期に体操部の練習中に右腕を折ってしまいました。
 このことが僕を「ますます普通」の成績にしました。
 そのうえ、受験、受験と追い立てる一部の教師たちが嫌いになってしまいました。
 「お前の授業なんて…」って、感じです。
 ますます、成績表は3が中心で、少し4ということになっていきました。

 実力テストは、僕には、嫌いな教師たちを見返してやる舞台になりました。
 3のやつが上位に躍り出る。
 「お前たち教師の教え方がよかったのじゃなくて、僕が独自に努力したんだよ。えっへっへ」
 こんな感覚でした。
 壁面の番号を見て、一見クールな表情をしながら、心の中では「えっへっへ」と、ほくそえんでいる。
 そんなヤナ高校生でした。
 三年生最後の実力テストの結果がはり出され、僕の名前が一番上にあったときは、心の中で小躍りしました。

 こうした僕のゆがんだ性格を矯正するには何年もかかりました。
 もしかすると、まだ矯正されていないかもしれません。
 たぶん。きっと。

 なぜ、こんなことを書いたのか。
 実は、きょう、二〇〇六年十二月四日、ある男性が僕の二年後輩だとわかりました。
 子どもが真っ直ぐ伸びていける教育を守ろう。教育を教育基本法を改悪させてはいけない。そう思って、一生懸命走り回っている人です。
 「追手前高校には、いい思い出はないですね。高校時代はビートルズばかり聞いていました」
 その彼が、「いい思い出はない」の例としてあげたのが、この壁の百番までの成績表だったのです。

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