四国、よいとこ 2223 熊井啓監督の長野県を舞台にした映画「朝やけの詩」の鮮烈さ。
二〇〇七年五月二十四日。
二十三日、映画監督の熊井啓さんが亡くなりました。
彼の作品では「朝やけの詩」(一九七三年十月二十七日。製作=俳優座=東宝)が素敵でした。
仲代達矢(作蔵)
関根恵子(春子)
岩崎加根子(八重子)
川瀬裕之(和夫)
蛯名由起子(道子)
北大路欣也(朝夫)
松本克平(与一)
牧よし子(すみ)
佐分利信(稲城慎吾)
村瀬幸子(綾)
竹内亨(飯沼)
信欣三(五味)
橋本功(田口記者)
近藤洋介(神山)
永井智雄(塚越)
浜田寅彦(清川)
稲葉義男(虎平太)
三笑亭笑三(為次)
野中マリ子(為次の嬶)
成瀬昌彦(政春)
小林亘(軍蔵)
川上夏代(軍蔵の嬶)
立花一男(音吉)
山本清 (直二郎)
松野健一(嘉市)
桧よしえ(まさ)
福田豊土(校長先生)
新田勝江(まき)
大塚訓代(若い女中)
佐藤和男(慎吾の秘書)
秘好照果(老婆)
中村たつ(中年の女)
山崎直衛(組木)
菅井きん(おひで婆さん)
舞台は、日本アルプスを展望する信濃高原です。
作蔵は、二十五年間、日本一の大開拓村を建設しようと情熱を注いできました。
妻・八重子は、貧困に負けたのか逃げ去っていました。
娘の春子は作蔵を手伝い、弟妹の和夫、道子の面倒をみていました。
春子には、朝夫という恋人がいました。
アポロ観光社長・神山は、この高原地帯にレジャーランドを建設しようと地元の有力者・稲城と結託しました。
稲城から多大な借金を背負っている村人たちは、約五億円の金が村にばらまかれるということで浮き足だちました。
石工の朝夫は、稲城に反感を抱きましたが、亡くなった父が稲城の兄だったことを知り動揺します。
そして、稲城が開拓村に手をつけないという条件でアポロ観光の現場主任を引き受けました。
数日後、朝夫の願いを無視してアポロ観光の測量が開始されました。
作蔵は測量を妨害し、警察に逮捕されます。
この事件を契機に村は、開発賛成派と反対派に分断されていきました。
朝夫は稲城家の血を引く唯一人の男として残る限り、今後の生活を保障するといわれます。
春子は開発派から逃れきれない朝夫を批難しました。
稲城から、数百万円の立退き料が村人に渡されました。その金のほとんどが借金の返済として稲城に吸い上げられていました。
作蔵だけが、かたくなにアポロ側との交渉を拒否していました。
そんなある日、作蔵の馬や為治の豚が原因不明のまま死んでしまいました。
村人たちは疑心暗鬼に陥りました。
そんな時、アポロ観光の現場事務所が何者かに放火され、その嫌疑が作蔵にかかります。
彼をかばうかのように朝夫が自首しました。
警察は二人を共犯として逮捕します。
数日後、二人は証拠不十分で釈放されます。
事務所に放火したのは、神山たちで、作蔵にとどめ刺そうとの謀略でした。
作蔵の開拓への夢は完全に打ちのめされていました。作蔵は村を出る決心をしました。
幼ない弟妹は八重子が引きとることになりました。
春子と朝夫は、花の咲き乱れる高原で最後の時を過ごしました。
翌日、作蔵が春子に渡した汽車の切符は、行く先と反対方向でした。
「朝夫さの所へ行け! おらあ、みとどけるだ。この土地がどうなるか……」
作蔵は開拓村近くの博物学者・五味のところで働くことを決心していたのでした。
春子を乗せた汽車は、白煙を上げて次第に去っていきました。無理に笑みを浮かべて手を振る作蔵をホームに残して……。
映像の長野を見て、「いってみたい」と思いました。
その後、何回もいき、チャンスがあり一年間暮らしました。
もう一度見たい作品です。
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