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2007.05.24

四国、よいとこ 2224 僕、二十六歳。札幌市に住んでいて、詩「『タコ』について」を書いた。

 二〇〇七年五月二十四日。

   「タコ」について

 「しびれるのかい…」
 「………」
 「すし屋も、床屋も…。手の先に力をいれる人は、みんな、そんなんだね」
 札幌駅北口。
 そこから少し歩けば、このあんま屋さんがある。
 その奥さんの話。

 「昭和十七年ころ、樺太(からふと)で清水組の会計をやっていた」
 <ホー。それにしても痛い。こっちは、あんまは初めだ>
 「そこのタコ(労務者)の生活は、ものすごいものだった。
 髪はボウボウ。布切れは一枚。それに裸足」
 <へー。寒かっただろうに>
 「私たち若い娘が近くを通ると『ギャーッ』とサルのような声を出す」
 <この奥さん。娘のころは、どんなだったろう>
 「仕事が終わると、馬小屋のような所へギューギュー押し込まれる。
 逃げたりすると大変だ。
 コメのカマスに入れられて生き埋め」
 <ヒェー>
 「トロッコでドンドン土を運んできて…。
 親には骨にしてからじゃないと渡さない」
 <ひどい仕打ちがばれるからか…>
 「朝鮮語の手紙が落ちてたこともあった。
 組の連中は、いい気なもんで、ボンボン火をたいて、またあぶりなんかしながら見張っている」
 <このヤロー>
 「酒もウイスキーも砂糖もたらふくあった。
 内地から芸者をどんどんあげて、やつらはいい思いをした」
 <ひでーやつらだ>
 「この近くにだまされてタコにされた人もいるよ」
 <僕の生まれたのは昭和二十二年。ほんのちょっと前のことだ>

 こんどは、おやじさんにかわった。
 「だんな。こってるね。……へぇ、二十六。働きすぎだよ。ここにくる人は、みんなそうだ。おれだってそうだけどね」
 (一九七三年四月二十日)
 注・一九七三年一月から北海道札幌市に単身赴任していました。先輩と二人で下宿していました。そこでで知ったタコの話です。労働者を、かなりの期間、身体的に拘束して非人間的環境の下で重い肉体労働をさせることをタコ部屋労働いいます。タコ部屋労働で使役された労働者をタコと呼び、タコを監禁した部屋をタコ部屋(ないしは監獄部屋)と呼びます。

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