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2009.12.07

今井正監督の戦中の仕事と反省。

 映画監督の今井正さんは、戦争の時代に侵略戦争賛美と思われる映画をいくつかつくっています。
 一九三九年、「われらが教官」(東宝映画)。軍国美談もの。モデルは飯塚部隊長。
 四〇年、「女の街」(東宝映画)。戦地に夫を送った妻がけなげに留守を守る話。
 四三年、「望楼の決死隊」(東宝映画。後援・朝鮮総督府)。作品の時代は三五年で、日本にとって重要産業地帯だった満州(中国東北部)と朝鮮の国境でたたかう日本警察官たちの活躍を活劇風に描いた作品。
 四四年、「怒りの海」(東宝映画)。戦艦建造学の権威・平賀譲博士がモデルです。二三年、ワシントン軍縮会議で主力艦力の比をアメリカ、イギリス、日本五対五対三に決められた日本海軍は、平賀博士を中心に量より質で勝負しようと決意しました。俊英艦の建造に苦労する博士……。

 こうしたことについて今井監督は、どう思っていたでしょうか。
  『今井正「全仕事」 スクリーンのある人生』(映画の本工房ありす。九〇年十月一日)に、そのことを書いた「屑屋(くずや)開業」という文章が載っていました(初出・『映画手帖』五〇年十二月号)。
  「私は学生時代に左翼運動をやり、何回か引っ張られた後転向した。そして戦争中に、何本かの戦争協力映画を作った。私は、そのことを、私の犯した誤りの中で最も大きな誤りであったと深く恥じている。しかし、戦争が終わった後も、いかなる立場を守るべきかということを永い間、私はためらっていた。前途に横たわる困難な時代を、果たして動揺なしに切り抜けられるだろうか---自分の弱さを知っているだけに、私のためらいは大きかった。心の中のエゴイズムと闘いながら、その問題を割り切ることができるまでに年余の月日を経過した」
 「私は、この前の戦争に際して犯した誤りは、二度とくり返してはならないと考える。自分の信念を忠実に守り抜いていきたいと考える。そのために、ハーモニカすら鳴らすことができなかったとしても私の心は満足と誇りを感ずるだろう」

 今井監督は、戦後、四六年に戦争中の財閥を批判した「民衆の敵」(東宝映画)、九年に「青い山脈 前後編」(藤本プロ・東宝)、五〇年に「また逢う日まで」(東宝)などの監督をしていました。
 そして、この文章を書いた当時は、アメリカ占領軍のレッド・パージ政策のもと「アカ」だということで映画界からボイコットされていました。

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