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2010.01.08

地球温暖化 日本でCO2を削減するための3つの大切。【第五稿】

 地球温暖化問題の解決が世界の課題になっています。
 その中で、日本でCO2を削減するために、いま何が必要かということを考えます。
 そのために私は、3つ大切なことがあると思っています。

 【地球温暖化問題というのは、どういう問題なのか】

 本論に入る前に、地球温暖化問題というのは、どういう問題なのかということにふれておきたいと思います。
 これは、地球の大気中の二酸化炭素が増えていることからおこっているといわれます。
 たしかに、45億年前に地球ができた時は、大気中の90%が二酸化炭素でした。二酸化炭素は、地球にあたる太陽熱を、外へ逃がさずに内にこもらせる作用(温室効果)をもちますから、当時の地球の表面は、ものすごい高熱でした。ですから、35万年前、地球に生まれた最初の生命は、海の中を誕生と生活の場所としたのです。その生命が、進化してゆく過程で、二酸化炭素を吸って酸素をはきだす植物系の生命体が生まれました。それらの生命体が、光合成の作用を30億年以上も続け、地球大気を改造していきました。こうして、大気の構成(窒素、酸素、二酸化炭素)が、ほぼいまの状態に近づき、上空にオゾン層もできたころに、4億年前、生命体の地上への上陸が開始されたのです。
 いまの地球大気はも生命体と地球が31億年の年月をかけてつくりあげた「生命維持装置」です。
 この大気の構成は、地上での生物の進化が進み、400万年前に人類が生まれても、16世紀、17世紀ごろまでは、ほとんど変化することがありませんでした。
 ところが、資本主義が生まれ、18世紀に産業革命がおこってから、「生命維持装置」の異変が始まりました。人間社会が消費するエネルギーが急増して、大量の二酸化炭素を大気中に排出するようになり、大気に異変がおこりはじめました。
 18世紀半ばの産業革命のころは、人間が使うエネルギーは石油換算で300万トンほどでした。19世紀には1億トン、20世紀の第二次世界大戦が終わったころには13億トン、いまでは、110億トンないし120、30億トンぐらいになっています。これに応じて、人間社会が吐き出す二酸化炭素の量は増え続けています。
 その結果、数十万年から100万年のあいだ、0.03%以下の水準で動かなかった大気中の二酸化炭素の濃度が、21世紀を迎えて0.04%の水準に急速に近づきだしました。
 その影響は、すでに予想をこえた気象変動となって世界各地に被害を及ぼしています。
 何としても、これを、いまの時点でくいとめなければなりません。
 幸いに世界の知恵は、「気候変動に関する国際連合枠組条約」(1994年6月21日)、「気候変動に関する国際連合枠組条約京都議定書」(1997年12月11日)を生み出しました。
 この条約、議定書をどう活用して地球温暖化問題にあたるか。それは各国の誠実さが問われる問題です。

 【その1 他の国はどうあれ、25%削減をみずからの目標に掲げて実行すること】

 その1は、日本として、率先して野心的な中長期の法的拘束力のある削減目標を掲げ、他の国はどうあれ、それをみずからの責任として実行するということです。
 鳩山首相は、2009年9月22日、アメリカのニューヨークの国連本部で開かれた世界90カ国以上の指導者が出席した国連気候変動首脳会合で、温室効果ガス削減の中期目標について、「1990年比で2020年までに25%削減を目指す」と表明しました。
 演説で首相は「あらゆる政策を総動員して実現を目指す」として、企業間で排出枠を売買する国内排出量取引制度や、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の導入、温室効果ガス対策税(環境税)を検討する考えを示しました。
 鳩山首相は「わが国だけが高い目標を掲げても気候変動を止めることはできない。世界のすべての主要国による公平かつ実効性のある国際的枠組みの構築が不可欠だ」とも強調しました。
 同年12月にデンマークのコペンハーゲンで開催された国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)での合意は、途上国への資金援助がともかくも盛られたのは積極面ですが、世界全体で2050年までに温室効果ガスを50%削減することも、そのために先進国が掲げるべき積極的な中長期の削減目標の数字も、いっさい明記されない不十分な内容となりました。
 この「合意」にもとづいて、日本政府は、2010年1月27日、25%削減目標を国連の条約事務局に提出しましたが、それには、すべての主要排出国が地球温暖化対策の新たな枠組みに参加し「意欲的な目標」で合意することなどを条件としました(「しんぶん赤旗」、2010月1月28日付)。
 しかし、日本としては「世界のすべての主要国による公平かつ実効性のある国際的枠組みの構築」にこだわらず、他の国はどうあれ、25%削減をみずからの目標に掲げて実行するということが大切だと思います。

 【その2 25%削減へ国と産業界とが「公的削減協定」締結すること】

 温室効果ガス25%削減の中期目標を実効あるものにするには、政府が、排出量全体の7割を占める産業界と公的削減協定を締結し、大企業に温暖化対策での社会的責任を果たさせることが不可欠です。
 ここが2つ目に大切なところだと思います。
 しかし、25%減について財界からは「(25%は)産業界から言って、荒唐無稽(むけい)。国益に反することは明々白々だ」との非難の声があがっているという状況があります。
 こういう状況を突破していくためには、財界の言い分を批判しながら、説得力ある論理を構築してことにあたることが必要です。
 その意味で、日本共産党の市田忠義議員の一連の提起は貴重です。
 市田議員は、2009月10月30日の参議院本会議での代表質問でも温暖化ガス25%削減へ国と産業界との「公的削減協定」締結をと政府にせまっています(「しんぶん赤旗」、2009年10月31日付)。
 「総理は、2020年までに1990年比で温暖化ガスを25%削減するという目標を掲げられました。問題はこれをどうやって実現するかであります。一番のポイントは温暖化ガスの最大の排出源である産業界、全体の8割を占めていますが、ここに削減のための実効ある措置をとらせることできるかどうかにかかっています。ところが鳩山政権の政策には、この最も重要な点が欠落しています。日本経団連の自主行動計画まかせでは削減がすすまないことは、京都議定書締結以降、排出量が減るどころか逆に増えてきたことをみても明らかです。EUなどでは、排出権取引制度や環境税にとどまらず、国と産業界との間で『公的削減協定』を締結し、削減措置を講じています。日本経団連などは『国際競争力が損なわれる』などと激しく抵抗していますが、日本の大手自動車メーカーなどはEU内で操業するときには、公的削減協定に参加しています。EUではできても日本ではできないというのでしょうか。こんな横暴勝手を許さず、『削減協定』を結ぶべきだと考えますが、総理の所見をうかがいます」
 これにたいして鳩山総理大臣は「国と産業界との間での公的削減協定を締結する必要性について。25%の削減目標という大変大胆な目標達成のためには、国内の排出量取引制度、あるいは再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の導入、あるいは地球温暖化税といったものの検討をはじめ、あらゆる政策を総動員しなければ、なかなか達成できないと考えている。具体的な政策の内容については、今後国際交渉における理論がどのようになっていくか、これをリードしていかなければいけないと考えているが、地球温暖化問題に関する閣僚委員会等においてしっかり検討し、決めていきたい」と答弁しました。
 このテーマをもっと踏み込んで取り上げたのが、2009年11月24日の参議院環境委員会での市田忠義議員の質問です(詳報、「しんぶん赤旗」2009年11月28日)。
 この質問は、鳩山政権が掲げる2020年までの温室効果ガス25%削減目標(1990年比)を達成するには何が必要かという観点からのもので、「総排出量の8割、家庭が使う電力を電力会社の排出とすれば9割を占める産業部門の削減対策に思い切って切り込まなかったら、到底25%削減は到達できない」という主張をのべたものです。
 鳩山政権は、「地球温暖化問題に関する閣僚委員会」の副大臣級検討チームを立ち上げ、自民党、公明党の前政権が90年比8%減という消極的な目標の根拠とした試算の再検討作業を進めています。
 市田議員は、そのことに関連して削減目標の根拠となる試算の見直し、つまり、排出削減が経済にどんな影響を及ぼし、削減によってどんな社会をつくるのかのビジョンの再検討について質問しました。
 論戦の中で、モデル分析の評価をおこなう観点として、マクロフレーム(試算)の設定が、粗鋼生産が1億2000万トン、原発による発電電力量が4345億キロワット時、旅客運送量が5190億キロメートルで、「粗鋼の生産量は今より若干増える、原発は9基増設する、自動車の輸送量は人口が減少する可能性が高いにもかかわらず減らない、逆に貨物は増えるという前提がつけられた」(市田議員)ことがあきらかになりました。
 前政権の試算は、経済のあり方を現状から基本的に変更しないという大前提がつけられていたのです。しかも、その大前提は業界団体が示したデータそのもので、大幅削減は最初から排除したも同然でした。
 「この大前提を抜本的に見直すことから始める必要があると思いますが、そういう考えはおありですか」の質問に小沢鋭仁環境相は「必要であれば検討も加えていきたい」と答弁しました。
 市田氏の質問直後に開かれた副大臣級検討チーム会合は、温暖化ガス削減が経済に及ぼす影響について、専門家会合のメンバーを入れ替えて試算し直す方針を決めました。
 政府の25%削減目標に対し財界や産業界は、「日本のエネルギー効率は世界のトップクラスであり、これ以上の排出削減をすれば膨大なコストがかかる」「日本企業の国際競争力が損なわれる」などと抵抗しています。
 しかし、同質問では「日本の産業部門は削減努力を怠っている」こともあきらかになりました。
 市田議員は、前政権の産業部門の対策は業界の主張をのんで設定された対策だったことを明らかにしたうえで、財界が抵抗の主要な論拠にしている「エネルギー効率世界一」論を取り上げました。
 そこで市田議員が示したのは、国際エネルギー機関『CO2 Emissions from Fuel Combustion 2009』の「各国のGDP(国内総生産)および電力あたりのCO2排出量」(2007年データ)です。それによれば、購買力平価でみたGDPあたり排出量は、欧州連合(EU)27カ国が米ドルあたり0・32キロなのに対し、日本は0・34と上回っています。国別で見てもイギリスは0・29です。発電量あたりの排出量は450グラム。OECD(経済協力開発機構)加盟30カ国中20位で、「エネルギー効率世界一」とはかけ離れています。
 市田議員の「いかに日本の産業界が削減努力を怠ってきたかは数字が明白に示しています。産業界には大幅な削減対策ができる余地は十分あると考えていますが、どうですか」という質問に環境相は「日本のエネルギー効率は極めて高いと思っている。ただ、再生エネルギーといった話までふくめれば、いろんな改善の余地はあると思っている」と答えました。
 「産業界言いなりのマクロフレームや温暖化対策では25%削減を確実なものにはできない。まだまだ十分な削減余地がある産業界に対する思い切った誘導策、規制策ができるかどうかが重要なポイントになっている」。こう指摘した市田氏が取り上げたのが、産業部門の削減を図るために政府と企業が締結する公的削減協定の問題です。
 この論戦の中で、イギリスには気候変動協定に、イギリスに進出している日本の大企業も締結していることがあきらかになりました。自動車部門では、英国ホンダ、英国日産自動車、英国トヨタです。半導体部門は信越半導体ヨーロッパです。
 また、経済産業省に設置された研究会、「地球温暖化対応のための経済的手法研究会」(日本経団連常務理事、鉄鋼連盟環境・エネルギー政策委員会委員長、電気事業連合会副会長らが参加)が2008年7月に発表した中間報告で、協定等の法的措置への移行の可能性も検討すべきだと提言していることもあきらかになりました。
 市田議員は「鳩山首相が25%削減のためには、あらゆる措置を動員しなければならないと言っているなかには、当然この公的削減協定も入りますね」と質問。環境相は「具体的にどういう協定までという話は今のところはございませんが、とにかく経済界のみなさんにも協力をいただかなければやってまいれない」と答弁しました。
 市田議員は「経団連の『自主行動計画』任せにしてきたことがこれまで削減目標が達成できず逆に増えた結果をもたらしてきた」と指摘。「公的削減協定を中核に位置づけ、それを補完するものとして国際排出量取引制度や(電力)固定価格買い取り制度の導入、環境税などを実施」するなど、「25%削減を確実にする担保措置に踏み込めるかどうかが重要なポイントだ」と強調しました。
 日本の温室効果ガスの排出状況は、発電所や製鉄所など、わずか166の巨大事業所(企業数ではなく施設数)が総量の50%を占めています。家庭の排出状況は自家用車を入れても11%にすぎず、70%は企業関係の大規模施設からの排出です。
 ところが日本の温暖化対策は、政府が財界いいなりに、日本経団連の「自主行動計画」をその柱にすえてきました。「自主行動計画」では、何の削減義務も負わず、業界ごとの目標設定の仕方もばらばらで、目標を達成したといいながら総排出量が増えている業界さえあります。
 それだけに産業部門の削減対策に思い切って切り込むということは重要な位置にあります。
 なお、イギリスの気候変動協定とは、つぎのようなものです(2009年11月4日付の「しんぶん赤旗」の「知りたい聞きたい」)。
 イギリスの気候変動協定は、政府と50以上の産業分野ごとに結ばれ、約6000の企業が参加しています。高い温室効果ガスの削減目標を持ち、GDP(国内総生産)を増大させながらCO2の排出を減らす実績をあげています。協定に参加している企業は、環境税減税などの優遇措置が実施され、目標超過した削減分を売買する排出量取引制度も組み合わせ、排出量を減らす重要な施策となっています。協定を守らない企業には税金の優遇を認めないなど厳しい措置をとり、目標の順守を図っています。
 2010年1月27日、日本経済団体連合会は、次期会長に米倉弘昌・住友化学会長(72)を内定しました。彼は、政府の25%削減目標について「日本だけが突出して厳しい目標を示している」と難色をしめしています(高知新聞、2010年1月28日付)。
 この問題は、今後も、厳しい争点でありつづけます。

 【その3 化石燃料依存をあらため、再生可能エネルギーの利用を抜本的に高めること】

 3つめの大切は、化石燃料依存をあらため、再生可能エネルギーの利用を抜本的に高めることです。
 このさい、温暖化対策を口実にした原発推進政策はやめるということが大事です。原子力発電は、放射能汚染という深刻な環境破壊を生みだすものであるからです。原子力発電は、まだ安全性が保障されていない、危険で不完全な発電方式です。それは廃棄物の処理の仕方がいまだ定まっていないさことにも示されています。原子力発電の増加の結果、日本の電力量はあり余っていて、それが電力会社が風力発電、太陽発電の電力を買い取る上でのネックにもなっています。原子力発電所は順次廃止していくという方向で原子力発電を縮小し、自然エネルギーに切り替えていく必要があると思っています。
 この点で、参考になるのが、日本共産党の吉井英勝議員の2009年11月20日の衆議院経済産業委員会での質問です(「しんぶん赤旗」、2009年11月24日)。
 地球温暖化防止を進める上で原子力発電に頼るのではなく再生可能エネルギーを推進するべきだと、直嶋正行経産相に迫りました。
 吉井議員は「温室効果ガス25%削減の政策には原発の活用、新増設も入っているのか」と質問。直嶋経産相は「当面原発を重視していかなければならない。2018年までに新たに9基新増設する」と答えています。
 この質問で、吉井議員は、全国の原発56基が20年の稼働で年間約3000億キロワット時を発電するのに32兆円のコストがかかると指摘。「メガソーラー(太陽光)発電所なら30兆円で同じ発電量を確保できる。放射性廃棄物などの問題がゆきづまっている原発に頼るのではなく、再生可能エネルギーこそ推進すべきだ」と強調。さらに、家庭が太陽光パネルで生み出した余剰電力などを電力会社に買い取らせる制度について、「家庭の発電装置の設置を補助する際、5~10年で初期投資を回収できるようにして爆発的普及を促進すべきだ」と求めました。

 【参考文献】

 ○ 『前衛』2010年1月号の「新政権『25%削減』中期目標に何が必要か(佐々木勝吉)。日本共産党中央委員会。
 ○ 季刊『季論21』2008年10月号の「特集 環境の世紀への思想と行動」。『季論21』編集委員会。本の泉社。
 ○ 『新しい環境政策 サステイナブル・エコノミーへの道』の「第1章 エネルギー政策 温暖化対策と脱原子力をめざして」(大島堅一)。東洋経済新報社。2003年11月20日。
 ○ 月刊『経済』の「風力発電の普及と電力政策の転換」(山口歩)。
 ○ 『前衛 2010年1月号』の不破哲三「『マルクスは生きている』①」、日本共産党中央委員会。
 ○ 日本共産党第25回大会決議。

 (2010年1月28日)

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