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2010.01.23

国際紛争の処理を学ぶ 資料集 その八 「武力紛争の犠牲者の保護」

 【戦地軍隊ニ於ケル傷者及病者ノ状態改善ニ關スル千九百二十九年七月二十七日「ジュネーヴ」條約 傷病者条約】

 第一條 軍人及公ニ軍隊ニ附屬スル其ノ他ノ人員ニシテ負傷シ又ハ疾病ニ罹リタルモノハ如何ナル場合ニ於テモ尊重且保護セラルヘシ右ノ軍人及人員ハ國籍ノ如何ヲ問ハス之ヲ自己ノ權内ニ收容シタル交戰者ニ依リ博愛ノ心ヲ以テ待遇セラレ且看護セラルヘシ
 尤モ傷者又ハ病者ヲ敵ニ遺棄スルノ巳ムヲ得サルニ至リタル交戰者ハ軍事上ノ要求ノ許ス限リ其ノ看護ニ寄興スル爲其ノ衛生人員及衛生材料ノ一部ヲ傷者病者ト共ニ遺留スヘシ

 【ジュネーヴ諸条約第一追加議定書】

 第八条 用語
 この議定書の適用上、
 (a)
 「傷者」及び「病者」とは、軍人であるか文民であるかを問わず、外傷、疾病その他の身体的又は精神的な疾患又は障害のために治療又は看護を必要とし、かつ、いかなる敵対行為も差し控える者をいう。これらの者には、産婦、新生児及び直ちに治療又は看護を必要とする者(例えば、虚弱者、妊婦)
であって、いかなる敵対行為も差し控えるものを含む。
 (b)
 「難船者」とは、軍人であるか文民であるかを問わず、自己又は自己を輸送している船舶若しくは航空機が被った危難の結果として海その他の水域において危険にさらされており、かつ、いかなる敵対行為も差し控える者をいう。これらの者は、敵対行為を差し控えている限り、救助の間においても、諸条約又はこの議定書に基づいて他の地位を得るまで引き続き難船者とみなす。
 (c)
 「医療要員」とは、紛争当事者により、専ら
 (e)
 に規定する医療上の目的、医療組織の管理又は医療用
輸送手段の運用若しくは管理のために配属された者をいう。その配属は、常時のものであるか臨時のものであるかを問わない。医療要員には、次の者を含む。
 (i)
 紛争当事者の医療要員(軍人であるか文民であるかを問わない。また、第一条約及び第二条約に規定する衛生要員並びに文民保護組織に配属された医療要員を含む。)
 (ii)
 各国の赤十字社、赤新月社又は赤のライオン及び太陽社及び紛争当事者が正当に認める各国のその他の篤志救済団体の医療要員
 (iii)
 次条2に規定する医療組織又は医療用輸送手段における医療要員
 (d)
 「宗教要員」とは、聖職者等専ら宗教上の任務に従事する軍人又は文民であって次のいずれかに配置されているものをいう。
 (i)
 紛争当事者の軍隊
 (ii)
 紛争当事者の医療組織又は医療用輸送手段
 (iii)
 次条2に規定する医療組織又は医療用輸送手段
 (iv)
 紛争当事者の文民保護組織
 宗教要員の配置は、常時のものであるか臨時のものであるかを問わない。また、宗教要員については、
 (k)
 の規定の関連部分を準用する。
 (e)
 「医療組織」とは、軍のものであるか軍のもの以外のものであるかを問わず、医療上の目的、すなわち、傷者、病者及び難船者の捜索、収容、輸送、診断若しくは治療(応急治療を含む。)又は疾病の予防のために設置された施設その他の組織をいう。これらのものには、例えば、病院その他の類似の組織、輸血施設、予防医療に関する施設及び研究所、医療物資貯蔵庫並びにこれらの組織の医薬品の保管所を含む。医療組織は、固定されたものであるか移動するものであるか、また、常時のものであるか臨時のものであるかを問わない。
 (f)
 「医療上の輸送」とは、諸条約及びこの議定書によって保護される傷者、病者、難船者、医療要員、宗教要員、医療機器又は医療用品の陸路、水路又は空路による輸送をいう。
 (g)
 「医療用輸送手段」とは、軍のものであるか軍のもの以外のものであるか、また、常時のものであるか臨時のものであるかを問わず、専ら医療上の輸送に充てられ、かつ、紛争当事者の権限のある当局の監督の下にある輸送手段をいう。
 (h)
 「医療用車両」とは、陸路による医療用輸送手段をいう。
 (i)
 「医療用船舶及び医療用舟艇」とは、水路による医療用輸送手段をいう。

 (j)
 「医療用航空機」とは、空路による医療用輸送手段をいう。
 (k)
 「常時の医療要員」、「常時の医療組織」及び「常時の医療用輸送手段」とは、期間を限定することなく専ら医療目的に充てられた医療要員、医療組織及び医療用輸送手段をいう。「臨時の医療要員」、「臨時の医療組織」及び「臨時の医療用輸送手段」とは、限られた期間につきその期間を通じて専ら医
療目的に充てられた医療要員、医療組織及び医療用輸送手段をいう。別段の定めがない限り、「医療要員」、「医療組織」及び「医療用輸送手段」には、それぞれ、常時のもの及び臨時のものを含む。
 (l)
 「特殊標章」とは、医療組織、医療用輸送手段、医療要員、医療機器、医療用品、宗教要員、宗教上の器具及び宗教上の用品の保護のために使用される場合における白地に赤十字、赤新月又は赤のライオン及び太陽から成る識別性のある標章をいう。
 (m)
「特殊信号」とは、専ら医療組織又は医療用輸送手段の識別のためにこの議定書の附属書Ⅰ第三章に規定する信号又は通報をいう。

 【ジュネーヴ諸条約第一追加議定書】

 第四十三条 軍隊
 1 紛争当事者の軍隊は、部下の行動について当該紛争当事者に対して責任を負う司令部の下にある組織され及び武装したすべての兵力、集団及び部隊から成る(当該紛争当事者を代表する政府又は当局が敵対する紛争当事者によって承認されているか否かを問わない。)。このような軍隊は、内部規律に関する制度、特に武力紛争の際に適用される国際法の諸規則を遵守させる内部規律に関する制度に従う。
 2 紛争当事者の軍隊の構成員(第三条約第三十三条に規定する衛生要員及び宗教要員を除く。)は、戦闘員であり、すなわち、敵対行為に直接参加する権利を有する。
 3 紛争当事者は、準軍事的な又は武装した法執行機関を自国の軍隊に編入したときは、他の紛争当事者にその旨を通報する。
 第四十四条 戦闘員及び捕虜
 1 前条に規定する戦闘員であって敵対する紛争当事者の権力内に陥ったものは、捕虜とする。
 2 すべての戦闘員は、武力紛争の際に適用される国際法の諸規則を遵守する義務を負うが、これらの諸規則の違反は、3及び4に規定する場合を除くほか、戦闘員である権利又は敵対する紛争当事者の権力内に陥った場合に捕虜となる権利を戦闘員から奪うものではない。
 3 戦闘員は、文民たる住民を敵対行為の影響から保護することを促進するため、攻撃又は攻撃の準備のための軍事行動を行っている間、自己と文民たる住民とを区別する義務を負う。もっとも、武装した戦闘員は、武力紛争において敵対行為の性質のため自己と文民たる住民とを区別することができない状況があると認められるので、当該状況において次に規定する間武器を公然と携行することを条件として、戦闘員としての地位を保持する。
 (a)
 交戦の間
 (b)
 自己が参加する攻撃に先立つ軍事展開中に敵に目撃されている間
 この3に定める条件に合致する行為は、第三十七条1
 (c)
 に規定する背信行為とは認められない。
 4 3中段に定める条件を満たすことなく敵対する紛争当事者の権力内に陥った戦闘員は、捕虜となる権利を失う。もっとも、第三条約及びこの議定書が捕虜に与える保護と同等のものを与えられる。この保護には、当該戦闘員が行った犯罪のため裁判され及び処罰される場合に、第三条約が捕虜に与える保護と同等のものを含む。
 5 攻撃又は攻撃の準備のための軍事行動を行っていない間に敵対する紛争当事者の権力内に陥った戦闘員は、それ以前の活動を理由として戦闘員である権利及び捕虜となる権利を失うことはない。
 6 この条の規定は、いずれかの者が第三条約第四条の規定に基づいて捕虜となる権利を害するものではない。
 7 この条の規定は、紛争当事者の武装し、かつ、制服を着用した正規の部隊に配属された戦闘員について、その者が制服を着用することに関する各国の慣行であって一般に受け入れられているものを変更することを意図するものではない。
 8 第一条約第十三条及び第二条約第十三条に規定する部類に属する者に加え、前条に規定する紛争当事者の軍隊のすべての構成員は、傷者若しくは病者又は海その他の水域における難船者(ただし、難船者については、第二条約に係るもの)である場合には、これらの条約に基づく保護を受ける権利を有する。

 【俘虜の待遇に関する千九百二十九年七月二十七日の条約 捕虜条約】

 【第十二条】
 (被服)被服、下着及靴は捕獲国に依り俘虜に支給せらるべし此等用品の交換及修理は規則的に為さるべし右の外労働者は労働の性質上必要なる場合は何処に於ても労働服を支給せらるべし
 (酒保)各收容所内には酒保を設け俘虜をして地方的市価を支払ひて食料品及日用品を購買し得しむべし
 酒保に依り収容所管理部の收むる利益は俘虜の為に利用せらるべし

 【第十三条】
 (衛生的措置)交戦者は牧容所の清潔及衛生を確保し且伝染病予防の為必要なる一切の衛生的措置を執る義務あるべし
 俘虜は生理的法則に適ひ且常に清潔に保持せられたる設備を日夜供せらるべし
 右の外収容所が出来得る限り設備すべき浴場及灌水浴場の外に俘虜は身体の清潔を保つ為充分なる水を供給せらるべし
 俘虜は運動を為し及外気に当る機会を与へらるべし

 【第十四条】
 (医療)各收容所は医務室を備へ俘虜が其の必要とすることあるべき有らゆる性質の手当を受くることを得べし必要に応じ隔離室は伝染病患者の用に供せらるべし
 治療の費用(補欠用假装置の費用を合む)は捕獲国の負担たるべし
 交戦者は要求ありたるときは治療を受けたる一切の俘虜に対し其の病気の性質及期間並に受けたる手当を示す公の証明書を交付するの義務あるべし
 交戦者は特別協定に依り医師及看護人を收容所内に留め置き之と同国籍の俘虜を介抱せしむるの権利を相互的に有することを得べし
 俘虜にして重病に罹りたる者又は其の病状が重大なる外科手術を必要とする者は捕獲国の費用を以て比等俘虜を治療することを得べき一切の軍用又は民間の病院に收容せらるべし

 【第十五条】
 (健康診断)俘虜の医学的検査は少くも月に一回為さるべし該検査は一般の健康状態及清潔状態の監督並に伝染病特に結核及花柳病疾患の検出を目的とす

 【第十六条】
 (礼拝)俘虜は軍事官憲の定むる秩序及取締に関する規定に服することを唯一の条件として其の宗教の運行に付一切の自由を与へられ其の宗派の礼拝式に参列することを得べし
 俘虜にして或宗派の司教たる者は該宗派の名称如何に狗はらず自由に同宗派に属する者の間に宗教を司ることを許さるべし

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