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2010.01.23

国際紛争の処理を学ぶ 資料集 その三 「裁判手続」

 【アラバマ号事件】

 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』から

  同艦の艤装を中立国であったイギリスの民間会社が行ったのは中立義務違反であるとして、戦後に合衆国がイギリスに損害賠償請求した係争事案。

 1.アラバマ号事件(国際法の優越‐国内法援用禁止)
 {事実の概要}
 背景:米南北戦争(1861-1865)@
 提訴国:  米国
 被提訴国:英国
 争点:英国の中立国義務違反
 仲裁裁判所(1871年設立.米、英、伊、スイス、ブラジルが指名する5名の裁判官で構成)に付託                          {争点}
 中立義務の履行に関する注意の程度
 免責事由としての国内法令の援用
 {判示}
 (1)国内法令の援用
 英国は、その国内的法的手段が不十分であったとの抗弁を用いて免責事由とはなしえない
 (2)注意義務の程度
 一切の可能な配慮を払う必要がある
 {意義}
 国際法の優位性の原則を認めたリーディング・ケース。
 1969年ウイーン条約法条約27条に編入

 http://pubweb.cc.u-tokai.ac.jp/yishigak/newpage74.htm

 【ベーリング海オットセイ事件】

 1893年に判決の出たベーリング海オットセイ事件は,アラスカ沖の公海でオットセイの海上捕獲を行うイギリス船(カナダ船)をアメリカが拿捕し,船舶と乗組員を国内法で処罰した事件であるが,1892年の両国の仲裁裁判条約によって仲裁裁判所が設置され(裁判官7人),判決は,「オットセイが通常の3カイリの外にいるときは,アメリカはベーリング海のアメリカの島に来るオットセイの保護権・所有権はもたない」と判示し,アメリカが主張した公海におけるオットセイの保護権・所有権を否認し,公海の自由を確認した。また,判決は,仲裁裁判条約に基づいて両国間でとられるべきオットセイに関する共同規制措置を決定した。

 http://www.meijigakuin.ac.jp/~cls/kiyo/83/83mizukami.pdf#search='ベーリング海 オットセイ事件'

 【英仏裁判条約】

 

 【マリア・ルス号事件】

 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』から

 マリア・ルス号事件とは明治5年(1872年)に横浜港に停泊中のマリア・ルス号(ペルー船籍)内の清国人苦力を奴隷であるとして日本政府が解放した事件を言う。また日本が国際裁判の当事者となった初めての事例である。
 明治5年6月5日(1872年7月10日)、中国の澳門からペルーに向かっていたペルー船籍のマリア・ルスが嵐で船体が損傷したため横浜港に修理の為に入港してきた。同船には清国人(中国人)苦力231名が乗船していたが、数日後過酷な待遇から逃れる為に清国人が海へ逃亡しイギリス軍艦が救助した。そのためイギリスはマリア・ルスを「奴隷運搬船」と判断しイギリス在日公使は日本政府に対し清国人救助を要請した。
 そのため当時の副島種臣外務卿(外務大臣)は大江卓神奈川県権令(副県知事)に清国人救助を命じた。しかしながら日本とペルーの間では当時二国間条約が締結されていなかった。このため政府内には国際紛争をペルーとの間で引き起こすと国際関係上不利であるとの意見もあったが、副島は人道主義と日本の主権独立を主張し、マリア・ルスに乗船している清国人救出のため法手続きを決定した。
 マリア・ルスは横浜港からの出航停止を命じられ、7月19日(8月22日)に清国人全員を下船させた。マリア・ルスの船長は訴追され神奈川県庁に設置された大江卓を裁判長とする特設裁判所は7月27日(8月30日)の判決で清国人の解放を条件にマリア・ルスの出航許可を与えた。だが船長は判決を不服としたうえ清国人の「移民契約」履行請求の訴えを起こし清国人をマリア・ルスに戻すように訴えた。この訴えに対し2度目の裁判では移民契約の内容は奴隷契約であり、人道に反するものであるから無効であるとして却下した。また、この裁判の審議で船長側弁護人(イギリス人)が「日本が奴隷契約が無効であるというなら、日本においてもっとも酷い奴隷契約が有効に認められて、悲惨な生活をなしつつあるではないか。それは遊女の約定である」として遊女の年季証文の写しと横浜病院医治報告書を提出した。日本国内でも娼妓という「人身売買」が公然と行われており、奴隷売買を非難する資格がないとのこの批判により日本は公娼制度を廃止せざるを得なくなり、同年10月に芸娼妓解放令が出される契機となった。裁判により、清国人は解放され清国へ9月13日(10月15日)に帰国した。しかし問題はこれで終わらなかった。
 翌年2月にペルー政府は海軍大臣を来日させ、マリア・ルス問題に対して謝罪と損害賠償を日本政府に要求した。この両国間の紛争解決の為に仲裁契約が結ばれ第三国のロシア帝国による国際仲裁裁判(当時は常設の国際司法裁判所がなかったための措置)が開催されることになった。ロシア皇帝・アレクサンドル2世による国際裁判は1875年(明治8年)6月に「日本側の措置は一般国際法にも条約にも違反せず妥当なものである」とする判決を出し、ペルー側の訴えを退けた。

 【国際紛争平和的処理条約】

 第三七条[目的]
 国際仲裁裁判ハ、国家間ノ紛争ヲ其ノ選定シタル裁判官ヲシテ法ノ尊重ヲ基礎トシ処理セシムルコトヲ目的トス。
 仲裁裁判ニ依頼スルコトハ、誠実ニ其ノ判決ニ服従スルノ約定ヲ包含ス。

 【国際紛争平和的処理条約】

 第八三条[再審]
 当事者ハ、仲裁契約ニ於テ仲裁判決ニ対スル再審ノ請求ヲ留保スルコトヲ得。
 右ノ場合ニ於テハ、反対ノ規約アルニ非サレハ、判決ヲ為シタル裁判部ニ請求ヲ為スコトヲ要ス。右請求ハ、判決ニ対シ決定的影響ヲ与フルヘキ性質ヲ有スル新事実ニシテ弁論終結ノトキ裁判部及再審ヲ請求スル当事者カ知ラサリシモノヲ発見シタル場合ニ限、之ヲ為スコトヲ得。
 再審ノ手続ハ、裁判部ニ於テ特ニ新事実ノ存在ヲ確認シ、其ノ事実カ前項ニ掲ケル特質ヲ有スルコトヲ認識シ、且之ニ因リ請求カ受理スヘキモノナルコトヲ宣言スル決定ヲ為スニ非サレハ、之ヲ開始スルコトヲ得ス。
 再審ノ請求ヲ為スヘキ期間ハ、仲裁契約ニ於テ之ヲ定ム。

 【国際司法裁判所規程】

 第三十一条
 各当事者の国籍裁判官は、裁判所に係属する事件について出席する権利を有する。
 裁判所がその裁判官席に当事者の一の国籍裁判官を有する場合には、他のいずれの当事者も、裁判官として出席する者一人を選定することができる。この者は、第四条及び第五条の規定により候補者として指名された者のうちから選定されることが望ましい。
 裁判所が裁判官席に当事者の国籍裁判官を有しない場合には、各当事者は、本条2の規定により裁判官を選定することができる。
 本条の規定は、第二十六条及び第二十九条の場合に適用する。この場合には、裁判所長は、部を構成する裁判官中の一人又は必要があるときは二人に対して、関係当事者の国籍裁判官のために、また、国籍裁判官がないとき又は出席することができないときは当事者が特に選定する裁判官のために、席を譲るように要請しなければならない。
 多数当事者が同一利害関係にある場合には、その多数当事者は、前記の規定の適用上、一当事者とみなす。この点に関する疑義は、裁判所の裁判で決定する。
 本条2、3及び4の規定によって選定される裁判官は、この規程の第二条、第十七条2、第二十条及び第二十四条が要求する条件をみたさなければならない。これらの裁判官は、その同僚と完全に平等の条件で裁判に参与する。

 【国際司法裁判所規程】

 第三十五条
 2,裁判所をその他の国に開放するための条件は、現行諸条約の特別の規定を留保して、安全保障理事会が定める。但し、この条件は、いかなる場合にも、当事者を裁判所において不平等の地位におくものであってはならない。

 【国際司法裁判所規程】

 第三十八条
 1.裁判所は、付託される紛争を国際法に従って裁判することを任務とし、次のものを適用する。
 a. 一般又は特別の国際条約で係争国が明らかに認めた規則を確立しているもの
 b. 法として認められた一般慣行の証拠としての国際慣習
 c. 文明国が認めた法の一般原則
 d. 法則決定の補助手段としての裁判上の判決及び諸国の最も優秀な国際法学者の学説。但し、第五十九条の規定に従うことを条件とする。

 【国際連合憲章】

 第94条〔判決の履行〕
 1 各国際連合加盟国は、自国が当事者であるいかなる事件においても、国際司法裁判所の裁判に従うことを約束する。
 2 事件の一方の当事者が裁判所の与える判決に基いて自国が負う義務を履行しないときは、他方の当事者は、安全保障理事会に訴えることができる。理事会は、必要と認めるときは、判決を執行するために勧告をし、又はとるべき措置を決定することができる。

 【国際司法裁判所規程】

 第四十一条
 1,裁判所は、事情によって必要と認めるときは、各当事者のそれぞれの権利を保全するためにとられるべき暫定措置を指示する権限を有する。
 2,終結判決があるまでは、指示される措置は、直ちに当事者及び安全保障理事会に通告される。

 【ラグラン事件】

 ラグラン事件判決(仮保全措置の効力部分)
 1 事件の概要
 兄ウォルター・ラグランと弟カール・ラグランの兄弟は,それぞれ1962年と1963年にドイツで生まれたドイツ人である。兄弟はまだ幼い頃に母親とともにアメリカに移住した。兄弟はその後もずっとドイツ国籍のままであり,アメリカ国籍を取得しようとはしなかった。しかし兄弟ともドイツ語を話すことはできずアメリカ生まれのアメリカ市民とほとんど変わりがなかった。
 1982年にラグラン兄弟はアメリカ国内において強盗殺人容疑などにより逮捕され,1984年にはアリゾナの裁判所で死刑を宣告された。しかしこの際領事関係に関するウィーン条約36条1項(b)で要求されている,容疑者に対して領事と通信する権利があることを告げる義務をアメリカの当局者が怠った。そこで在アメリカ・ドイツ領事はこれが手続法違反であるとしてアメリカの裁判所において異議を申し立てたが,認められなかった。結局ラグラン兄弟に対して死刑が執行されることになり,ドイツは外交ルートを通じて諸方面に死刑の停止を求めたが受け容れられなかった。
 1999年2月24日に弟カール・ラグランについて死刑が執行された。兄ウォルターについては同年3月3日に死刑が執行される予定になっていたので,その前日にドイツは国際司法裁判所に対してアメリカを相手方として提訴し,同時にアメリカがウォルターの死刑執行を阻止するためにあらゆる措置をとることを求める仮保全措置を要請した。同年3月3日,国際司法裁判所は,アメリカに対してウォルターに死刑が執行されないようにあらゆる手段をとることを命じる仮保全措置を指示した。同時にドイツはアメリカの連邦最高裁においてアメリカ連邦政府とアリゾナ州を相手にこの仮保全措置に従うよう求める訴訟を提起したが,棄却された。そして同日ウォルターに対しても死刑が執行された。
 ドイツはアメリカが国際司法裁判所による仮保全措置に従わなかったことが,国際義務に違反すると主張した。しかしアメリカは仮保全措置は法的拘束力を有しないので,これに違反しても国際義務に違反することにはならないと主張した。そこで仮保全措置の法的効力が問題となった。
 2 判 決
 99 この点に関して当事者間において存在する紛争は主に…41条の解釈に関わる。この解釈は文献において広範な議論の主題となってきた。それゆえ裁判所は規程41条の解釈に進む。それは条約法に関するウィーン条約の31条に反映された,国際慣習法にしたがってなされる。31条1項によれば,条約は文脈によりかつその趣旨および目的に照らして与えられる用語の通常の意味に従って誠実に解釈されなければならない。
 100 …この[仏文版]文章において,"indiquer"および"l'indiquer"という用語は,"doivent etre prises"という用語が命令的性格を有しているのと対照してみると,当該措置の強制的性格について中立的であると思われる。…
 アメリカによれば,英文版における"order"の代わりに"indicate"の,"must"あるいは"shall"の代わりに"ought"の,そして"ordered"の代わりに"suggested"の使用は,41条の下での決定は命令的性格を欠いていることを暗示していると理解される。しかしながら,1920年において仏文の文章が原典版であったという事実を考慮すると,"indicate"および"ought"という用語は"ordre"および"must"あるいは"shall"と意味的に同じであったと主張されるかもしれない。
 101 完全に調和していない2つの文章に直面したことを自覚したので,裁判所はまず第一に,憲章92条によれば,規程は「この憲章と不可分の一体をなす」ことに注意する。憲章111条の下で,後者の仏文および英文は「等しく正文」である。同じことは規程においても同様に真実である。
 憲章の等しく正文である諸版の間に相違がある場合,それも憲章もどのように進めるかについて示していない。この点について当事者間において合意が存在していないため,裁判所の見解では再び国際慣習法を反映している,条約法に関するウィーン条約33条4項に言及するのが適切である。この規定は「各正文の比較により,第31条および第32の適用により解消されない意味の相違があることが明らかとなった場合には,条約の趣旨および目的を考慮して,すべての正文を最良に調和する意味が採用される。」と読める。
 それゆえ裁判所は,41条の文脈とともに,規程の趣旨および目的を考慮する。
 102 規程の趣旨および目的は,裁判所がそこにおいて規定された諸任務,特に規程59条に従って拘束力ある決定による国際紛争の司法的解決という基本的任務を果たすことを可能にすることである。規程の中で41条について理解される文脈とは,裁判所の下で紛争の各当事者の権利が保全されないために,裁判所がその任務の遂行において妨害されることを防ぐことである。その文脈において読まれた場合の41条の用語からと同様に,規程の趣旨および目的から,仮保全措置を指示する権限は,問題となっている権限が,諸事情によりそれが要求された時に,裁判所の最終判決によって決定される当事者の権利を保護するおよび侵害することを回避するという緊急性に基づいている限り,そのような措置は拘束的であるべきであるということを必然的に伴うという結果となる。41条の下で指示された仮保全措置は拘束的ではないかもしれないという主張は当該規程の趣旨および目的に反するであろう。
 103 41条のもとでなされた命令の拘束的性格を示し,また裁判所が重要性を置いている関連する理由は,既に常設国際司法裁判所によって認められていた原則の存在である。それは次のように言われる。
 「国際裁判所によって普遍的に認められ,また同様に多くの条約において規定された原則は…事件の当事者は,与えられた決定の執行に関して侵害的効果を及ぼすことを可能とするいかなる措置も慎まなければならない,および,一般的に,紛争をさらに悪化させるあるいは,拡大させるいかなる種類のいかなる手段も取られることを許さないという趣旨である。」(ソフィアおよびブルガリアの電力会社事件,1939年12月5日の命令,P.C.I.J, Series A/B, No. 79, p. 199)
 さらに紛争をさらに悪化させるあるいは拡大させることを回避することを計画された措置が,しばしば裁判所によって指示された。それらは履行されることを目的として指示された。(核実験事件1973年6月22日の命令; 国境紛争事件1986年1月10日の命令,ジェノサイド罪の防止および処罰に関する条約の適用事件1993年4月8日の命令,1993年9月13日の命令,カメルーンとナイジェリアの間の陸および海の境界事件1996年3月15日の命令)
 104 趣旨および目的に照らして規程41条の文章の解釈において,裁判所によって上記の結論に達したすれば,当該規程の意味を決定するために準備作業に頼る必要があるとは思われない。それにもかかわらず裁判所は規程の準備作業は41条の下での命令は拘束力を有するという結論を排除しないことを指摘する。
 105 国際連盟の理事会によって創設された法律家委員会によって準備された,常設国際司法裁判所規程の最初の準備草案は,仮保全措置について何の言及もない。ブラジルの法律家ラウル・フェルナンデスからの提案に従って,委員会によって準備された草案の中にこの趣旨の規定がより遅い段階で挿入された。
 アメリカとスウェーデンとの間の1914年10月13日のブライアン条約に基づいて,ラウル・フェルナンデスは以下の文章を提示した。
・・・
 「紛争の原因が既に付託されたあるいは付託されようとしているある行為からなる場合,裁判所は,裁判所の最終判決を留保して,暫定的にかつできるだけ遅れることなく,取られるべき適切な保護措置を命令できる。」
 起草委員会は,2つの主要な修正がなされた,この文章の新しい版を準備した。1つは,「裁判所は…命令できる」("the Court may . . . order") という言葉が,「裁判所は提案する権限を有する」("the Court shall have the power to suggest")に置きかえられた。もう一つは,裁判所によって当事者および理事会に対して与えられる「提案された措置」("measures suggested")の通報を規定する第2項が付加された。…
 106 草案39条が国際連盟の第1総会の第3委員会の小委員会によって審査された時,多くの修正が考慮された。ラウル・フェルナンデスは再び仏文版において"ordonner"という言葉を使用するよう提案した。小委員会の議長が裁判所はその決定を執行する手段を欠いていると認めたため,小委員会は"indiquer"という言葉のままにすることを決定した。このため英文版の第1項の言葉は仏文版と一致させられた。このため"suggset"という言葉は"indicate"に,"should"は"ought to"に置きかえられた。しかし,英文版の第2項において"measures suggested"という句は変えられないままとなった。
 このように小委員会によって仏文および英文において修正されたその規定は,常設国際司法裁判所規程の41条として採択された。それはそのまま1945年にいかなる議論もなしにこの裁判所の規程として通過した。
 107 41条の準備作業は,仏文において"ordonner"よりも"indiquer"を与えられたという選択は,裁判所はその決定の執行を確保する手段を有しないという考慮に動機付けられたことを示す。しかしながら,執行手段の欠如はと拘束力の欠如とは,2つの異なる問題である。このため,裁判所がそれ自体は41条に従ってなされた命令の執行を確保する手段を有しないという事実は,その命令の拘束的性質に反対する論拠とはならない。
 108 最後に裁判所は,際連合憲章94条が仮保全措置を指示する命令に対して拘束力を帰させることを排除するかどうかを考慮する必要がある。…
 問題はこの規定の第1項における「国際司法裁判所の決定」という言葉に帰させられる意味に関して生じる。この言い回しは単に裁判所の判決についてだけでなく,それによって与えられる,仮保全措置を指示する命令を含めたいかなる決定についても言及していると理解されうる。それはまた,94条2項において規定されているように裁判所によって与えられた判決のみを意味するとも解釈されうる。この点について,裁判所規程の56条から60条までにおいて,"decision"という言葉と"judgment"という言葉の両者が用いられているという事実は,この問題をほとんど明確にしない。
 94条1項の第1の解釈の下では,その項の文章は仮保全措置の拘束的性質を確認する。ところが第2の解釈はそれらに規程の41条の下で拘束力を与えることを決して排除しない。したがって裁判所は,憲章94条は41条の下でなされた命令が拘束的性質を有することを妨げないと結論付ける。
 109 要するに,条約法に関するウィーン条約の関連規定において言及された,準備作業も含めた解釈の諸要素のいずれも,文脈および規程の趣旨および目的に照らして理解された41条の用語から得られた結論と矛盾しない。このため裁判所は,41条の下での仮保全措置に関する命令が拘束力を有するという結論に達した。

 http://gaimusenmonsyoku.hp.infoseek.co.jp/LaGrand%20Case.htm

 【国連憲章】

 第96条〔勧告的意見〕
 1 総会又は安全保障理事会は、いかなる法律問題についても勧告的意見を与えるように国際司法裁判所に要請することができる。
 2 国際連合のその他の機関及び専門機関でいずれかの時に総会の許可を得るものは、また、その活動の範囲内において生ずる法律問題について裁判所の勧告的意見を要請することができる。
 
 【国際司法裁判所規程】

 第六十六条
 裁判所書記は、勧告的意見の要請を、裁判所で裁判を受けることができるすべての国に直ちに通告する。
 裁判所書記は、また、裁判所で裁判を受けることができる国又は国際機関で問題に関する資料を提供することができると裁判所又は、開廷中でないときは、裁判所長が認めるものに対して、裁判所が裁判所長の定める期間内にこの問題に関する陳述書を受理し、又は特に開かれる公開の法廷でこの問題に関する口頭陳述を聴取する用意があることを、特別の且つ直接の通知によって通告する。
 裁判所で裁判を受けることができる前記の国は、本条2に掲げる特別の通知を受領しなかったときは、陳述書を提出し、又は聴取される希望を表明することができる。裁判所は、これについて決定する。
 書面若しくは口頭の陳述又はこの双方の陳述を行った国及び機関は、裁判所又は、開廷中でないときは、裁判所長が各個の事件について決定する形式、範囲及び期間内において、他の国又は機関が行った陳述について意見を述べることを許される。このために、裁判所書記は、前記の書面の陳述を、同様の陳述を行った国及び機関に適当な時期に送付する。

 【核兵器合法性事件】

 1993年に世界保健機関(WHO)が、翌年国連総会が、核兵器使用の合法性について、国際司法裁判所に勧告的意見を求めたことがありました。
 アメリカやロシア、さらには日本など22カ国が法廷に臨み、国際司法裁判所で初めて本格的に核兵器使用の合法性を問うものとなりました。
 国際司法裁判所は、WHOには勧告的意見を求める資格がないとして請求を却下しました。いっぽう、国連総会からの求めには応じ勧告的意見を出しました。
 これによると、核兵器の使用・または核兵器による威嚇は、国際人道法には一般的に違反するが、「国家の存亡に関わる極端な状況」については、合法か違法かは確定的に判断できないとしました。
 また、核軍縮交渉を誠実に行い、完結させる義務が存在することを認めました。

 http://allabout.co.jp/career/politicsabc/closeup/CU20080309A/index.htm

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