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2010.06.30

香川県の道路を拡張してつくった三つの陸軍飛行場 62 軍事用地収用のための法律の変遷。

 軍事用地収用のための法律は、どのように変化してきたのかを見ておきます。

   公用土地買上規則

 土地収用についての規則には、まず一八七五年(明治八年)の公用土地買上規則がありました。
 ここでは、まだ、軍用地の収用のことは、意識されていないと思われます。
軍事特別措置法では、国民のことを「帝国臣民」といっていますが、この規定では「人民」といっています。
 「第一則 公用土地買上トハ國郡村市ノ保護便益二供スルタメ院省使廳府縣二於テ人民所有ノ土地ヲ買上ルヲ云フ但國郡村市ノ保護便益二供スル爲メ人民二テ鐵道電線上水等ノ大土工ヲ起ス時ハ其事業ニヨリ特別官許ノ上此規則二準スルヲ得ヘシ
 第二則 公用買上ハ必ス其地ヲ要セサルヲ得サルニアラサレハ之ヲ行ハサルモノトス故二人民之ヲ拒ムヲ得ス但其地二屬シタル植物建造物等モ亦本文二同シ
 第三則 院省使ニテ公用土地買上ヲ要スルトキハ左ノ事由ヲ内務省二照會シ内務省ヨリ地方官ニ諮詢シテ差支ナキ旨ノ回答ヲ得タル上該廳ヨリ太政官二上陳允裁ヲ得ルモノトス廳府縣ニテ公用土地買上ヲ要スルトキハ左ノ事由ヲ具状シテ内務省ニ稟請シ内務省ヨリ太政官二上陳シ允裁ヲ得ルモノトス
 (中略)
 第九則 地方官土地及ヒ植物建造物等ノ買上ヲ公達シタルトキハ直二買上代價ヲ渡スヘシ
 第十則 人民買上代價ヲ受取タルトキハ買上ラレタル土地植物建造物等ヲ三十日以内二渡スヘシ然レトモ買上前二該廳ト別段ノ契約ヲ結ヒタルハ特別トス」

   土地収用法

 公用土地買上規則は、一八八九年(明治二十二年)七月三十一日の土地収用法の公布により廃止になりました。
 土地収用法公布の年の二月十一日には大日本帝国憲法が発布されていました。
 この法律では、「国防其他兵事ニ要スル土地」の収用についても規定されています。土地収用審議委員会の規定も定められていますし、収用のさいの補償の規定もあるのが特徴です。しかし、「土地ハ内閣ニ於テ公共ノ利益ニシテ必要ナルコトヲ認定シタル後此法律ヲ適用スルコトヲ得但国防上ノ工事ニ関スル認定ハ此限ニアラス」としています。
 「第一条 公共ノ利益ノ為メノ工事ニシテ必要アルトキハ此法律ノ定ムル所ニ依リ損失ヲ補償シテ土地ヲ収用又ハ使用スルコトヲ得
 土地ノ使用ハ三年以内ニ限ル但一年以上ニ亘リ又ハ使用ノ為メ土地ノ形質ヲ変更スルトキ又ハ建物アル土地ハ所有者ノ請求ニ依リ之ヲ収用スヘシ
 第二条 左ノ種類ノ工事ニ要スル土地ハ内閣ニ於テ公共ノ利益ニシテ必要ナルコトヲ認定シタル後此法律ヲ適用スルコトヲ得但国防上ノ工事ニ関スル認定ハ此限ニアラス
 一 国防其他兵事ニ要スル土地
 二 政府、府県郡市町村及公共組合ノ直接ノ公用ニ供スル土地
 三 官立公立ノ学校病院其他学芸及慈善ノ用ニ供スル土地
 四 鉄道電信航路標識及測候所ノ建設用地
 五 河川溝渠ノ掘鑿道路橋梁埠頭水道及下水ノ築造用地
 六 防火及水害予防竝検疫所火葬場其他公衆ノ衛生ニ要スル土地
 第三条 前条ノ工事ノ為メ土地ヲ収用又ハ使用セントスルノ必要アルトキハ起業者ハ工事計画書竝図面ヲ製シ地方長官ニ差出スヘシ地方長官ハ之ヲ審査シ内務大臣ニ具申シ内務大臣ハ之ヲ閣議ニ提出スヘシ
 前項ノ工事政府ノ起業ニ係ルトキハ主務大臣ハ工事計画書竝図面ヲ製シ内務大臣ト協議シ之ヲ閣議ニ提出スヘシ
 第四条 内閣ニ於テ工事ヲ認定シタルトキハ官報ヲ以テ起業者及起業地竝工事ノ種類ヲ公告スヘシ
 国防上ノ工事ニ関シテハ主務大臣ヨリ地方長官ニ通知シ地方長官ハ其土地所有者及関係人ニ通知スヘシ
 (中略)
 第九条 地方長官前条ノ書類ヲ受取リタルトキハ之ヲ市町村長ニ下付スヘシ市町村長ハ之ヲ市役所又ハ町村役場ニ備置キ十四日間公衆ノ縦覧ニ供スル旨ヲ公告スヘシ且起業者ヲシテ特ニ所有者及関係人ニ其旨ヲ通知セシムヘシ
 前項ノ公告ニハ土地収用審査委員会ヲ開クヘキ場所、期日、所有者及関係人ヨリ意見書ヲ差出スヘキ場所ヲ記載スヘシ
 第十条 収用又ハ使用スヘキ土地ノ所有者及関係人ハ前条公告ノ日ヨリ十四日以内ニ意見書ヲ差出スヘシ若シ其期限ヲ過ルトキハ意見ヲ申立ツルコトヲ得ス
 第十一条 地方長官ハ前条公告ノ日ヨリ十四日間ヲ過キタル後土地収用審査委員会ヲ開クヘシ
 土地収用審査委員会ハ仕様其他ノ手続ヲ審査シ所有者及関係人ヨリ差出シタル意見書ノ当否、土地収用又ハ使用ノ区域収用又ハ使用ノ時期竝補償ノ金額ヲ裁決スヘシ
補償ノ金額ヲ裁決スルトキハ先ツ二名以上ノ鑑定人ヲ選ヒ其見積書ノ当否ヲ調査セシムヘシ
 第十二条 土地収用審査委員会ハ七日以内ニ裁決ヲ終リ地方長官ニ之ヲ報告スヘシ但其期限内ニ裁決スルコトヲ得サル事由アルトキハ地方長官ノ認可ヲ経テ其期限ヲ延スコトヲ得
 第十三条 地方長官土地収用審査委員会ノ裁決ノ報告ヲ受ケタルトキハ市町村長ヲシテ之ヲ起業者及所有者竝関係人ニ達セシムヘシ
 第十四条 地方長官ヨリ裁決ノ達ヲ受ケタルトキハ起業者ハ補償金ヲ所有者及関係人ニ払渡シ又ハ地方庁ニ預置キ土地ヲ受取ルヘシ但工事仕様ニ関スル裁決ニ服セス内務大臣ニ訴願シタル場合ハ此限ニアラス
 第十五条 土地収用審査委員会ノ工事仕様ニ関スル裁決ニ服セサル者ハ裁決ノ達ヲ受ケタル日ヨリ七日以内ニ内務大臣ニ訴願スルコトヲ得内務大臣ノ裁決ヲ終ルマテハ起業者其工事ニ著手スルコトヲ得ス但内務大臣ノ裁決ハ之ヲ終審トス
 補償金額ニ関スル裁決ニ服セサル者ハ裁決ノ達ヲ受ケタル日ヨリ三箇月以内ニ裁判所ニ出訴スルコトヲ得此場合ニ於テハ起業者其工事ノ著手ヲ猶予セサルコトヲ得
 第十六条 起業者土地ヲ受取リタルトキハ其登記ト倶ニ該土地ハ第三十五条ノ場合ニ於テ旧所有者原価ヲ以テ買戻ノ権ヲ有スル旨ノ記入ヲ求ムヘシ
 第十七条 収用又ハ使用スヘキ土地其他ノ補償金額ハ所有者及関係人ヲシテ相当ノ価値ヲ得セシムルヲ目的トシテ之ヲ定ムヘシ
 第十八条 収用ノ為メ土地ノ分割ヲ来シタル場合ニ於テ収用地ノ補償価格残地ノ価格ヨリ高キ事実アルカ又ハ残地ノ価格ヲ減スヘキ事実アルトキハ併セテ其損失ヲ補償スヘシ
土地ノ一部ヲ使用スルカ為メ残地ノ損失ヲ来ストキハ其補償ニ付テモ亦前項ニ同シ
 (中略)
 第二十一条 収用又ハ使用ノ土地ニ付属スル建物木石等ハ併セテ之ヲ収用又ハ使用シ作物ハ之ヲ収用スヘシ但所有者ニ於テ其移転ヲ請求スルトキハ移転料ヲ補償スヘシ
 第二十二条 所有者補償金額ヲ増サンカ為メ故ラニ建物雑作ヲ修補シ又ハ木石作物等ヲ増加シタル実蹟アルトキハ之ヲ補償金額中ニ算入セス所有者ヲシテ自費ヲ以テ其土地ノ収用又ハ使用ノ日マテニ之ヲ取払ハシムヘシ
 第二十三条 土地ト建物木石作物等ト其所有者ヲ異ニスル場合又ハ借地人借家人小作人等其土地ニ対シ特別ノ関係ヲ有スル者アル場合ニ於テハ其収用又ハ使用ニ因テ生スル損失ニシテ金額ニ見積ルコトヲ得ルモノニ限リ各別ニ之ヲ補償スヘシ
 書入又ハ質入トナリタル土地建物ノ補償金ハ地方庁ニ預置カシメ所有者及債主連署シテ其下渡ヲ請求スルヲ竢テ払渡スヘシ
 (中略)
 第二十五条 工事ノ仕様竝補償金額ノ決定ノ後起業者其土地ヲ収用又ハ使用セサル以前其工事ヲ廃スル場合ニ於テ所有者及関係人之カ為メニ損失ヲ被リタルトキハ其補償金ヲ請求スルコトヲ得収用又ハ使用ノ時期ヲ過キテ仍ホ土地ヲ収用又ハ使用セサルトキモ亦同シ
若シ補償ニ付協議調ハサルトキハ第六条第二項ノ例ニ依ル
 第二十六条 収用又ハ使用ノ補償金額ノ決定ニ漏レタル損失ヲ発見シタルトキハ所有者及関係人ハ其収用又ハ使用ノ日ヨリ三箇年以内ニ其補償金ヲ請求スルコトヲ得
 若シ補償ニ付協議調ハサルトキハ土地収用審査委員会ノ裁決ヲ請フヘシ
 第二十七条 天災時変ニ際シ急施ヲ要スル公共ノ利益ノ為メノ工事ハ起業者ノ申立ニ依リ郡市長之ヲ認定シ直ニ土地ヲ収用又ハ使用セシムルコトヲ得但補償ニ関スル手続ハ執行後此法律ニ依リ之ヲ行フヘシ
 第二十八条 国防又ハ道路堤防鉄道及埠頭ノ工事ニ供スル土石砂礫ニシテ宅地外ニ在テ所有者使用セサルモノハ此法律ニ依リ之ヲ収用スルコトヲ得
 第二十九条 土地収用審査委員ハ府県会常置委員ヲ以テ之ニ充テ地方長官ヲ会長トス地方長官故障アルトキハ上席高等官之ヲ代理ス
 工事ノ仕様ヲ裁決スル場合ニ於テハ其工事ノ状況ニ依リ専門技術家ヲ委員中ニ加フヘシ
 第三十条 起業者及収用又ハ使用スヘキ土地ノ所有者及関係人竝其父子兄弟ハ土地収用審査委員会ノ会議ニ與カルコトヲ得ス
 第三十一条 土地収用審査委員会ノ選定スル鑑定人竝第六条ノ鑑定人ハ其市町村ニ於テ土地ヲ所有シ且前条第一項ニ触レサル者ニ限ル
 第三十二条 土地収用審査委員会ハ起業者竝所有者及関係人ヲ呼出スコトヲ得
 第三十三条 土地収用審査委員会ハ委員半数以上出席スルニ非サレハ開会スルコトヲ得ス
 会議ハ多数ニ依テ決ス若シ可否ノ数相半ハスルトキハ会長之ヲ決ス
 (中略)
 第三十八条 国防其他兵事上工事ノ急施ヲ要スル場合ニ於テ土地ヲ収用又ハ使用スルハ特ニ定メタル法律ノ条規ニ依ル
 (後略)」

   国家総動員法

 一九三八年(昭和十三年)四月一日、国家総動員法が公布されました。
 すでに前年七月七日、天皇は中国にたいする全面侵略戦争を開始していました。
 同法は、「本法ニ於テ国家総動員トハ戦時(戦争ニ準ズベキ事変ノ場合ヲ含ム以下之ニ同ジ)ニ際シ国防目的達成ノ為国ノ全力ヲ最モ有効ニ発揮セシムル様人的及物的資源ヲ統制運用スルヲ謂フ」(第一条)としていました。侵略略戦を推進するために国民を総動員するためのものでした。
 土地の収用についても第十三条の三項で規定しています。
 「第十三条 政府ハ戦時ニ際シ国家総動員上必要アルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ総動員業務タル事業ニ属スル工場、事業場、船舶其ノ他ノ施設又ハ之ニ転用スルコトヲ得ル施設ノ全部又ハ一部ヲ管理、使用又ハ収用スルコトヲ得
 2 政府ハ前項ニ掲グルモノヲ使用又ハ収用スル場合ニ於テ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ従業者ヲ使用セシメ又ハ当該施設ニ於テ現ニ実施スル特許発明若ハ登録実用新案ヲ実施スルコトヲ得
 3 政府ハ戦時ニ際シ国家総動員上必要アルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ総動員業務ニ必要ナル土地若ハ家屋其ノ他ノ工作物ヲ管理、使用又ハ収用シ又ハ総動員業務ヲ行フ者ヲシテ之ヲ使用若ハ収用セシムルコトヲ得」
 関連の条文を見ておきます。
 「第十五条 前二条ノ規定ニ依リ政府ノ収用シタルモノ不用ニ帰シタル場合ニ於テ収用シタル時ヨリ十年内ニ払下グルトキ又ハ第十三条第三項ノ規定ニ依リ総動員業務ヲ行フ者ノ収用シタルモノ収用シタル時ヨリ十年内ニ不用ニ帰シタルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ旧所有者若ハ旧権利者又ハ其ノ一般承継人ハ優先ニ之ヲ買受クルコトヲ得」
 「第二十七条 政府ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ第八条、第十条、第十三条、第十四条若ハ第十六条ノ二ノ規定ニ依ル処分、第九条ノ規定ニ依ル輸出若ハ輸入ノ命令、第十一条ノ規定ニ依ル資金ノ融通、有価証券ノ応募、引受若ハ買入、債務ノ引受若ハ債務ノ保証ノ命令、第十六条ノ規定ニ依ル設備ノ新設、拡張若ハ改良ノ命令又ハ第十六条ノ三ノ規定ニ依ル事業ノ委託、譲渡、廃止若ハ休止若ハ法人ノ目的変更若ハ解散ノ命令ニ因リ生ジタル損失ヲ補償ス但シ第二項ノ場合ハ此ノ限ニ在ラズ
 2 総動員業務ヲ行フ者ハ第十条、第十三条第三項又ハ第十四条ノ規定ニ依リ使用、収用又ハ実施ヲ為ス場合ニ於テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ之ニ因リ生ジタル損失ヲ補償スベシ」
 「第三十三条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ三年以下ノ懲役又ハ五千円以下ノ罰金ニ処ス
 一 第七条ノ規定ニ依ル命令又ハ制限若ハ禁止ニ違反シタル者
 二 第九条ノ規定ニ依ル命令ニ違反シ輸出又ハ輸入ヲ為サザル者
 三 第十条ノ規定ニ依ル総動員物資ノ使用又ハ収用ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者
 四 第十三条ノ規定ニ依ル施設、土地若ハ工作物ノ管理、使用若ハ収用又ハ従業者ノ供用ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者」

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