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2011.02.06

本土決戦期の陸軍兵力の高知県への配備 その五 「敵の戦車が接近した時タコツボからおどり出て、爆弾や放火剤を以(もって)て攻撃する体当たり戦法準備を整へた。」。

 <各部隊の防禦(ぼうぎょ)工事の実施状況

右地区隊正面も左地区隊正面も共に、海岸には幅百米内外の砂地があるが、其(そ)の後方には大部分、一連の高地帯が連なっておる。
敵が土佐沿岸に強行上陸を行う時には、飛行機による爆撃と、艦隊による砲撃によって、我(わ)が防禦設備(ぼうぎょせつび)を徹底的に破壊した後、上陸部隊が舟艇に乗って陸岸に上陸すると共に、水陸両用の戦車を上陸せしめ、戦車を先頭として我が守備隊を制圧し、艦砲射撃によって掩護せられて、逐次地歩を拡大し、主力の上陸完了を待って、我軍と決戦することになるであろう。
だから我(わ)が師団としては、敵の飛行機より行う爆撃に対しても、艦隊の行う艦砲射撃に対しても、安全で決して破壊されないよう考慮して、堅固に防禦施設を作らねばならぬ。
夫(そ)れ故(ゆえ)我(わが)主抵抗陣地は、敵の艦砲射撃に暴露しないよう、前方高地にかくれた後退配備をとり、尚(な)ほ敵の爆撃に対し安全にする為(た)め、高地帯に多数のトンネルを縦横に作って、其(そ)のトンネルの内部に、兵員の起居と弾薬糧食などの貯蔵が出来るように施設し、敵方に面した出口に機関銃や速射砲、山砲などを据えつけ、銃口、砲口部だけを残して、コンクリートや鉄板で固ためた。
当時高知市にはセメント工場があったけれども、石炭不足の為(た)め、一時セメント生産を中止してゐた。僕は徳島県に貧鉱であるけれども、石炭が出る山があることを知り、わざわざ将兵を派遣して、石炭を掘って、セメント工場に與(あた)えて、セメントを生産させたから、セメントは豊富に師団の防禦工事に使用することが出来た。
機関銃や諸火砲は敵の艦砲射撃に暴露しないよう、而(しか)も斜射、側射の効果を発揮するよう射向について、特別の注意を拂(はら)ったから、万全の備へが出来た。
海岸の砂浜には少数の前進部隊の隠蔽陣地(いんぺいじんち)を作って、敵の上陸を直接妨害させるように準備し、此(この)前進部隊と主陣地とは、坑道を以て、安全に交通が出来るよう構築した。尚(な)ほ海岸地帯には無数のタコツボ陣地を作り、我軍(わがぐん)の單独兵を潜伏せしめ、敵の戦車が接近した時タコツボからおどり出て、爆弾や放火剤を以(もって)て攻撃する体当たり戦法準備を整へた。
尚(な)ほ海岸沿いの一連の高地帯に、前述の通りの無数のトンネルを縦横に掘ることは、容易な事ではない。四月下旬各部隊が、陣地配置についてから、連日連夜交代制によって、晝夜兼行の工事を續けた。トンネル工事の途中、岩盤につき当ることが屡々(しばしば)ある。岩盤は火薬を使って爆破し、又(また)トンネルの天井や側壁がくずれるから、木材で枠を組みつつ工事を進めねばならぬから、莫大な木材を要すると共に、多大の日子を費やした。>

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