« 二一一二年一月三十日 月曜日 夜の学校、高知短期大学の専攻科の入試の願書を出しました。 | トップページ | 二一一二年一月三十一日 火曜日 一日中、後期試験の勉強。 »

2012.01.31

【美術の勉強の時間】 江戸の浮世絵とパリの印象派の画家たち

 江戸時代の浮世絵(うきよえ。多色刷りの木版画や肉筆画など)は、フランスのパリの印象派の画家たちの画風に影響を与えています。そのことについて、まとめます。

 【浮世絵】

 浮世絵は、江戸時代に成立した絵画のジャンルです。 演劇、風俗、肖像、風景など多彩な題材があり、人々の日常の生活や風物などを多く描いています。
 浮世絵のうち、木版画は版画であるために、同じ絵柄のものを多く刷り上げることができ、安価で一般大衆もたやすく求められました。
 浮世絵は大衆文化の一部であり、手に取ってながめ愛されました。
 浮世絵の画風には、いくつかの特徴があります。
 ① 陰影をつけない線描や点描だけによる描写。
 ② 図柄がはっきりしていること。
 ③ あざやかで生彩に富んだ色彩表現。
 ④ 左右非対称や余白をいかす、対象物の一部の拡大や切り取り、地平線をかなり高く設定するなどの構図。
 ⑤ 前景に大きなモチーフを描いて遠景と対比させる対比遠近法。

 
 【印象派】

 印象派は、19世紀後半にパリで伝統的なアカデミー様式と対立した画家たちによる芸術運動です。
 余暇を過ごす人々やガス灯による夜の情景、ダンスホールに集う人々、踊り子やサーカスの曲芸師など、日常の中に存在するものを表現しました。
 その絵画の特徴は、光の動き、変化の質感をいかに絵画に表現するかで、ある瞬間の変化を強調して表現することでした。それまでの絵画に比べて絵全体が明るく、色彩に富んでいました。タッチも荒々しく、絵画中に明確な線が見られないことも特徴です。
 それまでの画家は、主にアトリエの中で絵を描いていましたが、陽光の輝きの探究のため好んで屋外に出かけて絵を描きました。

 【影響】

 パリの銅板画家・フゥリクス・ブラックモン(1833年~1014年)は、1858年ころ、前から手に入れたかった葛飾北斎(1760年10月31日~1849年5月10日)の「北斎漫画」(1814年~1878年)を手に入れ、友人のエドゥアール・マネ(1832年1月23日~ 1883年4月30日)、クロード・モネ(1840年11月14日~ 1926年12月5日)、エドガー・ドガ(1834年7月19日~ 1917年9月27日)などに見せてまわったといいます。いずれも印象派の人たちでした。
 1867年、パリで万国博覧会が開催されましたが、これに江戸幕府が参加し、浮世絵も出品しました。
 こうして、浮世絵はパリの人々に広く知られていくようになります。
 マネが手がけた肖像画「エミール・ゾラの肖像」(油彩・画布 46×114cm。1867年~1868年)』は、小説家兼批評家のエミール・ゾラの肖像です。画面には二代目歌川国明による多色刷浮世絵木版画「大鳴門灘右ヱ門」が飾られ、ゾラへと視線を向けています。
 マネ「笛を吹く少年」(油彩 160 x 98 cm。1866年)も浮世絵の影響を受けているといわれています。
 遠近感を廃し、人物の動きを最小限にとどめ、コントラストの強い色を平面的に用いているさまは浮世絵の技法を感じさせます。
 モネは、北斎の「富嶽三十六景」シリーズを参考に構図を考えたといわれています。1868、批評家のザカリ・アクトリュスは、「エタンゴール」紙の文芸欄で、モネについて「北斎の忠実なライバル」と書いています。
 印象派のヴィンセント・ヴァン・ゴッホ(1853年3月30日~1890年7月29日)は、弟テオに宛てた手紙のなかで「僕の仕事は、皆、多少、日本の絵が基礎となっている」とのべています。
 彼は、「タンギー爺さん」(92.0×75.0cm。1887年)という作品があります。タンギーは、パリの画材店の主人・ジュリアン・フランソワ・タンギー(1825年~1894年)です。その絵の背景に六枚の浮世絵を描いています。そのなかには渓斎英泉(けいさいえいせん。1790年から1848年8月20日)の美人画や広重の風景画もあります。
 また、ゴッホは、歌川広重(1797年~1858年10月12日)の絵を油絵で模写しています。
 「雨の大橋」(油彩、カンヴァス。1887年)は、広重の「名所江戸百景・大はしあたけの夕立」(大判錦絵。1557年)の模写です。
 「梅の花」(油彩、カンヴァス。1887年)も、広重の「名所江戸百景・亀戸梅屋舗」(大判錦絵。1857年)の模写です。
 最初の絵で広重は、急な夕立に慌てる人々の様子をうまくとらえ、次の梅の絵では、画面手前に印象的な梅の枝を大胆に配して絵の奥行きを表現しています。
 ゴッホは、広重の浮世絵を真似ることで、その構図、色彩感覚、線描画法といった描画技術を学んでいたのです。
 日常の印象的な場面を写真のように瞬間的にとらえるが浮世絵の特徴で、それは、印象派の技法にも通じるのです。

 【参考資料】

 ○ 田辺昌子監修『徹底図解 浮世絵』。新星出版社。2011年12月15日。

|

« 二一一二年一月三十日 月曜日 夜の学校、高知短期大学の専攻科の入試の願書を出しました。 | トップページ | 二一一二年一月三十一日 火曜日 一日中、後期試験の勉強。 »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/30274/53871277

この記事へのトラックバック一覧です: 【美術の勉強の時間】 江戸の浮世絵とパリの印象派の画家たち:

« 二一一二年一月三十日 月曜日 夜の学校、高知短期大学の専攻科の入試の願書を出しました。 | トップページ | 二一一二年一月三十一日 火曜日 一日中、後期試験の勉強。 »