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2012.07.13

ニュージーランドって、どんな国(インターネットのデータで書いてみました。)

 【地震多発の国】

 2011年2月23日付 「しんぶん赤旗」 「NZでM6.3 死者65人 クライストチャーチ 不明の日本人 十数人」。

 ニュージーランド南島の中心都市クライストチャーチを22日、マグニチュード()6・3の強い地震が襲いました。(中略)同地では、昨年9月、M70の地震が起きたばかりです。

 2011年2月24日付 「しんぶん赤旗」 「NZ地震 複雑なプレート運動が背景」。

 大地震が襲ったニュージーランドは、年間100~200回の有感地震が発生する世界有数の地震国です。1990年初めから2000年末にかけて世界各地の深さ50キロより浅いところで起こったマグニチュード(M)4・0以上の地震の分布を見ると、日本やインドネシアなどと並んで多く発生していることがわかります。(中略)

 これは、ニュージーランドが太平洋プレートとオーストラリアプレートという二つの巨大な岩板がぶつかり合う場所に位置していることと関係があります。北島と南島の北部が乗るオーストラリアプレートの下に太平洋プレートが沈み込む一方、南島の南部が乗る太平洋プレートの下にオーストラリアプレートが沈み込んでいます。(中略)

 両者の中間にあたる南島の中央部には東西方向に横ずれ断層が発達しています。このため、プレートの沈み込みに伴って発生するプレート境界型の巨大地震だけでなく、内陸の活断層による地震も頻発しています。

 南島の中央部にあるクライストチャーチの近郊では、昨年9月、この横ずれ断層が動いたことでM7・0の地震が起こりました。東京大学地震研究所などの解析によると、今回の地震は昨年の地震の真東にあたるクライストチャーチの直下で起こりました。(後略)

 【原子力発電所、ゼロの国】

 オーストラリア生活情報サイト NICHIGO ONLINEの「第7 原発ゼロの国NZの地熱発電 201186日」から。

 (前略)ニュージーランドは、原発を持たず地熱などの再生可能エネルギーで電力をまかなう政策をとっている。(中略)

 牧草地と針葉樹林を通るなだらかな勾配の1本道を登り切ると、前方に吹き上がる白煙が見えてくる。工場から突き出る噴煙とは違い、水分を含んだ雲のようにふんわりと湧き上がるその煙は、ニュージーランド最大規模の地熱発電所から出る水蒸気だ。

 ニュージーランド最大の都市オークランドから車で約4時間。NZ北島のほぼ中央のタウポ火山帯に位置するワイラケイ地熱発 電所は、1958年に運転を開始した世界で2 番目に古い商業用地熱発電所で、出力17 キロワット、約17万世帯に電力供給が可能だ。

 発電所敷地内に張り巡らされた全長70キロに及ぶメタリック・シルバーのパイプの中には、摂氏約200度の熱水と蒸気が流れて いるが、特殊加工により外側に熱が放出されることはなく、実際にパイプに触らせてもらうと、ほどよい温かさで頬を付けることさえできた。

 地下1,0003,000メートルにあるマグマ溜まりに熱せられた地下水と水蒸気でタービンを回転させ発電するこの地熱発電は、福島第1原発事故後、ますます脚光を浴びる発電システムだ。地球内部の熱の移動や放射性物質の崩壊により生み出される地熱エネルギーは、膨大かつほぼ無限。燃料を地上で燃やさないためCO2の排出量は極めて少なく、発電に使った地下水は冷却され再 び地下に戻され、原発のように危険な使用ずみ燃料を出すこともない。また、太陽光 や風力発電のように天候や気象条件に左右 されず24時間電力を安定供給することが可能で、まさにいいことづくめの「再生可能 自然エネルギー」だと言える。

 今年2月に発生したクライストチャーチ大地震の記憶も新しい地震国ニュージーランドは、国内に原子力発電所を1基も持たず、水力や風力などの再生可能エネルギーで電力の7割以上をまかなっていて、そのうち地 熱発電は総発電量の13%を占めている。し かもNZ政府は、2025年までに国内電力の9 割をこれらの再生可能エネルギーに転換させるという目標まで立て、新しい地熱発電 所の建設も続々と推し進めている。

 また、ワイラケイ発電所周辺には、日本の富士電機が地熱タービンを設置した単機容量世界最大のナアワプルア地熱発電所や、東芝が発電設備を受注した2013年開業予定のテミヒ地熱発電所などもあり、多くのニュージーランドの地熱発電所に日本企業の高度な技術が採用され、多大な貢献をしている事実に少々驚かされた。(後略)

 PROFILE 飯島浩樹(いいじま・ひろき)

 日本の民放局でニュース番組のディレクターなどを経て来豪。現在、TBSのシド ニー通信員として多くのニュース・レポートを日本に送っている。

 【「非核政策」の国】

 同記事。

 ニュージーランドが地熱発電など再生可能エネルギー開発を積極的に推進している もう1つの背景に、この国が堅持するユニークな「非核政策」がある。

 1950年代からアメリカやフランスなどが南太平洋で繰り返し行った核実験は、ニュージーランド国民にとって脅威となり、当時の国際平和運動の高まりと相まって「反核」はNZ国民の悲願となった。

 1985年には、フランスのムルロア環礁での核実験に反対した環境保護団体の船がオークランド港に停泊中、仏の諜報工作員によって爆破される事件が起き、NZ国民の「反核」感情はますます高まりを見せ、1987年ついに世界初の「非核法」が成立した。

 NZの「非核法」は、外国の原子力艦船 の入港を含む自国への核の持込を一切禁止し、原子力発電所の建設も認めないという徹底したもので、 (後略)

 【経済の課題、強みと弱み】

 「地球の歩き方 ニュージーランドの歩き方」のサイトの「第6 ニュージーランド経済の基礎」、「第11 ニュージーランド経済の課題」、「第12 ニュージーランド経済の強み」から。執筆者は塩出慎吾さん。1966年生まれ、東京大学経済学部卒業。1990年より18年間株式会社リクルートに勤務。

 第6 ニュージーランド経済の基礎(2008.09.22

 (前略)

 Q: ニュージーランド経済の規模は?

 (中略)人口でみてもGDP(国内総生産:その国の人たちが生み出した商品、サービスの総合計)や貿易額でみても日本の25%の範囲におさまっています。

 ちなみに、ニュージーランドの428万人という人口は、日本の都道府県と比較すると静岡県(379万人)より多く、福岡県(504万人)より少ないという規模です。国土面積は日本の3/4もあるのに、人口はたったこれだけしかいない(=人口密度が低い)というのは驚きですね。都会のオークランドやクライストチャーチにいるとそれほど意識しませんが、ドライブで田舎道を走ってみると見渡す限り家がない、という風景が当たり前に続きます。

 Q: 主な輸出品は?

 ニュージーランドの輸出品といえば「農産物」です。中でも乳製品は輸出全体の20%を超え、続いて肉類が12%弱、さらに木材が6%と続きます。(2006 JETRO調べ 以下同じ)

 時々オーストラリアとあわせて「資源国」といわれることがありますが、実際にはアルミニウムほかで輸出全体の8%程度にとどまっており、「資源国」と呼ぶには適していないと思います。

 農産物の輸出品は他にも果物・ナッツ類(3.5%)、タンパク質でんぷん等(2.9%)があり、水産物(3.0%)も加えると輸出全体の47.7%を占めています。立派な「農林水産業立国」ですね。

 Q: 主な輸入品は?

 鉱物燃料<主に石油>(14.5%)、機械・機器(13%)、輸送用機械<主に自動車>(12.1%)、電気・電子機器(9.1%)、プラスチック(3.7%)、光学測定・医療機器(2.8%)、医薬品(2.5%)、紙・板紙・製紙用パルプ(2.3%)、航空機(2.2%)、船・ボート(2%)

 となっています。実はニュージーランドではほとんど工業製品を作っていません。自動車、TV、エアコン、パソコンといった身の回りの家電や生活に必要な製品はほぼ全て輸入に頼っています。唯一 Fisher & Paykelという会社が冷蔵庫、ディッシュ・ウオッシャー、洗濯機などの白物家電を国内で製造しているのが目立つくらいです。

 また、石油についても国内油田の開発を進めているものの、現在は大半を輸入に頼っています。

 Q: 輸出と輸入、どちらが多いの?

 上の2つの解説の通り、ニュージーランドは農林水産物を輸出し、工業製品・燃料を輸入することで成り立っています。工業製品の方が高付加価値(≒単価が高い)ということもあり、長年にわたり輸入額の方が多い、いわゆる「貿易赤字国」になっています。

 Q: 主な貿易相手国は?

 輸出では

 オーストラリア(21.9%)、アメリカ(11.5%)、日本(9.2%)、中国(5.3%)、イギリス(4.5%)、韓国(3.6%)

 輸入では

 オーストラリア(20.8%)、中国(13.3%)、アメリカ(9.8%)、日本(9.2%)、シンガポール(5.2%)、ドイツ(4.7%)

 の順になっています。隣国オーストラリアのシェアが輸出入ともにトップ、かつ2割を超えているのが大きな特徴で、ニュージーランドは良くも悪くもオーストラリアと密接に結びついているといえます。

 Q: 政府の財政赤字は?

 実はニュージーランド政府は世界でも珍しい「財政黒字」国でした。1980年代に財政赤字が逼迫したことを機にさまざまな公営企業を売却・民営化し、徹底した市場原理を導入、「小さな政府」に生まれ変わったのです。結果、2007年度までは順調に黒字基調が続いていました。ただし、2008年度以降の数年間は、税収の減少(その中には2008年から実施される減税も含まれています)により財政赤字に転落すると政府が発表しています。

 Q: ニュージーランドは「豊かな国」?

 ニュージーランドはOECD(経済開発協力機構:別名「お金持ちクラブ」)に加盟していますし、1人当りGDP25,000ドルを超えている立派な「先進国」です。

 OECD 加盟国の中で1人当たりGDPを比較すると、日本が14(35,650ドル)、ニュージーランドは19位イタリアと21位スペインにはさまれた20位(27,146ドル)となっています。1人当たりの収入も1人当たりGDPにおおむね比例するので、ニュージーランドでの平均所得は日本のそれの約80%と考えてもらえばいいと思います。

 収入が8掛けでも商品が同じように安ければ、理屈の上では生活水準は変わらないことになります。ここまで解説してきたように、ニュージーランドでは食料品を多く生産(食料自給率は300%:今の3倍の国民を食べさせることができます)しており、その分食費は安く上がります。しかし、逆に工業製品は全て輸入をしているので割高になってしまうのです。特に新車などは日本で買うよりはるかに高く、そのため多くの人は輸入中古車を買っています。

 つまり、ニュージーランドは

 「工業製品を買わず、外食やサービスもあまり利用しない」

 というつつましやかな生活をする人にとっては

 「割安に豊かな暮らしができる国」

 ですし、逆に

 「いつも新製品を買いたいし、外食やサービスにもたくさんお金を使う」

 という人にとっては「何を買うにも割高な国」となってしまうのです。

 (後略)

 第11 ニュージーランド経済の課題(2008.10.27)

 (前略)

 Q: 「対外債務」ってどういう意味?

 (中略)ニュージーランド(以下NZ)は輸入が輸出を上回る恒常的な「貿易赤字」国です。観光立国でもあるので、毎年多くの旅行者がNZにお金を落としてくれますが、貿易赤字を埋めるほどではありません。ということは、そのままでは

 資金流出>>資金流入

 となり、どんどん国として貧乏になっていきます。

 そのため、多くの新興国、発展途上国と同じように

 「政策金利(公定歩合)を高めにする」

 ことにより、他国から資金を調達しています。金利が高ければ、それに合わせて投資を回収する時の利回りも高めになっていくので、その国に投資する意欲もわきますよね。

 ここ数年NZの公定歩合は最高8.25%と先進国としてはかなり高いレベルで推移してきました。そのため超低金利の日本をはじめとして、多くの国から資金を集めることができました。

 海外から資金を調達しているので、NZから見ればそれは対外債務(借金)となります。その対外債務の大きさが問題なのです。

 Q: NZの「対外債務」はどれくらい大きいの?

 対外純債務(海外から流入した資金から海外へ流出した資金を差し引いた金額)の絶対額でみれば、日本円で6兆円程度とそれほどではありません。しかし、国の経済力を示すGDP(国内総生産)との比率でみてみると、以下の通りになります。

 ニュージーランド:89

 オーストラリア:61

 アメリカ:40

 アイスランド:160

 一年にNZが生み出す価値(GDP:7兆円弱)の約9割を海外からまかなっているかっこうです。

 GDP比率でみると、NZの対外債務はアイスランドほどではありませんが、借金大国のアメリカを超え、同じような境遇のオーストラリアよりもさらに高くなっています。

 ちなみに、アイスランドは今回の金融危機で「大手銀行がすべて国有化」「株式市場閉鎖」「為替が暴落」と最大の被害を受け、「国家破産の危機」の状態といわれている国です。

 アイスランドは高金利を武器に資金を集め、その大半を海外に投資することにより「金融立国」として最近大きく成長してきましたが、金融危機により全てが逆回転となり、現在の窮状となっています。

 Q: 「対外債務」が大きいと何が問題なの?

 借金が全て悪いわけではありません。逆に全てを自己資金でまかなおうとすると、せっかくの成長するチャンスを逃してしまいかねません。「将来返せるあてがある」のであれば、借金をすることは問題ありませんよね。

 しかし、個人や企業、そして国でも

 「身の丈を超えた」

 借金は身を滅ぼします。アイスランドは明らかに分不相応なまでの借金をしてしまったために破綻の危機に直面しています。ニュージーランドの借金はそこまでひどくはありませんが、しかしやはり過大な借金を抱えていると言わざるを得ません。実は、この対外債務のうち、何割かはここ数年で増加しているのです。

 Q: なぜ「対外債務」が大きくなったの?

 好景気だった2000年からの8年間で、ニュージーランドの対外債務はGDP比率で25%ほどふくれ上がり、この多くは住宅投資に回りました。人々は持ち家だけでなく、投資用にローンを組んでセカンドハウスを購入しました。それを賃貸に回したり転売してキャピタルゲインを得ていたのです。また、企業も住宅価格上昇を見込んで大規模マンションを建設し、リゾート開発を進めました。これらの資金の多くが海外から調達されました。

 住宅価格が上昇している間は潤沢に追加資金が海外から投入され、何の問題もありませんでした。しかし、住宅バブルが崩壊し、価格が下落し始めると多額の配当・利子負担が重荷になってきたのです。

 住宅価格は昨年と比べ1割下落し、住宅に投資していたファイナンス会社の多くがこの2年の間に倒産、閉鎖を余儀なくされてきました。また、ちまたには「抵当流れ(住宅ローン返済ができなくなり、差し押さえになった物件を銀行など金融機関が見切り処分すること)」で安売りする物件も出てきていますし、住宅価格の底はまだ見えてきていません。

 Q: 今後「対外債務」は増えていくの、それとも減っていくの?

 要するにNZは国全体として住宅建設のため海外から借金をしたものの、バブル崩壊によって担保割れを起こし、返済計画も滞りがちという状態です。

 世界経済が絶好調であれば「追い貸し(さらに追加で資金を貸し出すこと)」があったかもしれませんし、平時であれば、「返済計画のやりなおし(=返済期限の延長)」くらいで済んだかもしれません。しかし、現在は金融危機の真っただ中、信用収縮が比較的信用できるはずの国内の銀行間でも起きており、ましてや海外から資金を調達することは徐々に困難になってきています。

 海外からの資金には長期で借りているものもありますが、90日以内の短期で借りている資金も多く、これらは順次支払期限を迎えています。今までであれば楽に同じ条件で「借り換え」ができたのが、貸し出し条件が厳しくなったり、全額の借り換えができなくなったりという事態が発生しつつあります。

 また、長期で調達している資金についても、NZの公定歩合利下げに伴い金利が低下傾向にあり、投資家にとってうまみが減っています。そのため、今までのように大量に調達するのは難しく、こちらも額としては減っていく傾向にありそうです。

 つまり、短期、長期の両方で海外から資金が調達できなくなっていくわけです。

 Q: 海外からの資金調達が厳しくなると、どうなるの?

 今までお金がジャブジャブと湯水のごとく使えていたから、住宅バブルが発生したという一面もあります。この状態が元に戻ると考えてください。

 銀行にとっては元手になる資金が減るため、銀行はより「安全な貸出先」を厳選して貸すようになります。つまり、貸出基準の厳格化が起き、これまでのように簡単には住宅ローン審査がおりなくなりそうです。企業融資や他の自動車ローンなども同様で、企業としても個人としてもなかなか借金ができなくなります。

 厳しくなる、といっても「以前の状態に戻る」だけです。住宅ローンを借りるのであれば頭金20%は必要だし、年収について審査もきちんとする、という当たり前のステップを踏むようになるだけです。それを怠ってきたこの数年間が異常で、結果としてバブルをよりひどくさせたといえます。

 ただし、今後実体経済がより厳しくなってくれば、銀行もなりふりかまっていられなくなり、日本のバブル崩壊の時に社会問題になった

 「貸し渋り」や「貸しはがし」

 といったことも発生するかもしれません。今はまだその兆候は表れていませんが、今後の景気動向や銀行の業績に対しては注意が必要です。

 Q: 今後の見通しは?

 根本的な問題は冒頭にあげたNZの「恒常的な経常赤字(自らが稼ぐよりも多くの商品を海外から買っている状態)」体質です。これを解決しないことには、対外債務は減りません。あるNZエコノミストの試算によると、経常収支を均衡させるためにはNZ全体で年間1兆円程度支出を削減しないといけないそうです。これはGDPの1割強にあたります。

 不況になれば、自然と消費や設備投資は落ち込みます。住宅バブル崩壊にあわせた不況により、身の丈に合った状態に経済が縮小していく、というのが経常収支均衡までの一番ありそうなシナリオです。

 「第12 ニュージーランド経済の強み」(2008.11.03)から。

 (前略)

 Q: 「貿易赤字」「過大な対外債務」などニュージーランド経済の「弱み」についてはよくわかったけれど、逆に「強み」を教えて!

 ●強み1:食料自給率が高い

よく「ニュージーランド(以下NZ)の食料自給率は300%」という数字をNZにまつわる本やウェブサイトで見かけますが、実はこれに該当する統計はありません。NZ政府が発表しているのは「穀物自給率」のみで、昨年度は71%となっています。穀物とは「小麦・米・トウモロコシ」のことで、主食として消費されるだけでなく、畜産の飼料としても使われています。この数値は穀物輸出大国のオーストラリア200%超、アメリカ100%超などと比べても決して高くなく、主食と飼料に関していえば、海外からの輸入が必要なのです。

 それではなぜNZが「食料自給率が高い」といわれるのでしょうか。穀物以外の食料(肉類・酪農品や野菜・果物といった農産物)をみてみると、国内消費と比較して肉類・酪農品で何と20倍、農産物でもほぼ同額が輸出に回されているからです。「食料自給率300%」というのは、穀物とこれら肉類・酪農品・農産物を大ざっぱにならした結果のようです。

 ちなみにNZ国土面積の半分以上を占める膨大な牧草地のうち、平坦な一部を穀物生産に切り替えることは可能で、そうなると「食料完全自給」も視野に入ってきます。自国民を養う以上の食料が生産できる、ということは非常な強みといえます。

 (藤原注・食料自給率は、国内で消費される食料のうち国産で賄われている割合を示す指標。一般に供給熱量ベース総合食料自給率が用いられます。栄養価である供給熱量(カロリー)を尺度に、国内で消費される熱量を算出し、そのうち国産で賄われる割合を示します。2010年度の日本の食料自給率は39%です。)

 ●強み2:エネルギー自給率が高い

 石油、ガスについてはまだまだ大半を輸入に頼っているのが現状ですが、NZ政府は近海での油田・ガス田の開発を進めており、海外依存から脱却しようとしています。

 また、驚くことに電力の70%超が水力・地熱発電といった「再生可能資源」から調達しており、政府はこの比率を2025年までに90%にまであげると公約しています。石油・ガスの自給が可能になり、水力・地熱発電がこの公約通りに伸びれば食料同様「エネルギー完全自給」も夢ではなくなってきます。

 そうなると、石油価格高騰に悩まされる必要がなくなり、持続的かつ安定的な成長が可能になります。

 ●強み3:高率の人口増加が続いている

 人口が増えるのは自然増(「出生数」から「死亡数」を差し引いたもの)と社会増(「外国からの流入」から「外国への流出」を差し引いたもの)の2つの要因があります。日本の場合ほとんど移民がいないので、前者だけ(しかも昨年すでにマイナスを記録)ですが、ニュージーランドの場合、後者もかなりの比率(約25%)を占めており、双方あわせて毎年約1%人口が増加しています。

 この数値は先進国の中ではアメリカ・オーストラリアと並んでかなり高く、これだけで(他の要素が全く変わらなくても)GDP(国内総生産)を1%押し上げてくれます。

 ●強み4:強力な観光資源を持ち、多くの観光客を引きつけている

 ニュージーランドはその豊富な自然が観光資源として世界中に知られています。直近の観光客数は1年間で120万人と、人数ではフランスの7000万人などと比較してたいしたことはないように思えます。しかし、人口比でいうと30%と高率ですし、さらにほぼ全員日帰りではなく宿泊して多くのお金を落としてくれることを考えると、かなり有望な産業といえます。国内旅行分も含めてですが、観光産業はGDPのうち8.9%を占めています。

 あと、非常に大きいのがNZドル安の際に強みを発揮するということです。通貨安は輸出にも追い風なのですが、いかんせん農産物・畜産品が主流なので、「すぐに生産を増やす」ことができません。しかし、旅行であれば「割安になったから今度の休暇はNZに遊びに行こう」と流入増に結びつきやすいのです。ただし、景気が悪くなると旅行、特に費用のかかる海外旅行は真っ先にとりやめになってしまう傾向があるので、「景気があまりに悪くならない」という前提条件がつきますが。

  Q: 「強み」からみたNZ経済の先行きは?

 ひとことでいうと、「底堅い」ということになります。サブプライム問題に端を発した信用危機でアメリカ・欧州はひどい状況になることが予想されていますし、これに引きずられて世界全体の景気が悪化していくかもしれません。また、NZ国内でも不動産価格の下落は深刻さを増しつつあります。

 しかし

 1. 自分たちの食いぶち&エネルギーは最低限きちんと確保でき

 2. 安定的な人口増によってパイも徐々に大きくなり

 3. NZドル安が続けば観光収入も増える

 ということを考えると、欧米諸国と比較して景気の谷は深くないと思われます。あくまで比較の話なので、もし「1930年以来の大恐慌」が再来したらNZもそれ相応の被害を受けることにはなります。しかし、その場合でもキウィ(ニュージーランドの人たちは自分たちのことをこう呼びます)流の「シンプル&スロー」な生活は確保できるのではないでしょうか。

 【日本とニュージーランドの貿易】

  ニュージーランド大使館のホームページの「日本とニュージーランドの貿易」から。

 「日本はニュージーランドにとってオーストラリア、米国に次ぐ第三位の貿易相手国で、2006年の輸出額は357000万ニュージーランドドルに達しています。高品質の石炭、アルミニウム、農業産品の供給国として、ニュージーランドは日本にとって資源供給のため戦略的にも重要な国となっています。

 ニュージーランドが第一次産品を日本へ輸出し、日本からは自動車、機械、光学機器、エレクトロニクスなどの製造品をニュージーランドに輸出するというかたちで、良好な貿易関係を長年築いてきました。

 ニュージーランドの対日主要輸出品は、アルミニウム、木製品、魚介類、乳製品、野菜、果物などです。最近の傾向では、教育サービス、カスタムメイドのソフトウエア開発、あらゆる種類の工業製品など伝統的な輸出品目以外の分野の輸出に著しい成長がみられます。

 人口4百万人強のニュージーランド国内はとても大きな市場とはいえず、多くのニュージーランド企業は海外との取り引きによって事業を成長させています。ニュージーランドの輸出企業は規模の大小にかかわらず、輸出相手国の市場の需要にあわせようと努力し、またあわせる能力を持っています。

 ニュージーランド貿易経済促進庁(当大使館商務部)は多くの企業の輸出事業を支援しています。(後略)

 

 【最初から環太平洋連携協定(TPP)に参加】

 日本の環太平洋連携協定(TPP)は、もともと、シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4カ国の貿易協定です。例外なしの関税撤廃のほか、広い分野で各国の制度の調和を目指す協定です。当初から、アジア太平洋地域の他の諸国が加入することを想定していました。

 アメリカは、みずからこの協定に加入し、太平洋をめぐる諸国へ拡大することによって、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)のようなアメリカ主導の貿易圏の形成を目指しています。

 なお、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)は、アジア太平洋地域を一つの貿易圏にまとめようという構想。2006年のAPEC首脳会議でブッシュ米大統領(当時)が提案。2009年のAPEC首脳会議はその検討を確認。10年11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議(横浜)はその推進を確認。

 アジア太平洋経済協力会議(APEC)は、アジア太平洋地域の19カ国と2地域が参加する地域機構。19カ国は、日本、韓国、中国、ロシア、ベトナム、フィリピン、シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア、ブルネイ、パプアニューギニア、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、アメリカ、メキシコ、チリ、ペルー。2地域=香港と台湾。

 ニュージーランドの政府(外務貿易省)がホームページでアップしているTPP交渉についての文書にはつぎのように書いてあります。「全参加国が交渉文案、各政府の提案、それに付属する説明資料、交渉内容にかかるEメールなどについて、秘密扱いにする」、「すべての参加国は、これらの文書を、TPP協定の発効後4年間、あるいは協定が発効にいたらなくても、最後の交渉会議から4年間、秘密扱いにする予定である」。(2012年1月27日の日本共産党志位和夫委員長の衆議院本会議での代表質問)。

 【国内でもTPP批判の運動が……】

 ニュージーランドにもTPPに批判的な人がいます。

 労働組合や団体、個人からなるニュージーランドの「TPPウオッチ」は、「TPPは事実上、秘密裏に立案されて、将来の政策と法律を決める将来の政府とわれわれの民主的権利を縛る大企業の権利章典だ」と批判しています。

同国で特に憂慮されているのは、医薬品を国民に安く供給する制度を、アメリカの製薬業界が敵視していることです。ニュージーランドでは、医薬品管理庁(PHARMAC)が医薬品を買い入れ、安く供給する制度があります。TPP交渉で、この制度も米側の標的にされています。看護師協会など医療団体は、「多国籍製薬企業にPHARMACの立派な仕事を脅かさせるな」と訴えています。50歳以上の高齢者の団体「グレー・パワー」も、「PHARMACに手を出すな」と声を上げています。(しんぶん赤旗、20111019日付、北川俊文「TPPが国内の制度壊す 豪・NZで批判 薬価抑制 米業界が敵視」)。

 ジェーン・ケルシーさん(ニュージーランドのオークランド大学教授)も、TPP反対を東京の街頭や国際シンポで説いて回りました。教授の編著書『異常な契約―TPPの仮面を剥ぐ』(農山漁村文化協会)は読者を得て、運動の一助になっています。(しんぶん赤旗、2012319日付、「潮流」)。

 【ニュージーランドの脅威】

 日本がTPPに加入したら……。ニュージーランドの酪農は日本の生産者にとって脅威です。

 JA熊本中央会会長の園田俊宏さんは「熊本県がTPP参加で第一に影響を受けるのは、酪農です。/熊本は西日本一の酪農地帯です。同じ酪農地帯の北海道はいま、かなりの部分を加工乳にまわしていますが、ニュージーランド、豪州とは競争できません。そうなれば、北海道の酪農は生き延びるために加工乳を生乳にかえて、出荷するでしょう。北と南の酪農は、規模もコストも違います。県の試算では、熊本県の酪農は壊滅します。」と、いっています。(しんぶん赤旗、2011年1月26日付、「いま言いたい 『自給率50%』どこへ」)。

 【ニュージーランドの基礎知識】

 以下、「ウィキペディア」の「ニュージーランド」のデータから。

 南西太平洋のポリネシアに位置しています。北島には、首都ウェリントンがあり、政府機関が集中しています。オークランドは、商業および経済の中心地となっています。オークランドの年間降水日は100日以上です。南島の中心都市はクライストチャーチ。島の中央には南アルプス山脈がそびえます。気候は、ほぼ全土が西岸海洋性気候に含まれ、夏は涼しく、冬の強烈な寒波もありません。1年を通して温暖な気候ですが、北島・南島ともにスキー場があります。

 総人口は約427万人で、人口密度(1 km2当たり)約16人です。1世帯当りの敷地面積は約500m2、住宅床面積は約200m2です。

 2006年の国勢調査では、人口の約68%がヨーロッパ人で、先住民族マオリ人が約15%です。みずからを「ニュージーランド人」と認識する人々で約12.9%ですが、そのほとんどは以前はヨーロッパ系に分類されていた人々です。アジア人は9.2%で、2001年の国勢調査では、6.6%でしたが急増しています。太平洋諸島人は6.9%です。

 イギリス連邦加盟国であり、英連邦王国の一国です。政体はニュージーランド国王を国家元首とする立憲君主制です。ニュージーランド国王は連合王国国王(イギリス国王)と同一人物ですが、王位は独立して存在します(同君連合)。ニュージーランド政府(通例はニュージーランドの首相)の助言に基づき国王により任命されたニュージーランド総督が国王の職務を代行します。行政府の長は首相です。議会による選出にもとづき、総選挙で最も多くの議席を獲得した政党の党首が選出され、ニュージーランド総督が任命します。副首相および閣僚は、首相の推薦に基づきニュージーランド総督が任命します。

 国民一人あたり所得は約270万円、失業率は6%20101-3月期)ですが就労者は全人口の約50%2010年。日本は約65%)です。

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