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2012.10.19

アジア太平洋戦争下の高知県 戦跡ツアーのコース例 七、アメリカ軍の高知市空襲で四人の子が殺されたという墓碑

高知市種崎の種崎千松公園の種崎共有墓地に「田村 吉尾 霊碑」があります。一九七一年五月に建立されたものです。吉尾弁太郎さんと奥さんの美恵さんが建てたもののようです。
 こんな横面に、こんな俳句が掘り込まれています。
 
 戦争乃[の]
 爪跡残る幾星霜

 裏面に、こんな叙述がありました。

 吉尾 実 弁太郎長男 享年十五才
 吉尾晴子    次女 享年十三才
 吉尾正純    次男 享年十才
 吉尾光司    四男 享年六才
 右四名ハ大東亜戦争中昭和廿[二十]年七月四日米軍ノ無差別爆撃ニ因[よ]り高知市ハ大空襲ヲ受ケ市ノ八割ハ焼野原トナリソノ犠牲トナル

 どういうことだったのでしょうか。吉尾弁太郎さん、妻の美恵さん、長女の純子さんの手記がありました。これらと、ことし五月の純子さんへのインタビューをもとに、「その時」を再現してみました。
 一九四四年三月、兵庫県尼崎市の武庫川に住んでいた吉尾一家は、強制疎開にあいました。
 そして、四月一日に高知市に移住しました。
 帯屋町一丁目に家を借りて住むことになりました。
 弁太郎さんは、美恵さんと、新京橋で写真館を始めました。
 夫婦には子ども七人いました。二女五男でした。
 一番上の子、長女の純子さんは風船爆弾をつくる紙工場に働きに行きました。
 一九四五年の夏。長女・純子さんは十六歳。長男・実さんは十四歳で中学校一年生。 二女・晴子さんは十二歳で国民学校五年生。二男・正純さんは九歳で国民学校三年生、三男・恒久さんは六歳で国民学校一年生、四男・光司さん四歳。五男・邦男さんは一歳。
 弁太郎さんは、アメリカ軍の空襲が激しくなったので、小さい子どもたちを早く疎開させなくてはというので、ひまをつくっては家を探しに歩き回っていました。
やっと、高知市西南部の針木の知人に頼んで間借りをさせてもらうことになりました。
弁太郎さんは、荷造りをしました。
 七月三日、美恵さんは、あすは下の子ども三人を連れて疎開する予定にしていました。
 夜、弁太郎さんは「新京橋の当番」で写真館に詰めていました。
 空襲警報が出ました。
 吉尾さん宅の家族は家の外に出ました。
 しばらくすると空襲警報が解除されました。
 みんな家へ入り、二階に上がり、布団に入りました。
 写真館にいた弁太郎さんはラジオに聴き入っていました。
 四日午前一時前。岡山、高松が空襲を受けたというニュースを聞いて間もなく、徳島に空襲との放送がありました。それから五分とたたないうちに照明弾と焼夷弾(しょういだん)が潮江の天神町方面に落ちたかと思うと空が真っ赤になりました。
 弁太郎さんは、家族のことが気になり、ただちにわが家にけつけました。
 吉尾さん宅では、誰もがまだ眠らないころ、実さんが飛び起きました。
 爆音がしたといいます。
 窓を見て「いかん」。
 美恵さんが「どうした」というと「焼夷弾(しょういだん)が落ちよる」。
 美恵さんは、大声で子どもたちを起こしました。
 同時にトン、トン、トンと家に焼夷弾が落ちてきました。
 空襲警報が鳴りました。
 焼夷弾は、台所の庭に落ちました。
 それを消さなければ二階から降りられません。
 弁太郎さんは、来てくれたおとなりの武村さんと焼夷弾をたたき消しました。
 美恵さんが外へ出ると、南も東も火の海で、空から花火のような焼夷弾が降ってきていました。
 布団を防火用水でぬらし、みんなが一枚ずつかぶって出ることにしました。………

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