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2013.03.28

【詩】 さびついた手榴弾 藤原義一

 僕らは
 動物公園の、はしっこの山の上を
 歩き回っていた。

 戦争のときの、交通壕といわれる塹壕が
 あっちへ、こっちへと
 のびている。
 
 下の動物公園では、
 ペンギンの鳴き声。
 集合する子どもたちのさんざめき。

 トンネルの出入口の跡があった。
 途中でつぶれている。
 でも、動物公園の向こう側につながっていたようだ。

 向こう側にまわりこむと、
 つながっているだろうトンネルが、大きな口を開けていた。
 途中から水がたまって、すみきった地下の池のようになっていた。
 池の左手には、弾薬をおいたような、くぼみがあった。
 
 それから何日かして
 池の水は、かなりひいて、
 トンネルの中から手榴弾が一つ見つかった。

 迷彩服の自衛隊員たちがやってきて、こういった。
 「旧軍のものです」
 彼らは、そのさびついたのを慎重に回収して、
 ジープでもち帰った。

 戦争は、トンネルの中で生きていた。

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