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2013.05.03

【槇村浩の研究のために】 プロレタリア作家同盟第五回全国大会の「高知支部活動報告」。(藤原 義一)

  プロレタリア作家同盟の第五回全国大会は、一九三二年五月十一日から開催されました。そのなかで同同盟高知支部が活動報告をしています。

 その内容が、一九三二年六月二十日発行のプロレタリア作家同盟機関誌『プロレタリア文学』の「臨時増刊」(第五回全国大会議事録特集)に載っています。

 その内容を紹介します。

  高知支部活動報告

 高知縣に於ける特殊状勢と、それに對する支部當面の活動任務

 高知縣は、山地多く交通不便であり、原料品に乏しいため、近代的大企業大工業が極めて僅少である。

 只、僅かに高知市及びその近傍に、土佐セメント(從業員二百)两海晒粉土佐工場(從業員百)稲生石灰工場(從業員三百)片倉製糸(從業員二百)製紙工場二三、と電氣鐡道及び國鐡、縣下各地に散在する四五の製紙、製糸會舍社等、全縣下勞働者の數五萬二千に過ぎず、農村に於ては、大地主は殆どなく、自作農が大半を占め、階級分化は極めて緩慢である。縣下農民總數二十五萬人。また海岸至る處に生活する二萬五千の漁民、及び近代的文化と歿交渉の山間に搾取されつゝある林業労働者三萬。

 而して、現在、工場勞働者の間には、全協の組織が漸く伸び始めつゝあり、農村に於ては全國會議派が高岡地方に僅少の勢力を保持してゐるに過ぎず、漁業、林業勞働者に至つては全然左翼からは組織の手が伸びてゐない。

 我が作家同盟高知支部は、此の廣汎な未組織勞働者、農民大衆の間に精力的に文化運動の影響力を拡大しつゝある。

 文學新聞の取次部數七百。プロレタリア文學四十。我が同盟に指導されるサークル數、十八。

 そして、基本的諸組織の補助的組織としての活動をより效果的に果し文學活動をより活發に押し進めるために文學新聞一千突破!機關誌プロレタリア文學百突破! サークル五十突破を執拗に戦ひ抜かうとしてゐる。

 だが、現在の我々の活動の成果を振り顧る時、我々は、我々の影響力の大部分が重要目標たる工場に勞働者に確保されてゐずして、主として農民及僅少の農業漁業林業勞働者に押し進められて來たと云ふ事である。

 是は、我々の組織活動が、文學的要求の比較的大であった農村間に自然發生的に、大衆に牽きずられて來た事、我々が計爀畫的、ねらひ打ち的に工場への食ひ込みをやつてゐなかった事を意味するものである。

 で、我々の當面する活動任務は

一、企業内への影響力の浸透、確保

二、農民文學委員會の組織

三、組織活動と創作活動の統一

四、新幹部の養成

 而して、是らは何れも全縣下の勞働者農民漁民の心に一様に不滿を抱かせてゐる高知第四十四聯隊の上海出兵を中心に執拗な反戰闘争を通じてのみ果敢に遂行されるものである事を確信する。

  文 学 新 聞 報 告

 一、高知支部取扱部数 七百部

  但し、七、八、九項號は發行所の都合及び支部文新部の財政窮迫のため、取扱部 数は約半減された。

 二、紙代納入状態 約三十%

  是は、一九三一年十二月一日より三日にかけて持たれたプロ文學講演会の損失の埋め合はせに、紙代の一部を廻はした事、及び新聞の配布が極めて無統制になされ、紙代の回収が困難になつた事のためである。が現在は紙代納入の悪い所には、發送中止部數減忠告等により紙代納入状態は百パーセントに近くなつた。そして是までの紙代の滯納分は紙代完納カムパを起し發行所への借金を支拂ふべく努力する。

 三、文學新聞配布状態

  農 民  一八九    製 紙    五

  学 生   六二    交 通   一〇

  製 糸   五一    一般使用人  五

  化 學   五〇    書 店   六二

  漁 民   三五    其 他  二三一

 四、文學新聞讀者階級別割合

  勞働者            〇、二八

  農民(漁民を含む)      〇、三一

  學生小市民その他一般街頭分子 〇、四一

 五、文學新聞通信員      一五名

 同 盟 員 增 加 状 態

 

 七月支部準備會設立以来(九月まで)

  弘田競、佐野順一郎、織田一平

  槇村浩、辻猪之吉、福重重滿、毛利猛夫、山村一夫、

 十 月

  奴田原三郎、坂雄作

 十一月

  川島 利勝

 十二月

  石川秀、河野一

 一月

  木山 喬

 二月

東條旨夫、上岡良一、邦見主殿、永田徹

                    以上、 十八名

 教 育 部 報 告

 1 研究會

 a  作品研究會「プロ文學」「文新」「大衆の友」「働く婦人」等の小説・詩、評論等に關する批判研究會を毎週一回持つてゐる。

   b 政治ケイ經濟研究會 始め獨自に持つ豫定であつたが、力關係を考慮し、科學者同盟高知支準の研究會に合流してゐる、毎週一回、主として當面の時事問題を直ちに取り上げて分析批判してゐる。

 2 同盟員、サークル員の文學的教育

   期間を限り、課題を付し、作品を募り、その出来榮に應じ、批判を付し返却し、研究會に付し、或は本部へ送附してゐる。

 3 「基本的諸組織への「貯水地」の役割を果す點に就いて

   共靑・全協・全農全國會議の組織部と密接な連絡を保ち、サークル・メンバーの才能に應じて、基本的諸組織へ引き渡し、サークルと分會との關係は、工場の事情、各の會合の情態、ビラまきや流し込みの順序等を考慮して、最も效果的に、基本的諸組織への貯水地として役立ち得るやうに計畫した。

 4 今後の見透し

   農民文学研究會、詩研究會の確立、ニュースの發行、講習會の催し等々

  作品活動報告

 弘 田  競作

 (小説)補充兵訓練 コップ高知地協刊行反戰パンフ「赤いラッパ」

  (小説)東京と高知 コップ高知地協刊行選擧パンフレット

  (シュプレヒコール)東北の兄弟を救へ 高知職場座上演臺本

 佐野順一郎作

  (小説)縊 死「赤いラッパ」

  (戯曲)(小林多喜二作より脚色)壁にはられた寫眞  高知職場座上演臺本

辻猪之吉作

 (小説)三太郎やあい「赤いラッパ」

毛利猛夫作

 (詩)俺は古参の二等兵「赤いラッパ」

槇村浩作

 (詩)生ける銃架「大衆の友」創刊號

  財 政 部 報 告

 同盟員の支部に納入すべき責任額

  本部費

  支部費

  事務所維持費

 納入期日、毎月二十五日

 然るに、同盟員十名の中、是が完全になされてゐるもの殆んど半數に過ぎず然も、昨年十二月一日―三日に開催した、講演カムパの負債に現在も惱まされてゐる状態である。

      三月一日以降、全國大會に至る期間に、財政活動の整理統一をなす事が決議された。

  企 畫 活 動 報 告

 一、藝術討論の夕

   十一月七日ロシア革命記念日午後六時

   主 催 作同を主體としてプロキノ、プロット、高知プロ美術研究會

   会 費 十錢

   参加者 十五人。(小市民7勞働者8)

   内 容 革命記念日及び文化聯盟の話  佐野順一郎

       プロレタリア藝術について   弘田  競

       藝術方法に於ける唯物辯證法の問題 織田 一平

       藝術運動に於ける組織問題   槇村  浩

       プロ美術について       里須 條二

   それ〲分擔説明し、藝術方法に於ける辯證法の問題が盛

に論じられた。

  二、プロレタリア文學と映の夕

    十二月一日――三日

    講 師 江口 渙、貴司山治、池田壽夫

    一 日 高知(高知座)聽衆五百。勞働者農民五割

    二 日 高岡町、聽衆二百。九割まで農民

    三 日 山田町、聽衆二百。八割まで農民

    總計約一千名の聽衆に、プロレタリア文學の意義任務、等を充分に浸透さす事が出來、以後支部活動に大いに役立つたのであるが、一方、此のカムパの財政的損失は現在まで支部の財政的基礎をおびやかしてゐる。未だ負債も全部支拂つてゐない。

  三、プロレタリア文學座談会

    十二月一日、高知座に於て講演會終了後直ちにカフェ―ブラジルに於て座談會開催

    参會者 八十名

    文學新聞、農民文學、大衆化の問題等が活發に論じられた。

 四、第二回藝術討論會

主催はコップ高知地協であつたが實質的には作家同盟の主催となつた。

一月二十日三Lデーの夜六時半

カフェ―ブラジルにて

 会 費 十セン

 参会者 十名、勞働者

  参會者の少い事は我々の組織的影響が高知市及高知市附近

一帶の勞働者農民の間に行き渡つてゐない證據である。

  内 容

  三Lデーの説明              弘田  競

  詩朗讀(森山啓、レーニンの鐘)      毛利 猛夫

三Lデーの意義、詩の朗讀にアヂられた聽衆から、黨、及び黨

   の鬪争方針に對する意見(大衆黨員から)客観的政治状勢、

   等の物凄い話が盛に論じられた。

 五、反戰パンフレット刊行

   是もコップでやつたが作家同盟がイニシアチーブを取つて發行。

   三Lデーの鬪争期間に出すべき處、一月末に種々の事情で伸びた。

   四六判、騰写刷、七十四頁

  内 容

  一、論文、三レデーの話、戰争とはやり歌、ブル映を蹴飛ば

     せ

  二、詩、俺は古参二等兵、勲章(宮木喜久雄作戰旗より轉載)

  三、カール・ローザの略歴

  四、漫二號題

  五、世界現状地図

  六、我等の旗日

  七、小説補充兵訓練。三太郎やあい。縊死。

    尚扉に適當な歌がなかつたため「インタナショナル」を掲載

    即日、発禁、

    是に對する勞働者からの批判。

     根本的なものとして滿洲問題が附随的に敢扱はれ、全體と

    して、戰争の本質がバクロされてゐない事から、勞働者農民を如何に支配階級が戰争に動員するかゞ鮮明でない。

      パンフにはやさしい滿洲問題の解説が當然のるべきであつた。(此のパンフには、滿洲問題の話が載る筈であつたが、あまり頁數が多くなるので滿洲問題の話はプロ科學者同盟高知地方準備會から單行本として出版する事になつた。)

 六、反戦スゴ六、ストライキ詩集中止の件

   反戦スゴ六は、實質的にはPP支準でやるべき處PP支準構成員の意識の低いのを指導しつゝ我が同盟が率先して是を提唱し、原文は全部我が同盟が作りPP支準に提供したが、PP支準構成員の個人的都合により中止となる。ストライキ詩集は、是非必要であるが作同高地支準に人手が足りないためと相當な時日が必要であるため一時中止する事にした。

 七、選擧鬪争パンフレットの刊行

   選擧鬪争パンフレットをコップから出す事になってゐたが大衆の友の選擧特輯號が出る事になつたので、それの附録として、高知の状勢に應じたものを添附する事に變更、

     作家同盟から弘田競作「東京と高知」小説提供

八、文學講習會の開催

  三月十五日より四日間

  高知市東片町南松淵事務所に於て

  目的、プロレタリア文學運動の意義任務の普及及び我が同盟

   の新しき働き手の獲得

 講義種目及び分擔

  高知社會藝術運動史       木山 喬

  プロレタリア文學總論      弘田 競

  社會民主々義及びブルジョア文學批判(未定)

 ソヴェート文學紹介       毛利 猛夫

  農民文學論           弘田 競

  反戰文學論           槇村 浩

  藝術方法に於ける唯物辯證法   織田 一平

  組織問題            織田 一平

  課外、小説の作り方、文學新聞の話

  尚、此の講習會は第一期講習會であり、特に重大と思ふ課目のみを取りあげたのである。 

  また、サークルから必ず一人以上の出席者を送らす事になつてゐる。

    機 関 紙 配 布 状 態

 

 取扱部数   四十部

 讀者別、

 一、工場勞働者 六名、

    内 譯  同 盟 員  一

         文新通信員  三 

         普通讀者   一

 二、農 民   七名

    内 譯  同 盟 員  五

         文新通信員  二

 三、一般使用人 十二名 

         同 盟 員  二名

         普通讀者  十名

 四、學生        八名

    (全部高等學校學生同盟員三名)

 五、同盟員       七名

 誌代回收状態

 現生、發行所に約二十圓の滯納である。支部に人手が足りないため

と、生活程度の低いためとで、一部分を除く外、支拂ひが極めて惡

い。

四月の大會までには全額完納の計である。

Photo

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