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2013.06.28

金井新作の「戦争」 「行きたくありません」

 金井新作は、一九二八年十月二十一日に「戦争」を書いています。

 同年四月十九日、日本は国内の反対論をおしきって第二次山東出兵を強行していますが、そうした状況を反映した詩です。

 ――何故戦争に行きたくないと云うのか。

 ――殺さずにいられない気持ちが自分の中に動いてもいないのに、見もしらぬ人と殺し合わなくなるのが厭[いや]だからです。

 ――みんな喜んで召集に応じて来るではないか。

 ――嘘です。

 ――群衆はあんなに熱狂しているではないか。国中は沸〈わ〉き立っているではないか。

 ――瞞[だま]されているんです。

――瞞された位で、あんなに心底から熱狂出来ると思うのか。

――心底から?

――心底からだ。

――若しそうならたとえ瞞されているとしても、私は沈黙します。だが一人でも無理矢理引き摺()り出されて、仕方なく群衆に和している者があったなら、あなた方を憎悪します。

――憎悪した所で、どうにもなりはしないではないか。

――憎悪する者が無数に生まれてもですか。

――黙れ! 戦争はもう始まっている。お前も召集されているではないか。否(いや)でも応でも行かなければならないではないか。

――行きたくありません。

――銃殺するぞ!

――行きたくありません。

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