« 連載 四 タイムマシンで「生ける銃架」の十九歳に会い行く 反戦詩人・槇村浩の誕生。【詩「生ける銃架 ― 満州駐屯軍兵卒に ―」が生まれたころ】 | トップページ | 連載 六 タイムマシンで「生ける銃架」の十九歳に会い行く 反戦詩人・槇村浩の誕生。【詩「生ける銃架 ― 満州駐屯軍兵卒に ―」 第二連】 »

2013.07.23

連載 五 タイムマシンで「生ける銃架」の十九歳に会い行く 反戦詩人・槇村浩の誕生。【詩「生ける銃架 ― 満州駐屯軍兵卒に ―」 第一連】

 詩「生ける銃架 ― 満州駐屯軍兵卒に ―」を紹介します(初出のものからです。ふり仮名は()ないに入れました)。

 高粱(かうりやう)の畠(はたけ)を分(わ)けて銃架(じうか)の影(かげ)はけふも続(つゞ)いて行(ゆ)く
 銃架(じうか)よ、お前(まへ)はおれの心臓(しんぞう)に異様(いやう)な戦慄(せんりつ)を与(あた)へる――血(ち)のやうな夕日(ゆふひ)を浴(あ)びてお前(まへ)が黙々(もくもく)と進(すゝ)むとき
 お前(まへ)の影(かげ)は人間(にんげん)の形(かたち)を失(うしな)ひ、お前(まへ)の姿(すがた)は背嚢(はいのう)に隠(かく)れ
 お前(まへ)は思想(しさう)を持(も)たぬたゞ一箇(こ)の生(い)ける銃架(じうか)だ
 きのふもけふもおれは進(すゝ)んで行(ゆ)く銃架(じうか)を見(み)た
 列(れつ)の先頭(せんとう)に立(た)つ日章旗(につしやうき)、揚々(やうやう)として肥馬(ひま)に跨(またが)る将軍(しやうぐん)たち、色蒼(いろざ)ざめ疲(つか)れ果(は)てた兵士(へいし)の群(むれ)――
 おゝこの集団(しふだん)が姿(すがた)を現(あら)はすところ、中国(ちうごく)と日本(にほん)の圧制者(あつせいしや)が手(て)を握(にぎ)り、犠牲(ぎせい)の××は二十二省(しやう)の土(つち)を染(そ)めた
 (だが経験(けいけん)は中国(ちうごく)の民衆(みんしう)を教(おし)へた!)
 見(み)よ、愚劣(ぐれつ)な×旗(き)に対(たい)して拳(こぶし)を振(ふ)る子供(こども)らを、顔(かほ)をそむけて罵(のゝし)る女(をんな)たちを、無言(むごん)のまゝ反抗(はんこう)の視線(しせん)を列(れつ)に灼(や)きつける男(をとこ)たちを!
 列(れつ)はいま奉天(ほうてん)の城門(じやうもん)をくゞる
 ――聞(き)け、資本家(しほんか)と利権屋(りけんや)の一隊(たい)のあげる歓呼(くわんこ)の声(こえ)を、軍楽隊(ぐんがくたい)の吹奏(すゐそう)する勝利(しやうり)の由(よし)を!
 やつら、資本家(しほんか)と将軍(しやうぐん)は確(たし)かに勝(か)つた!――だがおれたち、どん底(ぞく)に喘(あへ)ぐ労働者農民(らうどうしやのうみん)にとつてそれが何(なん)の勝利(しやうり)であろう
 おれたちの唇(くちびる)は歓呼(くわんこ)の声(こゑ)を叫(さけ)ぶにはあまりに干乾(ひから)びている
 おれたちの胸(むね)は凱歌(がいか)を挙(あ)げるには苦(くる)し過(す)ぎる
 やつらが勝(か)たうと負(ま)けようと、中国(ちうごく)と日本(にほん)の兄弟(きやうだい)の上(うへ)に×圧(あつ)の鞭(むち)は層(そう)一層高(そうたか)く鳴(な)り
 暴×の軛(わだち)は更(さら)に烈(はげ)しく喰(く)ひ入るのだ!

|

« 連載 四 タイムマシンで「生ける銃架」の十九歳に会い行く 反戦詩人・槇村浩の誕生。【詩「生ける銃架 ― 満州駐屯軍兵卒に ―」が生まれたころ】 | トップページ | 連載 六 タイムマシンで「生ける銃架」の十九歳に会い行く 反戦詩人・槇村浩の誕生。【詩「生ける銃架 ― 満州駐屯軍兵卒に ―」 第二連】 »

ニュース」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/30274/57848179

この記事へのトラックバック一覧です: 連載 五 タイムマシンで「生ける銃架」の十九歳に会い行く 反戦詩人・槇村浩の誕生。【詩「生ける銃架 ― 満州駐屯軍兵卒に ―」 第一連】:

« 連載 四 タイムマシンで「生ける銃架」の十九歳に会い行く 反戦詩人・槇村浩の誕生。【詩「生ける銃架 ― 満州駐屯軍兵卒に ―」が生まれたころ】 | トップページ | 連載 六 タイムマシンで「生ける銃架」の十九歳に会い行く 反戦詩人・槇村浩の誕生。【詩「生ける銃架 ― 満州駐屯軍兵卒に ―」 第二連】 »