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2013.07.23

連載 六 タイムマシンで「生ける銃架」の十九歳に会い行く 反戦詩人・槇村浩の誕生。【詩「生ける銃架 ― 満州駐屯軍兵卒に ―」 第二連】

 おれは思(おも)ひ出(だ)す、銃剣(じうけん)の冷(つめた)く光(ひか)る夜(よ)の街(まち)に
 反×の伝単(でんたん)を貼(は)り廻(まは)して行(い)つた労働者(らうどうしや)を
 招牌(せうひ)の蔭(かげ)に身(み)を潜(ひそ)め
 軒下(のきした)を忍(しの)び塀(へい)を攀(と)ぢ
 大胆(だいたん)に敵(てき)の目(め)を掠(かす)めてその男(をとこ)は作業(さげふ)を続(つゞ)けた
 彼(かれ)が最後(さいご)の一枚(まい)に取(と)り掛(かゝ)つた時
 歩哨(ほせう)の鋭(するど)い叫(さけ)びが彼(かれ)の耳(みみ)を衝(つ)いた
 彼(かれ)は大急(おほいそ)ぎでビラを貼(は)り
 素早(すばや)く横手(よこて)の小路(こみち)に身(み)を躍(をど)らせた
 その時彼(ときかれ)は背後(はいご)に迫(せま)る靴音(くつおと)を聞(き)き
 ゆくてに燦(きら)めく銃剣(じうけん)を見(み)た
 彼(かれ)は地上(ちじやう)に倒(たふ)れ、次々(つぎつぎ)に×[突]き×[刺]される銃(じう)×の下(もと)に、潮(うしほ)の退(しりぞ)くやうに全身(ぜんしん)から脱(ぬ)けて行(ゆ)く力(ちから)を感(かん)じ
 おとろへた眼(め)を歩哨(ほせう)の掲(かゝ)げた燈(ともしひ)に投(ね)げ
 裂(さ)き捨(す)てられ泥(どろ)に吸(す)はれた伝単(でんたん)を見詰(みつ)め
 手(て)をかすかに挙(あ)げ、唇(くちびる)を慄(ふる)はし
 失(うしな)はれゆく感覚(かんかく)と懸命(けんめい)に闘(たゝか)ひながら、死(し)に至(いた)るまで守(まも)り通(とほ)した党(とう)の名(な)をとぎれとぎれに呼(よ)んだ
 ……中(ちう)、国(こく)、共(きやう)、×、×、万……

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