恋愛

2013.07.29

 『嵐が丘』のキャサリンに寄せて

 この年齢になって(一九四七年二月二十三日生まれ)、一八〇一年にイギリスの女性、エミリー・ブロンテが発表した小説『嵐が丘(Wuthering Heights)』を読みました。
 『嵐が丘』の舞台はイギリス。「嵐が丘」という屋敷に住む人々の物語です。
 ここには、アーンショー、アーンショー夫人、息子のヒンドリー、娘のキャサリンが住んでいました。
 ある日、アーンショーは、外出先で知り合った身寄りのない男児を家に連れて帰ってきました。アーンショーは、彼をヒースクリフと名づけ自分の子ども以上に可愛がりました。
 アーンショー氏が亡くなり館の主人がヒンドリーになりました。

 今までヒースクリフを良く思っていなかったヒンドリーはヒースクリフを下働きにしてしまいます。
 それでもヒースクリフとキャサリンは仲が良く、お互いに恋心を抱くようになっていました。
 しかし、キャサリンは、あるきっかけから「スラッシュクロス」の家の青年の求婚を受け入れます。
 それを知ったヒースクリフは、家人に何もつげないで姿を消します。
 しばらくして、金持ちになって帰ってきたヒースクリフは、策略で「嵐が丘」を乗っ取り、自分からキャサリンを奪ったと思われる者たちに復讐していきます。しかし、いまでも愛しているキャサリンには直接の危害はくわえません……。

  読んでいて歯がゆくなるのは、ヒースクリフが、「肝心の」、金銭的に恵まれた暮らしのためにヒースクリフを裏切って別の男性と結婚したキャサリンには直接報復しないことです。

 これは、僕の心の「ゆがみ」がいわせる言葉です。

 ヒーフロックがキャサリンには直接的な報復をしないことが、多くの人々にとっては、この作品の魅力になっているのだと思います。

 この小説を読んで、私は、大学二、三年生くらいのころ、べったりとくっついていた同じ大学の一学年下の女性のことを思い出していました。

 髪の長い、美形で、すらっとした女性で、頭もばつぐんにいい人でした。

 彼女は他の学部でしたので授業で一緒になることはありませんでしたが、家が同じ町だったこともあり、毎日のように待ち合わせて一緒に帰りました。
 冬には彼女の長いマフラーに二人でくるまって抱き合うようにして帰りました。
 彼女に付きあってほしいと言いよる男性が何人かいました。僕は、彼女にあれこれといって断らせました。

 まわりの人たちの多くは、二人は将来、結婚するだろうと思っていました。
 僕も、そう思っていました。
 しかし、ある行き違いで僕が身を引きました。彼女の本心をたしかねることもなしに……。
 その後、お互いに、別の人と結婚し、別々の人生を送っています。

 わがキャサリンに出会ったころ「嵐が丘」を読んでいたら、僕は、この小説を、いたい教訓にして、わがキャサリンと、もっと「賢く」付き合っていたかもしれないなと思いました。すくなくても一方的な判断で彼女の前から去るということはしなかったと思います。
 人生の最後のステージで、この小説に出会うとは。皮肉ななりぬきでした。

 (長年つれそってきた現在の妻が不満だとか、そういう趣旨の文章ではありませんのでねんのため。)

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